第13話 秘密の扉見つけたかも!?

ナイルの花のあるところまできた。


「ここからはおれたちは時間との闘いだ、ナターシャ」

「はい、そうですね。息が続くまでしかもぐれません」

「そうだな、ナイルに花の摘み方を教わってすぐに実行だ」

「はい」


ナターシャはやる気満々だ。


「では、潜ったらわたしが花の摘み方をみせるので真似してください」

「わかった」

「わかりました」

「では、いきます」


おれとナターシャは、ナイルについていった。

泳ぐ練習をしたからいいけど、結構深く潜るんだ。

普通の泳ぎ方ならきっと花畑まで泳げないくらいだろう。

ナイルの泳ぐ姿を後ろからみていても、足を触ってしまいたいくらい綺麗に泳ぐんだ。

突然さわったら驚くだろうな。


「ここです」


おれたちは声はだせないからいつもの親指を立てて、OKサインをだした。

ナイルが花を摘んでみせた。

なるほど……かなりやさしくやるんだな。

よし、おれもやってみよう。

おれは、流木についた赤い花をやさしく摘んでみた。

ナイルにみせた。


「すごく、いいです」


よし、こんな感じか。

おれは石についた黄色い花を摘んだ。

よし、いい感じだ。

ナターシャも上手に摘んでいるようだ。

ふとナイルをみると、手際がいい。

さすがだな。

花のことをよくわかっているんだな。

おれは花を摘んでかごにいれた。

かごは結構大きいが水の中ではまったく重みを感じない。

陸に出すとかなり重いらしい。

陸にだすときは一度画面に収めて部屋で出すらしい。

本当に便利だよな。

水から直接画面にいれられたらもっと楽なのにな。


「そろそろ、いったん陸にあがりましょう」


忘れていたがちょっと苦しくなってきた気がする。

ナイルはよくわかっているんだな。

おれたちは花の入ったかごをもって陸にあがった。


ぷはっ!

はっはっ……。


「おふたりとも大丈夫ですか?」

「ああ、夢中になって息継ぎを忘れていたよ」

「わたしもです、もう少し遅かったら陸まで息がもたなかったかもしれません」

「おれもそうだよ、ナイルありがとうな」

「いえ」


おれたちは花の入ったかごをみた。


「それにしても、この花たちは綺麗だな」

「はい、そういっていただいてありがとうございます」

「いや、本当に」

「わたしの画面にすべていれますね」

「ああ、そうしてくれ。いまので、どのくらいあった?」

「えっと……57個です」

「そうか、あと一回いったら今日の分にはなるな」

「はい、よろしくお願いします」


おれたちは少し休憩をしてまた潜った。


「よし、もう一度いくか」

「「はい」」


ナイルを先頭に泳いだ。

花畑につくとそれぞれ作業し始めた。

よ~し、今度はおれも多く摘むぞ。

おれはまた、夢中になっていた。

ふとっ、ピンクの花に目がいった。

これは可愛いな~

流木についた花だった。

丁寧に砂や小石から流木を取り出し、かごにいれようとした。


あっ!

おれはその花を流木ごと落としてしまった。

やばい!

その花はみるみる水の底に落ちていった。

おれは、ナイルの大切な花を無駄にしてはならないと追いかけた。

どんどん落ちて……、建物よりも下に落ちていった。

手をのばしても届かない。

もう少し……もう少し……。

おれはかなり潜ってきてしまったことすら気づかないで花を追いかけていた。

花がなにかに引っかかってとまった。

よかった~

おれは花に手をのばした。


うっ!

意識がなくなった。


――――


「アオイさん、しっかりしてください」

「アオイさま、アオイさま」


ん?

おれは、目が覚めた。


「あ~よかった~」

「アオイさん」


ナイルがおれに抱きついてきた。

おれはまだ意識がもうろうとしていた。

しばらく休むと意識がはっきりしてきた。


「あ、おれナイルの大事な花を落としてしまって」

「大丈夫です、ちゃんともってきました」


ナイルの話をきくと、おれが花を追いかけていく姿をナイルがみたようだ。

それに気づいて追いかけてきたらしい。

花をつかもうとしたらおれの意識がなくなったのでナイルが抱えて助けてくれたらしい。

陸にあがり、ナイルがおれに人工呼吸をして水をはかせたということだ。

ナイルはおれにキスをしたということだな。

記憶にないから損をした気分だ。


「よかったです、心配しました」

「心配かけて、ごめんな」

「アオイさま、わたしは助けにいけませんでした」

「しょうがないよ、ナターシャがきていたらふたりで意識なくなってたよ」

「そうですね、ナイルさん! アオイさまを助けてくださってありがとうございます」

「いえ、わたしこそこんな危ないめにあわせてしまってすみません」

「ふたりとも心配かけて悪かったな」


ふとっ、さっきの花が引っかかった場所の光景があたまにうかんだ。


「なあ、ナイル! さっきの花が引っかかった場所にたくさんの扉がなかったか?」

「え? 扉ですか?」

「ああ、なんかたくさんの四角いものに引っかかったんだよ」

「あっ! そういえば四角いものがバラバラとあったような気がしますがそれが扉だったかどうかは覚えていません」

「そうか」


おれは、たしか四角いものが一瞬目に入ってきて扉だったような気がした。


「おれは扉だったような気がするんだ。あれが秘密の扉じゃないのかな~」

「ええええええ!!」

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