百合チューブ導入編

第6話 突然ですが姉さんと結婚っす

葉牡丹   「(小声)百合チューブの視聴者さんこんばんわっす。

     葉牡丹チャンネルへようこそっす。

     動画の解説は葉牡丹で。普段はハボタン表記っす。

     今日は例の計画を実行に移すっすよ。

      戦略リーダーの機械部さんの

     アカウントは概要欄に貼っておくっす。

      寝起きドッキリなんてぬるい物じゃないっすよ?」


ー鬼百合家 夜ー


レンジ   「ハボタンシャワー空いたぞ。明日ってなんかあったけ?」

ハボタン  「んー保健室登校なら教科書あればいいんじゃないっすかー」

レンジ   「ソファーで寝っ転がるなダメイド!あっ、今充電中か」

ハボタン  「そうっす。背中のUSBケーブルから電力補給中っす」

レンジ   「ハボタン旧式だからな。差す時表と裏でストレスたまるし」

ハボタン  「・・・どちらも差せるタイプもあるらしいっすよ?」

レンジ   「よし!今度の休日買いに行くぞ!」

ハボタン  「お断りします!!姉さんが苦しむ姿が見たいので!!」

レンジ   「俺は男だ!あと歪んでるぞ!それぐらい楽させろ!!

     まぁいいや、お休み。」

ハボタン  「お休みっすー」足ふりふり


ー鬼百合家 風呂場ー 

葉牡丹   「あのオレンジ髪のツンツンヘヤーが鬼百合レンジ姉さんっす。

     趣味はピー勢なので姉さんっす。

      そして目隠れメイドな私が妹のハボタンっす。アンドロイド

     だけど痛みは感じるし感情もあるっす。

      音声が聞き取りづらいって?シャワー中っす。

     表面を濡らすだけっすけどね。視聴者サービスはないっす。

     あくまで今回の主役は姉さんですので」


ー鬼百合家 レンジの部屋ー


レンジ   「部屋の掃除も終わったし!!百合チューブの時間だ!!

     現役メイドによる家事講座が山ほど!!

     うちのメイドは戦力外だからな!!」


ー鬼百合家 居間ー


葉牡丹   「(小声)随分失礼なこと言ってるっすね。

     今日はいたずら決行っす。なんで聞こえるかって?

     防犯カメラっすよ。姉さんがストーカー被害にあったら

     大変っすから」


ー鬼百合家 居間 夜十時ー


レンジ   ZZZ

葉牡丹   「姉さんおやすみなさいっす。

     じゃあさっそく姉さんのNーVRグラスから

     ”女の子がリラックスする時の脳内波形を音楽化”的な

     やつを流すっす。家にいるときが一番リラックスできると

     催眠学習をするっす。

      ついでにアロマオイルも使って匂いでもっす。

      今日の配信で私が喋ることはもうないっす。

     姉さんの幸せそうな睡眠映像は垂れ流しっすから、

     見たい人だけ見ればいいっす。夜十時からは成長ホルモンが

     分泌されやすいから、よいこは寝ないとだめっすよ?

      明日の朝六時半から物語を開始っす。

      それでは良い夢を」


ー鬼百合家 レンジの部屋 朝ー


葉牡丹   「皆さまおはようっす。

     鬼百合姉さんは朝が弱いので私が起こすっす。

      手っ取り早く起こしたいのでカーテンを開いて

     直射日光の直火焼きっす」

レンジ   「うう、あと来世ぇ」

ハボタン  「ふざけた寝言を言ってないで起きるっす。

     今日も元気に保健室登校っす」

レンジ   「にぇむいのだ」

葉牡丹   「姉さんをテーブルに座らせて、私はごみ箱の確認っす。

     姉さんに悪い虫が付いていないかとか、

     趣味が変わってないかの確認っす

      他意はないっすよ?朝は私が家事担当っすから」


ー鬼百合家 食卓ー

レンジ   「はむはむ」

葉牡丹   「姉さん用に食パンと卵二個ををスキレットでオーブンでチン。

     二つを合わせて目玉焼きトースト完成っす。

     市販のヨーグルトに牛乳で朝食っす。

      特筆すべきは、お皿もコップも紙製っす。スプーンもプラ製。

     洗い物は金属のスキレットだけっす。朝は時間ないっすから」

レンジ   「ハボタン、誰かと話してる?」

ハボタン  「私のチョコ塗った食パンっす」

レンジ   「そっかー」

葉牡丹   「姉さんがツッコミを放棄するぐらい朝は弱いです」しくしく


ー鬼百合家 台所ー


レンジ   「ごちそうさまでしたー」

ハボタン  「はい、後片付けは私がやるっすから、姉さんは書類に

     捺印と署名を」

レンジ   「なんの書類?」首傾げー

ハボタン  「え、可愛すぎませんか?何この生物。

     ではなく!昨日の遊園地であった人から領収書が来てるっす。

     細かい文字は私が全部見たっす」

レンジ   「これ大丈夫なやつ?」

ハボタン  「姉さんに不利益があったら私が殴り込み行ってるっす。

     付箋あるとこにサクッと署名っす」

レンジ   「書いたしハンコ押した。ハボタン、顔洗ってくる!」

ハボタン  「歯も磨いて日焼け止め塗るっすよー」

レンジ   「ういー」

葉牡丹   「ずっと素直でいてくれたらいいんすけどね。

     ちょっとでもガサツさを見せたら即ピー勢っす」


ー保健室ー


ハボタン  「それでは先生お願いします。私はロボ病院と行くところが

     ありますので」ぺこり

先生    「あははは、行ってきな。私はメカはバイクしか分からないから」

レンジ   「ハボタン無理してる?」

ハボタン  「大丈夫。姉さんは私が守るっすから」


ー市役所ー


葉牡丹   「やってきました!市役所っす。察しのいい視聴者なら

     気づくはずっす!」


ー保健室 昼ー  


レンジ   「先生、ハボタンはサボりっすかー」

先生    「いや?病院と寄り道だそうだ」

レンジ   「びしっと言ってください。寄り道とか不良っす」

先生    「あはははは、年上と喋るとき、”っす”が

     語尾になってるぞ?レンジ君!」

レンジ   「ハボタンには内緒にしてください!

     多分僕の真似ですからね」

先生    「口調戻していいぞ?無理しすぎてこっちが辛い」

レンジ   「何考えてっか分っかんねーし。メイドなら清楚にだな」

ハボタン  「メイドっす。凱旋しました。主殿」

レンジ   「もうめちゃくちゃだな!!」

葉牡丹   「葉牡丹チャンネルの皆様!ドッキリの種明かしっす。

     朝に姉さんが書いた書類は婚姻届けっす。

     私と姉さんは結婚するっす!!」

レンジ   「ドッキリって動画投稿者かよ!」

葉牡丹   「ええ、姉さまが寝ぼけてる間に書いたアレは

     愛を誓いあう書類っす」

レンジ   「こんなの無効だ!!不成立!!ノーカン!ノーカン!」

葉牡丹   「いいんですか?私の百合チューブのチャンネル登録者数は

     十万人。そのすべてが敵になるっすよ?」

レンジ   「マジ?」

先生    「あはははは、印鑑はそれほど重要ってことさ。

     なぁに詐欺じゃなかったから、高い授業料と思えばいいさ」

ハボタン  「これからよろしくっす!”レンジ姉様”!」

レンジ   「オーケー、グー百合、樹海探して」


葉牡丹   「今回の婚姻届ドッキリは大成功っす。

     これからは二人三脚で盛り上げていくっす。

     本日はこれにてさらばっす」配信終わりー

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る