第18話
「カズくんはウェディングドレスと、白無垢のどっちが良い?」
「ウェディングドレス」
「私もウェディングドレスがいいなぁ。」
「結婚式ってどれくらいかかるの?」
「400万ぐらいじゃない?」
「えーーーーー!そんなするの?」
「400万円なら普通じゃない?」
「呼ぶ人数が少なければもうちょっと安くなるだろうし。」
「100人ぐらい呼べば500万円以上するだろうし。」
「でも、ご祝儀があるから、半分くらいの自己負担になると思うよ。」
「それでも最初にそれぐらいかかるよね。」
「えーーーー!」
「じゃあ3人でいいよ!」
「いや、そうはいかないでしょ。」
「美来は友達何人ぐらい呼ぶ?」
「30人ぐらいと思ってたけど、半分以下にするよ。」
急に抱きしめられた。
「カズくん?」
「美来、いっぱいあるわけじゃないけど、なんとか出来るから。」
「美来が主役なんだ!」
「祝ってほしい人は呼んで欲しい。」
「一生に何回もできるわけじゃない。」
「出来れば、この1回であって欲しい。」
「この1回が大切な思い出になるように、みんなに祝ってもらおう。」
「美来は大切な友達で20人ぐらいかな。」
「俺は友達いないので、姉貴だけかな。」
「香織は?」
「って友達いないって所、スルーしちゃダメでしょ!」
「ほんとにいないの?」
「いないなぁ。」
「ずっと、引きこもってたから。」
「会社の人は?」
「おれはフリーだから、会社の人とはあまり会わない。」
「呼ばれても困るんじゃないかな?」
「ママ!ヤバいよ?」
「やばいね。」
「それは置いといて、私もお母さんだけじゃないかな。」
「ママも友達いないの?」
「いるよ!失礼な!カズくんと一緒にするな!」
「娘の結婚式に、私の友達呼んでどうするのさ!」
「あ。そうか。」
「じゃあ、25人くらいで少ないね。」
「これなら1人あたり6万円として150万円くらい。」
「ご祝儀で1人平均2万戻ってきたとして、100万円ぐらいの自己負担で済みそうだね。」
最初400万円ぐらいって言われてビビったけど、
それぐらいならって感じなのかな。
わかんないけど。
「美来はどんな式にしたい?」
「どんな式って、ウェディングドレス着て。」
「宣誓してブーケ投げて。」
「なんか投げられて、みたいな?普通で良いけど。」
「そんな簡単には出来ないんだよ!」
ママに怒られた。
「2人で結婚式場回ってきなさい!」
「ママ!なれそめ、どうしよう!」
「というか、大変だ!緊急家族会議だよ!」
「まず、私たちの知り合ったきっかけは、
カズくんが宝くじで当たった1億円を持って、
美来に子供を産んで欲しい。
と頼んできた事がきっかけなんだけど、」
「1億円を持っているという事が、もし誰かにバレた場合、
私だけでなく、ママやカズくん、将来子供が生まれたら、
子供が誘拐されるなんて事が起こるかもしれない!」
「だから1億円の事は絶対に秘密にしないといけない!」
「わかってるよ。」
「わかってるわよ。」
「あれ?私だけ?」
「ま、家族の為には1億円の事は黙っておくとして」
「年齢が離れてるね。何がきっかけで付き合ったの?」
って聞かれたら、
「ママの元カレで付き合ったの。」
って言ったら大惨事じゃない?
「「わかってる。」」
「結婚式で、みんなになんて言ったらいいんだぁ!」
「俺は適当に言えばいいと思うんだけど。」
「例えばバイト先で出会って、気が合って付き合った。みたいな。」
「私も、それでいいと思うよ。」
「ママの元カレで、一緒に住んでます。とか変な想像するでしょ。」
「うーーーん。」
「そんな、まるっきり嘘で祝福されてもなぁって思っちゃう。」
「美来はどうしたいの?」
「ママとカズくんは昔付き合っていた。というのは言えない?」
「俺は美来のしたいようになるべくしてあげたい。」
「でもそれは反対だ。」
「香織に変な目がいって、傷つけてしまう。」
ママは何も言わない。
たぶん逆の事、カズくんの事を心配していると思う。
「なら、結婚式なんてやめようよ!」
「ウソだらけで祝ってもらっても、嬉しくない!」
美来は部屋に戻ってしまった。
「香織。どう思う?」
「私は美来に任せるべきだと思う。」
「結婚式を辞めるなら辞めればいい。」
「私たちの過去を言うなら言えばいい。」
「あの子が決める事。」
「あの子が乗り越えなきゃいけない壁のような気がする。」
「わかった。」
家族会議は終了した。
カズくんは結婚式場を予約した。
振込み期限前に振り込みも済ました。
もうキャンセルをしても、お金は戻らない。
でも、私まだ、決めかねている。
「カズくん、美来は、カズくんがママの“元カレ”だって言いたい。」
「お金のことは家族を守るためだから、嘘をつくのは仕方ないと思う。」
「でも、嘘をついて、みんなに祝ってほしくない。」
「私がママに、カズくんに感謝している気持ちを嘘にしたくないの。」
「だから許してほしい。」
頭をそっと、撫でてくれる。
「美来に任せるよ。」
「でも、場合によっては、美来と香織は俺が守る。」
「結婚式を台無しにしてでも、二人を守る。」
「それでもいい?」
「わかった。」
「でも、私はみんなを信じたい。」
「友達だもの。」
「美来の好きにしていいよ。」
「ありがと。」
「ママには後で伝えるね。」
「わかった。」
時期が時期なので2次会は無くしてもらった。
その分、お酒を飲みたい方には披露宴で飲めるように立食式にした。
もちろん座って食べる事も可能だ。
自分で好きなものを好きな分取る事ができるビュッフェ式だ。
テーブルは8個用意した。
キャンドルサービスに回る予定ではある。
カズくんは式場の司会をして頂くスタッフの方に連絡して、
もしもの場合の打ち合わせをしていた。
私は、みんなが理解してくれることを信じたい。
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