第6話
「この間のセックスは、とっても気持ち良かったです!」
「ありがとう。」
「ではカズくん!あなたには新しい任務を命じます。」
「どんなキャラ設定?」
「私は美来姫です。姫と呼びなさい。」
「私をもっともっと気持ち良くしなさい。」
「ははっ。姫、お任せください。」
「いい返事です。今日の夜を楽しみにしています。」
というわけで夜ホテルに来たわけだが、
「えーー。おもちゃーーー?」
「それは手抜きなんじゃない?」
「姫、そんなことはありません。」
「この魔法の薬を体に塗る事で、とーっても気持ち良くなるそうです。」
「ほほう。」
「では試してみようではないか。」
「ではお風呂場へお越しください。」
「へ?」
男の人と一緒にお風呂に入るのは初めてだ。
「じゃあ。ここにうつぶせに寝て下さい。」
「へ?」
ぽよんぽよんした、マットがある。
「立つと危ないから気を付けてね。」
「マッサージするから楽にしていて。」
優しく背中を撫でてくる。
ちょうど肩甲骨の上あたりを、親指でぐっと押される。
「ああ。肩、気持ちいい。」
私は結構、肩こり症だ。
おっぱいは、それほど大きいわけではないが。
ああ、大きく無いよ。見え張ったBだよ!
でも、大きくなくたって、肩は凝るのだ。
女性ならみんな肩こりなんじゃないかな。
「姫、では塗っていきますよ。」
「ひゃあ。」
「冷たかった?手で温めたんだけど。」
「ちょっとびっくりしただけ。大丈夫。」
背中。腕。足とゆっくりとローションが塗られていく。
キスされる。
「美来」
名前で呼ばれるのは弱い。
「カズくん」
私からも抱きしめる。
キスをした。
「ひやぁ。」
背中に残ったローションをかけられた。
「やったなぁ。」
体を起こそうとしたら引っ張って抱きしめられた。
「滑って危ないから、体起こさないで。」
そういう事を急にされると、ドキッとする。
キスが長くなる。
ローションを使っているせいだろうか。
「気持ちいい。」
自分でする時とは、全然感覚が違う。
感じてるのはわかる。でもイったとは違うのかな。
ローションまみれだから全身で動いてくる。
ヌルヌルだから痛く無いし、カズくんの肌に触れてこすれる。
気持ちいい。
「これ使っていい?」
「さっきのおもちゃ?」
「痛かったらやめていいからね。」
「わかった。」
「スイッチ入れるね。」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
「うひゃひゃひゃ!」
やば!また変な声出た。
やばい!気持ちいい!
「カズくん。」
名前を呼ぶとキスをしてくれる。
「気持ち良かったぁ。」
終わった後もカズくんは優しい。
ずっと抱きしめてキスしてくれる。
気持ちいいな。
満たされる。
じゃあ。洗いっこしようか。
まずはシャワーでローション流すね。
次は頭を洗おうか。
手を出して。
シャンプーを私の手に垂らした。
どうするんだろう。
私の手を両手で包み込む。
手を揉んで泡を立てる。
なるほど。
いいな、これ。
シャンプーの泡を自分の手に移して、私の髪の毛の毛先に付ける。
毛先から洗ってくる。
ほほう。下から上に髪の毛を上げるように頭の上に持っていく。
手先が優しいな。髪の毛が痛く無い。
全体に泡が付いたところで頭をマッサージしてきた。
力加減がちょうどいい。あぁ。気持ちいいな。
なんだか美容師みたいだ。
シャワーでシャンプーを流して今度はリンスだ。
リンスもしてくれるのか。
毛先を丁寧に揉んでくれる。
自分でやるより丁寧だ。
シャワーで流して今度は体を洗ってくれるのか。
後ろから抱きしめるように洗ってくれる。
恥ずかしいけど安心する。
「今度は私がカズくんを洗う!」
男の人の頭を洗うなんて初めてだ。
「お客様、かゆいところはありませんか?」
一度言ってみたかったセリフだ。
「もうちょっと強めでいいですか?」
「男の人はこんな強く洗って大丈夫なの?」
「禿げない?」
「やっぱり、優しめにお願いします。」
一緒に洗いっこするの楽しいな。
やっぱり男の人の背中は広いなぁ。
シャワーで全身の泡を流して湯船につかる。
カズくんにダッコされる形で一緒につかる。
「ハァー。」
セックスの疲れもあって身に染みる。
背中があったかくて安心する。
「お風呂プレイ気持ち良かった。」
「姫、ご満足いただけましたか?」
「その設定、続いてたの?」
「美来は俺のお姫様なのは変わらないよ。」
後ろからギュッと抱きしめてくる。
反則だ。
「カズくんはなんで、こんなにセックスが上手なの?」
「俺は上手なの?」
「上手だよ!やばいぐらい上手だよ!」
「そうなの?他の人と比べた事ないし、わかんないよ。」
「何人ぐらい付き合ったの?」
「え?美来で2人目だよ。香織が初めての人だし。」
「うそ!だってママと別れたの20歳の時でしょ。」
「それから25年付き合った人いないの?」
「いないよ。ほんとに。」
「じゃあ。風俗にいっぱい行ったとか?」
「風俗は1回も行ったことない。お金無かったし。」
「じゃぁどうしてたの?」
「どうしてたって。そりゃあ、一人でするしかないでしょ。」
「おかしいじゃない!それでこんなにセックスが上手なわけないでしょ。」
「そうだな。しいて言うなら、香織のおかげなのかな。」
「ママの?」
「そう、初めてした時に、香織が痛くて泣いちゃったんだよ。」
「それで姉貴がいるんだけど、姉貴にお願いして聞いたの。」
「どうしたら痛く無い初体験が出来るのかって。」
「それで、出来るだけ痛く無いように、痛く無いように、って頑張った。」
「そしたら香織も頑張ってくれて、下着は大切にしなさいとか。」
「それはもう、順番とか、加減とか。」
「いろいろ教えてくれたわけ。」
「へぇ。」
この気持ちいいのはママのおかげなのかぁ。
すごく複雑。
でも、私が2人目っていうのはちょっとうれしかった。
10人とか20人とか、数えきれないとか言われたらショックだったかも。
「美来。」
「愛してる。」
「!!」
初めて言われた!
ママもよく言ってくれる。うれしいけどそれとはちょっと違う。
前に付き合った彼氏にも言われたことがあるけど、全然、違う。
刺さった!
うれしい!うれしい!
「ふあ。わぁぁぁ。」
「うぐっ、ふぐっ。」
涙が出た。マジ泣きしてしまった。
「美来、大丈夫?」
「違うの、うれしいの。」
抱きしめられる。
頭をなでてくれる。
マジ泣きしてきっと顔はぐちゃぐちゃだ。
鼻水も出てる。
恥ずかしすぎる。
「美来も、愛してる。」
「カズくん、愛してるよ。」
「ごめんね。泣いたりして。」
「美来で気持ち良くなって。」
とってもあったかいセックスだった。
とっても気持ちいいセックスだった。
おもちゃやローションなんかよりも断然よかった。
「愛してる。」って私が初めて言える男の人が出来たからだ。
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