第16話 黒雪スノーフレーク



 アナウンス  「次は百合東乃都、百合東乃都お忘れ物なきよう・・・」

 ハボタン   「着きましたよ。姉様。後は乗り換えです」

 レンジ    「にぇむい」


 百合リスへの道は遠い。飛行機は秘密結社黒百合の的になるので

 よほどのことがない限り動きません。百合リス由来の対空電車砲での

 移動。正直お尻が痛いっす。


 ハボタン   「ガイドの人が案内に来てくれるっすけど何処に?」

 レンジ    「あれじゃない?リュックに百合リスの国旗差してる人」

 ハボタン   「うわぁ」絶望

 財布     「あははははは、また会ったな」

 ハボタン   「あなた結構偉いはずですが?

      道案内なんてしなくても生活できるはずっす」

 財布     「私より偉い人に護衛を任されてな。

      黒雪スノーフレーク君に。勿論偽名だ」

 ハボタン   「偽名?信用されてないんっすね」

 財布     「いや?ニンジャ国が好きで自分の

      コードネーム考えたと言っていたぞ?」

 レンジ    「カッコイイ!!」

 財布     「君たちのことを教えたのも私だ。何はともあれ

      参加してくれてよかった。じゃ、ついてきたまえ」


 案内されたホームには巨大な対空列車砲。その先頭車両が

 黒雪様の私物だそうで。内装もちょっとしたホテルのような

 おしゃれ空間っす。冷蔵庫にトイレもありますが窓はない。

 敵に襲われること前提の設計っす。


 レンジ    「すっげー!すげ!すっげー!」

 ハボタン   「大金持ちと会うのです。レン姉様お静かに」

 財布     「まだ先だ。今のうちにレンジ君を起こしておけよ?

      多分ツッコミ役が足らなくなるから」

 ハボタン   「嫌な予感しかしませんね」げんなり


 

 百合リスに近づいたあたりで三十分の停車。

 敵の攻撃が激しくなるとかで状況確認のためっす。

 駅のホームにいる車いすの少女。あれが黒雪様でしょうか?


 財布     「じゃあ、私は駅弁買ってくるから。

      黒雪君は相当な曲者だぞ?あはははは」


 車いすの少女に話しかけた財布様は人ごみの中に消えました


 ハボタン   「私は黒雪様をお迎えに行ってきます。

      姉様?くれぐれも粗相のないように」

 レンジ    「(指さし)あ、あれ!車いすが飛んでる!!」

 ハボタン   「(引き気味)こちらに向かってきますね」


 列車の扉が開き黒雪様が乗り込んできます。


 黒雪    「余は黒雪。ニンジャ国 好き。

     スシ テンプーラ サムラーイ タイ〇ニン!」

 レンジ   (初手にとんでもないのぶち込んできたぞ!!)

 ハボタン  「・・・・ニンジャ国は諜報の国です。

     初対面で自分の全力をさらけ出すのは美徳ではありません」

 レンジ   (ハボタン!!ナイスフォロー!!!)親指ぐっ!

 黒雪    「じゃあ、”長男王に俺はなるってばよ”」

 レンジ   (なんか混ざってるから!!色々!!)

 ハボタン  「ニンジャ国のアニメサブカルチャー

     お好きなのですね?」

 黒雪    「ニンジャ国 コワイ 怪獣 いっぱい」

 レンジ   (いやゴ〇ラいたら俺達でも国外逃亡するわ!!)

 ハボタン  「怪獣だけでなく災害も多いですから。

     そんな土壌のなかでニンジャやサムライは栽培されるのです」

 レンジ   (乗っちゃったよ!話題に乗ったよ!!このメイド!

     というかサムライやニンジャは畑で取れねーよ!!!)

