第32話

妊娠6か月、お腹がポッコリと膨らんで大きくなってきた。

だんだん動きにくくなりそうだ。

誕生日プレゼントにもらったマッサージチェアも大活躍してる。


「カズくん。買い物に行きたいの。連れてって。」

「俺、買ってくるよ?」

「入院用の服とか産後用の下着を買いたいの。」

「それは無理だ。わかった。」

駅まで買い物に行く事にした。


「えーと。初めに必要になるのが、赤ちゃんの服。おむつか。」

「赤ちゃんの服はネットで見て、カズくんと相談しよう。」

「おむつも嵩張かさばるから今度にしよ。」

「ベビーカーはちょっと高いから後で考える。中古もレンタルもあるしね。」

哺乳瓶ほにゅうびん2つぐらいかな。」

搾乳機さくにゅうき。へぇ電動とかもあるんだ。」

授乳用じゅにゅうようブラジャーをとりあえず2つあればいいか。」

「母乳パッド」

産褥さんじょくブラジャー2枚ぐらいかな。」

産褥さんじょくショーツ3枚セットがあるからこれでいいか。」

産褥さんじょくニッパーと骨盤ベルト」

「入院は5日間って言ってたからパジャマも2着ぐらい買っておこう。」

出産に必要な物っていっぱいあるんだね。

お金もかかるわ。


「おぉぉぉ!こんなのがある!」

「これ買っていこう!」


「どうだ!かわいいだろ!」

「おおぉ!セクシーだね!」

「それなに?シミーズ?」

「やばっ!シミーズだって!」

「今、めっちゃジェネレーションギャップ感じたわ!」

「え?今、違うの?」

「キャミソールだよ!」

「あぁ。聞いたことある。」

「制服のスカートの中の白いヒラヒラ。」

「今、着ないよ。制服でなんか。」

「やばっ。鳥肌立ったわ!」


「で、どう?」

「とってもかわいい!きれい!透け透け!」

「でしょ!」

「これで誘惑しちゃう作戦だ!」

「今日は手コキをしたいと思います!」

「は?」

「知らない!だから教えて!」

「言い出したら聞かないんだから。」


「はぁ。気持ち良かったぁ。」

「いっぱい出たね。」

「見せなくていいよ。」

手の中の物どうしよう。

すぐテッシュを渡してくれた。

優しいよね。いつも。

やっぱり、攻めるのも好きなのかも。

まさか、私がこんな肉食系だとは思わなかったな。

ちゃんと2回目もしてくれた。

手とか口だと大丈夫なのに、なんでゴム付けるとイけないんだろう。

不思議。


今はベッドでイチャイチャタイム。

「早く産まれてこないかなぁ。」

「元気に産まれて欲しい。美来も元気でいて欲しい。」

「そうだね。やっぱり怖い気持ちもあるよ。」

「出産で命を失う人も、産まれなかった命もあるもの。」


やっぱり女性にとって出産は大変な事なのだ。


「俺から提案というか、お願いがあるんだけど。」

「もし美来が良ければなんだけど、立ち合い出産してくれないだろうか。」

「俺は出産の知識も今はないし、経験もないし、血を見るのも苦手だけど。」

「それでも一緒に立ち会いたい。」

そばにいて手を握っているぐらいかもしれない。」

「でも、それでも、何か力になりたいんだ!」


「カズくん、ありがとう。」

「お願い、一緒に手を握っていて。」

「それだけで十分だよ。」

カズくんは優しいな。


「やっぱり、手を握ってるだけじゃだめ。」

「美来の見える場所にいて、安心させるとか。」

「陣痛の間さすったり、慰めたりとかいろいろあるよ。」

「勉強する。」

「一緒に勉強しよう。」

「そうだね。」

「あっ、この子、お腹けったよ。」

「この子も頑張る!って事かな」

「そうだといいね。」

「カズくん、ありがとう!」

「テンション上がってきたよぉ!」

「ゆきえちゃん。」

「パパとママは、あなたを待ってるよ。」



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