第5話 鬼百合レンジ!メイドモード!!

 レンジはXNーVRの側面ボタンを押しカートリッジを排出する。

ちょうど映像が映るクリアバイザーがそこに該当する。

 そして新たなカートリッジを差し込みピロンと認証音が鳴る。

地面に現れた幾何学模様の紋章と同時に圧縮された装甲が

レンジを包み込む。

長袖で白と黒のエプロン型装甲。コードレス掃除機。そしてカチューシャ。

 目を開き戦局を確認するレンジ。どうやら納得がいかないようだ。


レンジ    「なんだよこれ!メイド服じゃん!というか長袖で

      家事なんてできるか!!萌え袖?ケガするわ!」即パージ


 メイド服の袖を取り外し動きやすくしたレンジ。

現実世界で家事をこなしている彼だからこそ蛮行に至ったのだ。


ハボタン   「相手は蜂ですので長袖のほうが安全ですよ?」

レンジ    「そうだったな。今の無し!再装着!!」ガシャン

バチノス   「飛んで火にいる夏のメイド。いけ!蜂軍団!」ビシィ


 バチノスが指を差すと同時に背中のハチの巣から一斉に小型の蜂が

レンジを襲う!対してコードレス掃除機を構えて迎撃を試みる女装メイド。


レンジ    「こいつは紙フィルターのないサイクロン掃除機か。

      コードレスの取り回しの良さを舐めるな!!」


 蜂をみるみる吸引するコードレス掃除機。しかし左右に攻撃を振り分け

攻撃を続行するバチノスに対しレンジはニィと笑う。

 左手でスカートを翻し、ホルスターからスプレー缶を取り出す。


レンジ    「家事は戦いなんだ!イレギュラーは当然ある!

      殺虫剤ぐらいは用意しておくもんだ!

       メイドさんは何事にも動じない!!」

バチノス   「蜂切れか。ならば接近戦で!」ぐわっ

レンジ    「いったろ?コードレスはどんな状況にも対応できるんだ!

      それに槍の先端以外はただの棒だ。ついでに食らっておけ!

      顔面スプレーだ」シユーーー

ハボタン   「(ドン引き)正義の味方がやる戦法ではありませんね」


 槍と掃除機でつばぜり合い中、レンジは左手の殺虫剤スプレーを噴射。

悶え苦しむバチノスには隙ができた!!


バチノス   「ぐわああああ、何でこんな都合がいいものを!!」

レンジ    「(切れ気味)あぁ?家事のエキスパートだぞメイドさんは!

      布団を干すため窓開ければ虫なんて入ってくるんだよ!

      影で戦うからこそ、ご主人様が安心して過ごせんだ!!」

ハボタン   「(困惑)随分とガラの悪いメイドさんですね」


 殺虫剤を空中に撒き掃除機で一刀両断する!ガスの塊に高速で一撃を与え

摩擦を発生。掃除機に火炎を纏わせる。


レンジ    「今日も家計は火の車!焦熱狂焔しょうねつきょうえん

      アドマイア・オールマイティ!!」ザシュウウ

バチノス   「(倒れながら)見事」バタリ


 レンジの必殺技で敵を貫きバチノスは絶命後に爆発。

必殺技の意味は全知全能な存在に憧れるという意味だ。

 彼は未熟だがメイドへの情熱で強くなる・・・・かもしれない。

XNーVRを外し私服に戻るレンジに、涙目でハボタンが語りかける。


ハボタン   「レンジ様、強くなりましたね」

レンジ    「誰のことだ?それより家事を手伝ってくれるメイドさんが

      欲しくてな?君が良ければ是非ウチに来てほしい!

       俺はレンジ。鬼百合レンジだ!」

ハボタン   「私は・・・秘密です♪

       それよりチョコケーキが食べたくなってきませんか?」

レンジ    「ダメだダメだ!二人分の電車賃しかないんだ!」

ハボタン   「たかだか5kmですよ?歩きましょう!」

レンジ    「怪我してるメイドさんを歩かせるなど武士の恥だ!

      帰ったらチキンブリトー作ってやるから」


 肩を支え合いながら歩く二人を祝福するかのように背後で花火が打ちあがる。

いつか二人で、元気な姿で見ることを願い遊園地を後にした。

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