メイド発祥の地!!百合リス編

第15話 百合リスの使者


 新章突入したっすけど当チャンネルはのんびりまったりで行くっす。

レン姉様のライバルが登場とのうわさも。チッ、女っすか。


ー 鬼百合家 朝 ー


ハボタン  「姉様おはようございます」

レンジ   「ういー」

ハボタン  「シャキッとしなさい。

     といっても無理なのはわかってますけれど」


 オレンジ色のツンツンヘヤーがレンジ姉様。

最近闇落ちした影響でメイドに距離を置いてるのが丸わかりで。

 朝は思考能力が落ちる体質なんだけれど様子がおかしい。


レンジ   「なんか怖い夢を見たんだ。それから体が

     動かなくなってきたんだ」

ハボタン  「どんな夢だったんですか?」

レンジ   「僕がハボタンをいじめる夢だった」

ハボタン  「そっかぁ」

レンジ   「ハボタン?」

ハボタン  「大丈夫。私が姉様を見捨てるなんてありませんから」


 きっとトラウマになってるのでしょう。言葉では強がっていても

ココロはもう限界で。今の私では姉様を抱きしめて癒すことぐらいしか。

姉様を燃え上がらせるきっかけがあれば別なのですが・・・。


レンジ   「そういえばメール来てたよ?動画のコラボがしたいって」

ハボタン  「今はレンジ姉様の体調が不安定です。

     まずは療養してから。ね?」

レンジ   「うん!わかった!」


 今のままではダメなんてこと分かってます。姉様は不死ですから、

きっと時間が解決してくれるでしょう。

 けれど私自身が持ちそうにありません。

「メイドっていったい何なんでしょうね?」

つい小声で言ってしまいました。

 いつものレン姉様なら”憧れであり目標”と答えるでしょうね。

自己顕示欲のカレン様なら”金でつながった関係”と、

今のレン姉様は”分からない”が答えですから。

 

レンジ   「ハボタンみたいなカッコいい人じゃないかな?」

ハボタン  「あっ。申し訳ございません」

レンジ   「ハボタンの口調もおかしいよ?

     まるで他人みたいな感じ」

ハボタン  「ごめんっす。色々あったっすから」

レンジ   「それでこそハボタン!」


 こんな素直な子に心配されるなんてメイド失格っすね。

本来ならこんなラフな口調ありえないっすから。

姉様と会話しやすさを考慮したら自然と出ていたから。

 

ハボタン  「気分転換にコラボ相手のメールでも見るっすか?

     ただ断るんじゃなくて、次の機会の為っす」

レンジ   「そっか」



 メールに添付された動画を再生して見てみる。

姉様と同じく特殊能力持ち。

背中から黒翼を出しての飛行戦闘。武器は松葉づえ?

骨折した時の支え棒のように見えます。ビーム撃ってますが。

どう見積もっても

私達とコラボする意図が見えない。戦闘スタイルがまるで違う。


レンジ   「かっこいい!」キャッキャ

ハボタン  「そうですね」ニッコリ


 動画が切り替わり挨拶が始まる。黒髪ロングで糸目でしょうか。

戦闘中も目を開いていない印象でした。


黒髪    「お初にお目にかかります。

     余は黒雪くろゆきスノーフレーク。

     突然のご無礼をお許しいただきたいです。

      実は百合リスが狙われていてお力添えが

     欲しいのです。敵の名は秘密結社黒百合。

     ニンジャ国にも攻めていますから、強さは存じているはずです。

      今回は大規模コラボという名目で各国の戦力を集め、

     敵を壊滅させる計画なのです。

      当然リスクのある行動ですがそれなりの報酬を

     用意いたしします。

      CEO、続きをお願いします」


 正直話している印象は物静かで、クールでした。

情熱を前面に出さないが、かといって淡泊ではない。

レン姉様と私の中間ぐらいなテンション。



CEO   「あははは、そういうことだ。

     百合リスはメイド発祥の地だ。

     多くのユリハルコンの結晶が発掘される地でもある。

     戦果さえ上げれば富も名声も思いのままだ。

      そして、自分を変える機会も。

     多くの野心家と語れば迷いも晴れるはずだ。

      傷心旅行代わりにどうだ?きっといい結果が出るだろうさ。

      あはははは」


レンジ   「ハボタンあれって」

ハボタン  「財布の暴虐者さんってことは逃げられないっす。

     下手に断れば百合チューブのアカウントが危ないっす」

レンジ   「僕は大丈夫だから」

ハボタン  「動画会議で交渉しましょう。

     交通費出ないならこの件はなかったことにするか

     財布さんから頂くっす」

レンジ   「悪の権化」引き気味

ハボタン  「これ罠の可能性だってあるんっすから。

     用心に越したことはないっす」

 

 数時間後に暴虐者さんから電話があり、例のメールが真実と発覚。

百合リスへ向け電車での旅が始まるっすよ。

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