第21話 バイト代もらう

おれたちはナイルの花を摘みにきている。


「そろそろ、陸にあがりましょうか」


うんうんとうなずく。

そして、急いで陸まで泳いでいく。


ぷはっ。

ぷはっ。


「大丈夫ですか?」

「ああ、だいぶ慣れてきた」

「はい、わたしも慣れました」

「おふたりとも前よりかなり多くの時間水の中にいられるようになりましたね」

「ああ」

「そのうち、水の中で話ができるようになりますよ」

「そうかな……」


さすがに、話はできないような気がする。


「ナイル、炎の都市につながる扉も探したいんだけど……」

「はい、探してみましょう」

「今からいけるか?」

「はい、もちろんです」


おれとナターシャはナイルについていった。

花畑を過ぎて扉がたくさんあるところまで泳いでいった。


「ここです」


ん~

でも、この中から見つけられるかな~

そして、今日はこの扉を移動できるか試してみたかったのだ。

とりあえず、ドラゴンの都市の扉までいった。

そして、少し持ち上げてみた。


うぅ!

あっ、意外と持てるかも。

でも、扉を動かして時空みたいなものがずれたりでもしたら二度と行けなくなってしまうから気をつけないといけない。

少し動かしてみた。

そして、扉を開けて顔を突っ込んで確認をした。

何も変わっていない。

時空のずれとかないのか?

もう少し動かしてみた。

それを見ていたナターシャとナイルが近づいてきた。


「アオイさん、どうしたのですか?」


おれは、ナイルにジェスチャーで扉を陸にあげたいみたいなことをやってみせた。


「扉を陸にあげるのですか?」


おぅ、伝わっている。


「動かして大丈夫なんですか?」


おれは首をかしげて、またジェスチャーをした。

少しずつ移動させながら慎重にもっていきたいみたいなことをやってみた。


「ちょっとづつ動かしたいということですか?」


うんうんとおれはうなずいた。

ナイルはすごいな~

おれのジェスチャーがわかるようだ。

それともおれのジェスチャーが上手なのか?


まあ、とにかくゆっくりと扉を動かしてやめて扉を開けてを繰り返した。

少しづつ確認をしながらようやくナイルの花畑までついた。

おれはまだ陸にあげない方がいいかと思った。

炎の都市へつながる扉が見つかってから考えようと思った。


おれは、ナイルにジェスチャーでここに置こうといった。


「ここに置きますか?」


うんうんとうなずいた。

そして、またたくさんの扉のところに行き炎の扉を探した。

かなり探したが見つからなかった。


「いったん、陸にあがりましょう」


おれとナターシャはうなずいた。

そして、急いで陸まで泳いであがった。


ぷはっ。

ぷはっ。


「はぁ、結構きつかったな」

「はぁはぁ、きつかったです」

「少し時間をかけてしまいましたね、すみません」

「いや、いいんだよ」

「扉、見つかりませんでしたね」

「ああ、そうだな。また明日探そう」

「はい、そうですね」

「あの~もしかしたらほかの場所にあるってことはないですか?」


ナイルが提案をしてきた。


「そうだよな、その可能性はあるな」

「でも、まだすべての扉を確認したわけではないですからもう少し探してからでもいいのでは……」

「そうだな、じゃあもう少し探してみてなさそうなら違う場所も探してみようか」

「「はい」」


おれたちは今日のところはマンションに帰ることにした。


「ただいま~クレア」

「おかえりなさいませ」


おれはクレアに抱きついた。

そして、続いてナターシャが抱きつき最後にナイルが抱きついた。

なぜか、みんなクレアに抱きつくようになった。

癒されるのだろう。


「今から花をかごにいれるのですか?」

「ああ、そうだ」

「今日も100個花を摘んできたので、かごにいれる作業をお願いします」

「わかった」

「あの~」


ナイルがなにか話をしたいようだった。


「どうした?」

「この花たちで得たお金ですが、いつお分けしたらいいですか?」

「え? ああ、そのお金は全部ナイルのお金でいいんだよ」

「ええええ! それはいけません」

「おれは最初からもらうつもりはなかったよ」

「わたしもですよ」


ナターシャも賛成しているようだ。


「もちろん、わたしもです」


クレアも賛成のようだ。


「で、でもかなりの大金ですからそんなわけにはいきません」

「そうか……」


おれは考えた。


「じゃあ、バイト代みたいに時給でもらおうかな」

「バイト代とはなんですか?」


バイトという言葉を知らないのか。


「ナイルのお手伝いを1時間いくらっていう感じにもらう方法だよ」

「なるほど……」

「それはいい考えですね」


クレアが賛成してくれた。


「ナターシャはどうだ?」

「ナイルさんがどうしてもというのであればわたしはかまいません」

「よし、じゃあバイト代ということで」


ん~いくらにしたらいいんだ?


「アオイ、1日10,000というところでどうでしょう」

「ああ、いいよ」

「ナイルは一人10,000でいいのか?」

「もちろんです、少ないくらいです」

「そうか、じゃあそれでいいな」

「はい」


みんな賛成した。

花かごが1個1000だから、まあ10個売った感じだな。

かご代とかは全然入ってないけどね。

まあ、いいところだろ。

さすが、クレアはまとめる力もあるんだな。

それにしても、ナイルも律儀だな。

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