第12話

元旦、これから初詣はつもうでに行く予定。

私はカズくんが買ってくれた着物を着ている。

そして今、ママの着物の着付けをしている。

ここ1か月、この日のために、着付けの教室に通ったのだ。

「まさか、娘に着付けをしてもらえる日が来るなんて、私は嬉しいね。」

「何、年寄りくさい事、言ってるの!」

「ママだって十分きれいだよ。」

「ほら、出来たよ!すっごい、綺麗。」


これはカズくんの提案だ。

ママが結婚式に着る着物を、プレゼントしようと言ってくれたのだ。

着物のお金はカズくんが出してくれた。

私は1か月で頑張って、着付けができるように練習したのだ。

ママの着物は薄いピンク色。

いろんな花がいっぱい描かれているが、主に中心から下に多く書かれているので、全体では落ち着いて見える配分だ。

帯は金色でとっても豪華だ。


私の着物はグラデーションのある紫色。

大きな花が、着物全体にちりばめられていて華やかだ。

カズくんと着物屋さんで見て、これが気に入ったのだ。

帯は白地に金糸の模様が刺繍ししゅうされている。

ピンクの帯とすごく迷ったのだが、

私とママは体型が近いので交換して着ることもできる。

印象の違う色にした方が楽しめるのではないかというカズくんのアイデアだ。


カズくんも私たちと合わせるために着物を買った。

カズくんは紺色の着物に同じ色の羽織はおりにした。

はかまも買ったが、今日は着ないそうだ。

別の場所に着ていく時に着るらしい。

どこだろう。


カズくんが隣の部屋で待っている。

「カズくん、見て、見て、ママとっても綺麗だよ。」

「どうだ!綺麗だろ!」

「すごく綺麗だよ、とってもよく似合ってる。」

「ほんとに?ありがとう。」

ママは自分の周りをクルクル回って自分を見ている。

なんか子供みたいでかわいい。

「うちは全身が全部映るような大きな鏡がないからなぁ。」


初詣をすまし、食事をしてママを家まで送った。

私たちは行くところがあるのだ!


ラブホテルだ!

「カズくん!着物エッチしようよ!」

「ひめはじめ!」

初詣はつもうで中にこっそり伝えておいたのだ。


「ふふふ、このために1か月着付けを頑張って覚えたといっても、過言かごんではない!」

「さあ!脱がしてみろ!」

「いや、さすがに無理。」

「どこから手を付けていいかわかんないよ。」

「それもそうか。」

「じゃぁ、帯板おびいたと帯は自分で外すね。」

帯揚おびあげをはずし、帯締おびじめをほどく

帯枕おびまくらをはずし、お太鼓たいこをくずす。

帯板おびいたを取り除き、帯をすこしほどく。

シュルシュルと気持ちのいい音がする。

やっぱりきぬはいいね。

「カズくん!ここから“あーれー”ってする?」

クルクル回って見せる。

「帯が痛むからやめとくよ。」

男の夢じゃないのかな。

帯をはずす。帯をたたみソファに置く。

着物が着崩きくずれていく。

「カズくん。あとはきっと簡単だから脱がして。」

着物をそっと脱がし、ソファに置く。

カズくんの服を大切にしてくれるところがとても好き。

おお。足袋たびからいきます?

足袋たびってきなれないから、脱ぐと解放感がある。

長襦袢ながじゅばんの結び目を探してる。

伊達締だてじめをほどく。

これも大切にソファにおいてくれる

長襦袢ながじゅばんを脱がすと今度は肌襦袢はだじゅばんだ。

ひもをほどく。

肌襦袢はだじゅばんゆるんで下着が見る。

「下着見せてあげる。」

「今日は下着のラインが出ないようにTバックだぞ!」

ちらっと、めくって見せてあげる。

「ほんとだ、いいね。」

今日のために準備した下着なのだ、誉めてもらえると嬉しい。

しがみつく腕が震える。

キスしてくれる。

気遣ってくれる気持ちがうれしい。

だから、気持ちよくなってもらいたいと、私も思う。

「もう大丈夫。いっぱいして。いっぱい気持ちよくなって。」

思って、思われて、だから思いたくなる。

結婚しても、こんなセックスが続けられたら幸せだ。



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