第27話 扉の場所
おれは扉を置く場所を決めた。
ここしかない……ここがいいと思った。
「アオイさん、扉がどうかしたのですか?」
「ナイル、さっき神野さんと話をして扉は陸にあげてみんなが行き来できるようにすることになったんだ」
「そうなんですか、それは嬉しいことです」
「そうだろ。でもどこに扉を置くか悩んでいたんだ」
「そうですか」
「いい場所を思いついたんだ」
「どこですか?」
「わたしも聞きたいです」
ナイルとナターシャは場所が気になるようだ。
「いまから扉をもっていこう」
「はい」
「まだ、おあずけですね」
「ああ、ついてからのお楽しみだ」
「「わかりました」」
水の中にもぐり扉のところにいった。
そしてみんなで扉を運んだ。
そして、陸にあげた。
「扉をあけて確認してみるな」
「はい」
おれは恐る恐る扉を開けた。
カチャ!
扉をあけると、そこは炎の都市とつながっていた。
「わぁ! よかった緊張した~」
「よかったです」
「これは心臓によくない緊張感ですね」
「まあな」
おれたちはもうひとつの扉も陸にあげた。
そしてまた確認をした。
間違いなくドラゴンの都市とつながっていた。
「よし、水上カーで移動しよう」
「「はい」」
「ついてきてくれ」
おれは扉を水上カーに積み込み走らせた。
もうひとつの扉はナイルとナターシャに運んでもらった。
――――
「ついたぞ!」
「ここは……」
ナイルとはこの場所にきていた。
「そうだよナイル。ここはおれが一番好きな場所だ」
「アオイさま、ここはわたしと最初に出会った場所では?」
「そう、ナターシャも覚えていたか」
「はい、もちろんです」
「おれはこの螺旋階段から見る、この水上の都市の景色が大好きだ」
「はい、わたしもです」
「わたしはこんなにじっくりみたことがありませんでしたが……こんなに素敵だったとは……」
「そうだろ。おれはこの近くに扉をおいてほかの都市の人たちにもこの素晴らしい都市を見せたいんだ」
「はい、いいと思います」
「わたしも賛成です」
おれはふと、クレアを思いだしていた。
「ふたりともちょっとここで待っていてくれ!」
「え?」
「すぐに戻るから……」
「はっはい」
「お気をつけて」
おれは急いでバイクを出し、乗り込んでマンションへと向かった。
さすがに自分の部屋に行く番号は覚えた。
ピン!
よし、あってた~
違ったらどうしようかと思ったよ。
「クレア、いるか?」
「は~い、アオイ早かったのですね」
「ああ、ちょっとおれと一緒にきてくれ」
「え? はっはい」
おれはクレアの手をひいて外に連れ出そうとした。
「アオイ、着替えます」
「いいよ、そのままで」
「そうですか?」
「ああ、急がないと」
「わかりました」
クレアの格好はべつに外で着ていてもおかしくない格好だった。
なにを気にしたのかわからないくらいだ。
「アオイ、どこに行くのですか?」
「扉の置き場所が決まったんだ」
「そうですか、それはよかったですね」
「クレアにも見せたいんだ」
「はい、嬉しいです」
おれはクレアをバイクに乗せて、走らせた。
「クレア、ついたよ」
「この場所ですか?」
「ああ」
ナイルとナターシャは景色を見ながら待っていた。
「アオイさま、おかえりなさい」
「クレアさんを呼びにいってたんですね」
「ああ、クレアにもこの景色を見せたくて……」
クレアをみた。
すると、クレアの目はウルウルしているように見えた。
「クレア、おれが一番好きな景色だ」
「はい、とても素敵です」
「時間ごとに景色がかわるんだよ」
しばらく景色を見ているとだんだん日が沈みオレンジ色の景色に変わった。
「アオイ、本当に素敵ですね」
「そうだろ」
「このあたりに扉を置くのですね」
「ああ」
「では、あのあたりはどうでしょうか?」
クレアが指をさした場所は螺旋階段の登り口から近い場所だった。
「ほかの都市からきた人たちもこの素敵な景色をみられるように……」
「そうだな、そこにしよう」
「「はい、いいと思います」」
おれたちはふたつの扉を少し離しておいた。
そして、炎の都市とドラゴン都市に行けるか確認をした。
「このまま、ドラゴン都市にいってみるか」
「「はい」」
「わたしもいいのですか?」
「クレア、もちろんだよ」
「嬉しいです」
おれたちは扉をあけて、ドラゴン都市にいった。
「アオイ、違う都市は本当にあったのですね」
「ああ、そうだよ」
「これからはいろんな人たちとあって話ができるってことですね」
「ああ、そうだ」
クレアは初めて見る光景に目を輝かせていた。
「アオイ~」
だれかがおれの名前を呼んだ。
ん?
この声は?
「ハドリア!」
「アオイ~」
ハドリアはおれに飛びついた。
わぁ!
「待ってたぞ~遅かったな」
「悪い遅くなった」
「いいのだ。よくきてくれた」
「元気だったか?」
「ああ、キルさまも元気だぞ」
「そうか」
「キルさまがお待ちだぞ」
「ハドリア、よくおれたちが来たってわかったな」
「キルさまが迎えにいってこいって」
「そうか、キルはすごいな」
「さあ、行くぞ」
「ああ」
ドラゴンだもんな、なにか感じるんだろうな。
おれたちはキルのいる塔にいった。
「アオイ、見てろ?」
「え? なにを?」
ハドリアの背中の翼がバサッっと大きく開いた。
おぅ!
びっくりした。
そして、ハドリアは空高く飛んだ。
わぁ!
「アオイ~驚いたか~飛べるようになったんだぞ~」
ハドリアは大きな声で嬉しそうに叫んでいた。
おれたちはバイクに乗ってハドリアのところまであがった。
「ハドリア、すごいな」
「そうだろ」
「飛べるようになったんだな」
「ああ、どこへでも行けるぞ」
「そうか、よかったな」
ハドリアは嬉しそうにグルグルと飛びまわっていた。
「ハドリア、そのぐらいにしておかないと目がまわるぞ」
その声は?
「キル!」
「よう、アオイ待っていたぞ」
そこには小さいのに凛々しいキルの姿があった。
「わ~目が……まわった……はぁ~」
「お、おいハドリア大丈夫か?」
「ほら、言わんこっちゃない」
「ハドリアは大丈夫だ、そのうち治る」
「はぁ」
「それより、炎の扉も見つけたらしいな」
「はい、みつけました。その報告と扉を陸にあげ、また前のように3つの都市で行き来できたらと思い話会いにきました」
「そうか、扉がみつかってよかった」
「はい」
「では、ハルヒを呼ぼう」
「いまから呼んで大丈夫か?」
「ああ、問題ない」
そういうと、ハドリアに炎の都市の長ハルヒを呼びに行かせた。
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