第10話


「こら!美来、リビングのカレンダーに排卵日とか書かないでよ!」

「だって、ここにしかカレンダーが無かったんだもん。」

「自分の部屋で使ってよ。娘の排卵日とか知りたくないわ!」

「じゃあ、カズくんの部屋に貼っておくね。」

「セックス予告状だ!子宝は必ず頂くぜ!」

「バカ言ってないで、速く朝食食べて、学校行きなさい!」


排卵期にセックスすると妊娠しやすいと聞いたが、

私は排卵期が近くなると性欲が増すらしい。

なるほどね。よく出来てるもんだ。

カズくんと出会ってから半年が過ぎた。

私の体はどんどん敏感になって、セックスの快感も高まっている。

「カズくん!なんか出てる!おしっこ止まんない!」


「大丈夫。おしっこじゃないよ。」

「ほら。透明だし、においもそんなないし。」

「嗅がないで!ってちょっとは匂いするのかい!」

「だって同じ膀胱から出てるわけだからちょっとはするでしょ。」

「え!おしっこなの!勝手に出ちゃうの!」

「だからおしっこじゃないよ。」

「潮だよ。」

「しぃおぉ?」

聞いたことはあるけど、都市伝説かと思ってた。

「そんな気にすることは無いよ。今度はバスタオルしいておこうね。」

「って何、ちょっとうれしそうなのよ!拭かないで!」

「拭かないと俺寝れないし。」

「なんでそんな冷静なの。」

「ああ。大丈夫。拭けばいいし。香織もいっぱい出てたしね。」

「ママも潮吹いたの!聞きたくなかったわぁ。」

「今日は自分の部屋で寝る!」


「ママぁ。真剣な悩みなの。聞いてぇ。」

「どうしたの?カズくんと喧嘩でもした?」

「潮が止まらないのぉ。」

「真面目に聞いて損した。」

「なんであんたは最近、朝からそんな話ばっかなの!」

「だってママも潮吹いてたって言うし、どうやって直したのぉ。」

「カズくん!後で殴る!娘に何、教えてるんだ!」


ママが抱きしめてくれる。

あったかい。落ち着く。

ママの方が身長は低いけど、大きく感じる。

「落ち着いた?」

「うん。」


「体質とか、体調とかもあると思うけど、相手にもよるんだよ。」

「私も潮吹いたのなんて、カズくんだけだし。でも言っちゃ駄目よ。」

「美来はね、今、きっと、カズくんを心から感じているの。」

「それはね。人生で1人か2人出会えるかどうかだと思う。」

「きっと出会えない人もたくさんいると思う。」

「そんな人に出会えたんだよ。」

「だから今を大切にしなさい。」


「でも、あんな潮吹いてたら、カズくんに嫌われちゃう。」

「大丈夫。カズくんはそんな事で、美来を嫌いになる人じゃないよ。」

「恥ずかしい。」

「そうだね。私も恥ずかしかった。」

「でも大丈夫。女の人は大抵気持ちいいと出ちゃうからって教えてあるから。」

「むしろ喜んで良いことよって言ってあるから。」

「ママ。すげぇ。」


「でも、する前にビールは少し控えめにした方が良いかもね。」

「膀胱に入ってる水分が多いと、出る量も多くなるみたいだし。」

「わかった。ママがいて良かったぁ。」

「娘からこんな相談をされるとはねぇ。」

「しかし、よくも恥ずかしい過去を暴露してくれたわね。」

「覚えてろよ。後で説教だ。」



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