第10話 ヤミ ニ オチル ジュンケツ ナ タマシイ

 前回のあらすじはレンジ姉様が自身のシンボルであるメイド服に

聖水(意味深)をこぼしてしまいました。


ー 鬼百合家 夜 ー


 鬼百合ハボタンです。あの夜以降レンジ姉様は人が変わってしまいました。

ただ自身の欲望を叶える為だけの存在に。

 自身をカレンと名乗り、私たちの生活は崩壊したのです。


 

例の女体化薬を毎日服用し、敵をただ倒すだけの日々を動画にする

”カレンチャンネル”を作成。

家事はすべて私に押し付け、百合スタグラム更新の為に大量の商品を

買っては廃棄する日々。食料品も例外ではなく、一口だけ食べたものが

ゴミ箱に入れられる炎上待ったなしの事まで。

 もはやレンジ様は遠くに行ってしまったようです。

チャンネル登録者数も越されてしまい、

私はカレン様に従うだけの存在へとなり果てました。

 

カレン   「使用人!次はこの商品がバズってるから、

     すぐに買ってきなさい!」

ハボタン  「はい、カレン様。しかしもう夜の十時です。

     そろそろ就寝のお時間ですが」

カレン   「使用人の分際で主に意見するか!!

     ここ最近フォロワー数が伸び悩んでる!すべてあんたのせいよ!

     このままじゃ私の生活を維持できない!もっと優秀な使用人を

     雇うための繋ぎなんだから!あんたの代わりはいくらでもいる!

     メイドなんか役立たずよ!!」

ハボタン  「申し訳ありません。カレン様」


 もはや私は見えておらず数字に固執するカレン様。

いや、これがレンジ姉様の本心かもしれません。メイドという枷がなくなり

暴走した欲望。”承認欲求”というやつでしょうか。



ー 翌日 鬼百合家 夕方  ー


カレン   「アハハハハ!見たぁ?新人のマヌケな表情www

     ”新人の獲物奪ってみた”ドッキリ動画ww

     怪人倒した賞金は規定により新人のもんだけど、

     わらわの百合スパ一回にも満たないゴミ報酬ww

      わらわの一日の稼ぎ見せたら泣いてやんのww

     なんでヒーローなんてやってんかって話。

     正義感?金でしょ?金!

      そうだ!わらわの知名度を生かし新人共を

     戦わせよう。”賞金百万ユーリ争奪バトル”とでも

     名づけようか。必死に戦う様子を垂れ流して

     百合スパは全てわらわの物ww

      わらわは一つも努力せず利益だけをかっさらう。

     いい案とは思わぬか?下僕よ?」

ハボタン  「・・・・ええ、とてもいい案だと思います」

カレン   「なによ、わらわに意見でもあるの?

     やはりメイドはだめね。所詮は強くなるための通過点。

     捨て駒と言ったほうがいいかしら?最近下僕といても

     楽しくないしここらで解雇ね、解雇。

      退職金は出してあげるから早々に立ち去りなさい!」

ハボタン  「元よりそのつもりです。

     ただ一つだけお聞かせください。

      カレン様にとってメイドとは何だったのですか?

     ただの道具ですか?自己顕示欲を満たすための手段ですか?

     私の使えるべきはレンジ様です!!

     あなたは変わってしまわれました。せめて私が引導を渡します!」

カレン   「メイドねぇ?消耗品でしょ?所詮中身は人間で、

     年を取れば体は動かないし、怪我をすれば勝手に休む。

      ただのお仕事。

     労働力と資金。金でつながったギブアンドテイクの関係よ」

ハボタン  「ありがとうございます。迷いが断ち切れました。

     明日生放送をしましょう。私とあなたで。

     どちらが正しいのかを!決闘で!!」

カレン   「本気?新型武装を手にしたわらわ相手に?

     商売道具に細工されそうだから今日決行よ!

     ついでに荷物も全部ゴミ箱へいれなよ。

     おめーの居場所ねーから!」

ハボタン  「この勝負お受けくださり感謝します」


 レンジ様、あなたの信念を私にお貸しください。

カレン様が捨てたメイドのチカラで、あなたを救いだします。

 私の部屋の私物のほとんどは廃棄処分を命じられたレンジ様の物。

新型を手に入れたからと放置されてたXNーVRグラス、

そしてメイドカートリッジ。

 レンジ様!証明して見せます!!

あなたの信じるメイドこそ最強なのだと!!!




あとがき「シリアス展開で読むのやめちゃうとかメンタルZKZK♡」


カレン   「わらわの名前なぜカレンだ?」

ハボタン  「チカラに溺れたレン様なので、カレン様です」

カレン   「くっだらねえWWWWWWWなんだよそれwwwww」


そのにー

レンジ   「ハボタン普通に喋れるじゃん!!

     なんで俺の前ではダウナーなんだよ!」 

ハボタン  「そりゃ、楽っすから。

     主とメイドなんてかたっ苦しい関係をお望みっすか?」

レンジ   「・・・・保留しとく」ぷい 

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