 黒雪    「レンジ 無口」

 レンジ   「(小声)ああ、すまなかった。俺は鬼百合レンジだ」

 黒雪    「レンジ ハボタン 後ろ 隠れてる」

 ハボタン  「レンジ様は人見知りですので。コミュ障とも言います」

 レンジ   「(小声)ええと、黒雪様?私たちを知っているようで

     何よりです。えー送られてきたビデオでは流暢りゅうちょう

     言葉遣いでしたが?」

 黒雪    「ニンジャ国訛りってこんな感じでしょうか?」

 レンジ   「いや!百合リス語がポピュラーですから!普通に喋って

     貰ったほうが楽だし!!・・・あっ今のなしで」

 ハボタン  「何をおっしゃてるんです?彼女の訛りはとても上手でしたよ?」

 黒雪    「余のことは特別扱いしなくていいです。

     それに百合チューブの二人と話せたことは嬉しく思います」

 レンジ   「なんか、金持ちってもっと傲慢だと思ってた」

 ハボタン  「黒雪様が特別なだけですよ?」

 黒雪    「お隣いいですか?」

 ハボタン  「お手伝いします。レンジ様。松葉づえを」

 黒雪    「その心配には・・・・」ぷるぷる

 レンジ   「おい、大丈夫か?この前見た戦闘では空を自由に

     舞っていたが?」

 黒雪    「余の主戦場は空中ですから。

     足なんて着陸用の飾りです」ぷるぷる

 ハボタン  「よくできました。撫でてあげましょう」なでなで

 黒雪    「恥ずかしい・・です」

 レンジ   「ハボタンは金持ち相手に堂々としすぎだろ!!」


 黒雪様はとても面白い方ですね。暴虐者様が一枚嚙んでる以上、

 私達のような無礼の塊に会わせるメリットを考えての事でしょう。

 なら普段どおりのコミュニケーションをとるのが最適でしょうか?


 財布    「あはははは、駅弁買ってきたぞ!

     あとハボタン君にはチョコケーキだ」

 ハボタン  「じゅるり、ではありません!配膳のお手伝いをします」

 レンジ   「ハボタン!ご飯食べてからだぞ!」

 黒雪    「楽しそうで何より」


 突然黒雪様の背中から黒翼が生えてきました。


 レンジ   「黒雪さん?翼!翼はえてますよ!!」

 黒雪    「余はサキュバスの家系ですので。

     百合エネルギーを感知すると真の姿を現します」


 長い黒髪に強調された八重歯。

 大胆にも背中が開いた服は翼用でしたか。

 頭に猫耳カチューシャを付けて目を見開きます。

 暗い血のような赤い瞳と全てを照らす金色の眼。

 オッドアイという二色の目ですね。

 レンジ様と同じく人ならざるものでしたか。



 財布    「あはははは、彼女は特異体質でな。

     普段は目立たないよう車いすなんだ」

 レンジ   「空飛ぶ車いすのほうが目立ちますけど!!」

 黒雪    「レンジ、百合リスの戦車は飛ぶぞ!なので普通です」

 レンジ   「すげーな百合リス!!」

 財布    「この列車砲も線路の幅を広げて重武装ができるように

     改良されたものだ。百合リスは時代の最先端だ!」


 食事を終えて雑談に入ります。盗聴の危険があるとかで

 作戦内容は黒雪様の屋敷にて行うようです。

 

 黒雪    「せっかくです 動画のコラボ やらないか?」

 レンジ   「どっから覚えてくるんだよ!知識の偏りがヤバい!

     百合じゃねーからな!!それ!!」

 財布    「黒雪君は豊富なニンジャ国知識を武器に

     活躍する百合チューバーだ。

      百合リスではニンジャ国外交の最終兵器とも言われてるな」

 ハボタン  「これは厄介ですね。レンジ姉様!〇勢をします!

     こちらも本気で迎え撃つ!!!

      お手洗い借ります!!」

 レンジ   「ぎにゃあああ」ブチィ

 黒雪    「これがニンジャ国の刀狩ですか?」わくわく

 財布    「あはははは。黒雪君はほんとに賢いな」


 次回予告


 葉牡丹   「動画投稿者二人がであったならば!」

 黒雪    「コラボ動画を撮るのが定石!」

 二人    「「我らは正々堂々互いにリスペクトをする!!」」シャキーン

 レンジ   「何この儀式?」

 財布    「さあ?私が知るわけないだろ?」せんべいぱくー

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