第26話 和解

3人の生活が始まった。


「アオイさま、先ほど神野さまから連絡がありました」

「おっ! 扉の話か?」

「はい、その件でお話しがあると……」

「わかった、ナターシャ一緒にいけるか?」

「はい、もちろんです」


おれとナターシャは神野さんのところにいった。

そこにはナターシャのおねえさんがいるがナターシャはもう大丈夫なのか?


「アオイさま、つきました」

「ああ」


ピンポーン!


扉を開けてくれたのはナターシャのおねえさんだった。


「こんにちは」

「こんにちは、アオイさま。主人さまがお待ちです」

「あ、はい」

「こんにちは、おねえさん」


ナターシャが挨拶をすると、おねえさんは驚いていた。

ナターシャえらいぞ。

もう、大丈夫そうだな。


「アオイくんか、待っていたよ」

「はい、神野さん連絡ありがとうございます」

「ここへ座ってくれ」

「はい、ナターシャも一緒に座ってくれ」

「はっ、はい。神野さま、よろしいでしょうか?」

「ああ、アオイくんがいうんだから座るといい」

「はい、では失礼します」


それをみていたナターシャのおねえさんは顔をゆがめた。

どういう感情でいま顔をゆがめたのだろう。

でも、気にしない。

おれたちはおれたちだ。

なっ、ナターシャ。

ナターシャは不安そうな顔をしていた。

おれはナターシャの手を握りしめた。


「ナターシャ、大丈夫だ」

「はい」


ナターシャの顔が和らいだ。


「ところで、アオイくん! 扉の話だが……」

「はい」

「先にアオイくんの考えを聞かせてくれるかい?」

「はい、おれはすべての人が出入りできるようにした方がいいと思いました」

「ほほう、それはどうしてだい?」

「それぞれの都市は偏りがあるように感じたからです」

「偏りねぇ~」

「はい、この水上の都市はとてもシステム管理ができていて素晴らしいと思います。でも、まわりとのふれあいがありません。温かみが感じないんです」

「温かみかぁ~」

「でも、炎の都市では温かみを感じました。でも、まったく栄えてない感じです」

「そうだな」

「そこをうまくお互いに共存できればもっとすばらしい都市になると思ったからです」

「なるほど」

「もし、都市の治安が悪くなるようなら取り締まるアンドロイドをつくればいい。そう思います」

「そうだな、わたしもきみと同じ考えだ」

「え? そうなんですか?」

「ああ、ここまでこの都市を発展させてきたがきみのいう温かみがないことに少し寂しさを感じていたんだよ」

「そうですか」

「意見が一致したということだな」

「はい」

「では、扉の移動をきみに頼めるか?」

「はい」

「場所はきみに任せる」

「わかりました」


神野さんの顔にも笑みがこぼれた。


「ナターシャも賛成か?」

「はい、もちろんです。ほかの都市の方たちともお話しができるなんて面白いです」

「そうだよな」


ナターシャも嬉しそうだ。


「では、神野さんまた来ます」

「ああ、遊びに来てくれ」


おれとナターシャはエレベーターらしき箱に乗り込んだ。

すると、ナターシャもおねえさんが追いかけてきた。


「ナターシャ、幸せそうでよかった」

「おねえ……さん、ありがとう」


おねえさんの顔が少し和らいでいたように見えた。

おねえさんもナターシャのことを心配していたのかもしれない。


「ナターシャ、よかったな」

「はい、アオイさまのおかげです」


――――


さて、扉をどこに置くのがいいかな~


「ナターシャ、扉をどこに置こうか?」

「そうですね……いったん持ち帰りましょうか」

「そうだな」


おれとナターシャは部屋にもどった。


「「ただいま」」

「おかえりなさいませ」


クレアが出迎えてくれた。


「早かったのですね」

「ああ」

「どうでしたか?」

「扉はみんなが出入りできるようにするってことになった」

「そうですか、それはよかったですね」

「ああ、でもどこに置こうかと悩んでいるんだ」

「……」


「そういえば、ナイルは?」

「花を摘みにいかれました」

「そうか、早くいって手伝わないとな」

「はい」


考えてもなかなかいい案がでなかった。


「アオイ、とりあえずナイルのところにいってきたらどうですか?」

「そうだな、ここで考えても浮かばないな」

「外にいったり水の中でいい案が浮かぶかもしれませんよ」

「そうだな、いってくる」

「はい」


おれとナターシャはナイルのところにいった。

いまは、おれも水上カーに乗れるから自分で運転していく。

そして、水の中に潜っていくんだ。

気のせいか水が透明になっている気がした。

前から綺麗だったが、前よりも綺麗になっているような気がした。

気のせいか……。


ナイルが花を摘んでいた。

ナイルに来たことをしらせるために、ナイルの前を泳ぐ。


「アオイさん、ナターシャきてくれたんですね」

「ああ」


おれも、返事ができるようになった。

最初は水を飲んでしまったが何回か練習するうちにできるようになった。

いつものように花を摘んだ。

どんだけ、日にちがたとうがまったく枯れない不思議な花だ。

気のせいか、ナイルも最近綺麗になった気がする。

花たちと関係があるのか……まあ、いっか。

キラキラ光る水の中で綺麗な花を摘んでいると、ふと思いついた。


「そ……だ、あ……にし……う」

「アオイさん、なにかいいました?」

「ああ」


おれは急いで陸にあがった。


ぷはっ。

ぷはっ。


「アオイさま、急にどうされたのですか?」

「ナターシャ、扉の場所決めたよ!」

「え?」


おれは、扉の置く場所を決めた。

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