第3話
あれから3日経った。
私はこの人の部屋で漫画を読んでいる。
1億円はママに預けて管理してもらうことにした。
ママには、将来、大切な時、大切な人の為に使いなさい。と言われた。
バイトは辞めた。
今はこの人をもっと知りたい。
もっと一緒にいたいと思っている。
ちなみに年パスは却下された。
もっと行きたいけど、行くと散財してしまうからだ。
この人の趣味は漫画らしく、何度もネット通販の荷物が届いた。
この家に住み始めて2週間も経っていないというのに、新しく作った本棚がもう一杯だ。
この人は自分の部屋でパソコン仕事をしている。
私はというと、今日は大学が休講なので朝から漫画を読み漁っている。
会話は一切ない。
一緒の部屋にいて同じ空気を吸っている。
漫画読んで、たまに、この人の背中を見ているだけ。
なんか落ち着く・・・
お昼になった。
「お昼は何が良い?」
「カルボナーラ」
「わかった。」
私はパスタが好き。
ママもパスタが好きだから子供のころからパスタをよく食べる。
中でもカルボナーラが好きだ。
太ったら嫌われて契約解除になるのかな。
もらった1億円は返さないけど。
「・・・」
「やっぱり、そうめんが良い!」
「わかった。」
ちょっとダイエットしようかな。
ご飯を食べて、お腹が満たされた。
私だって人間だ。
性欲はある。自分自身、性欲が強いとは思ったことは無いが
自分でした事は、もちろんある。
今まで自分でしようと思っても、セックスをしたいとは思わなかった。
何が言いたいかというと、
「今、むしょうにヤリたい!」
「は?なんか言った?」
「言いました!むしょうにヤリたい!と言いました!」
「まだお昼だよ。」
「わかってるよ。」
「ホテル行く?」
「いや!今すぐ!ここでする!」
この人は家ではしない。ママを気にしているのか家ではしない。
「なんかムカつく!」
「は?」
私はセックスするときは明かりをすべて消してもらっていた。
体を見せる恥ずかしさより、顔を見るのが怖かった。
好きな人でも嫌いになってしまいそうな気がしたからだ。
怖かったのだ。
でも、この人は怖くない。
優しいのは十分わかった。
なんかふわふわしてきた。
頭が白くなる。
頭がボーっとしてくる。
この人、名前なんだっけ。
和弘か。
あー。ママもカズくんって呼んでたな。
今日は顔が見える。
ちっとも怖くない。
嫌いじゃないな。
「カズくん・・・」
自然に名前を呼んでしまった。
「美来」
名前を呼ばれるのは好きだ。
男は「気持ちよかった?」って聞いてくる。
正直、気持ち良くはなかった。
もし、「気持ち良くなかった。」と言ったらどんな顔をしたんだろうな。
私は聞いた。
「気持ち良かった?」
「すっごく、気持ち良かった。」
温かい気持ちが満たされていく。
勝手だな。私も。
これは契約だ。
もう、世間体とかママの事とかどうでもいい。
これは私の契約だ。
私は宝くじの1億円で子供を産む。
カズくんの子供を産む!
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