第11話 水の中の花畑

さっそく、秘密の扉を探すことになった。


「ナイル、今から花を見にいけるか?」

「はい」

「ナターシャも大丈夫か?」

「はい、もちろんです」


おれたちはマンションをでてナイルが花を育てている場所にいった。

おれはナターシャの水上カーにのせてもらっていった。


「アオイさん、こちらです」

「そうか、おれたちは息が続かないから少しづつ教えてくれ」

「はい、わかりました」


おれとナターシャはナイルに息のしかたを教えてもらった。

しかし、そう簡単に習得できるものではない。

ナイルの生まれ持った特技かもしれない。

ナイルのご先祖さまが人魚かもしれない。

まあ、とにかくできるところまでやろうと思う。


「では、ついてきてください」

「ああ」

「はい」


おれとナターシャは潜った。

意外と潜れた。


「アオイさん大丈夫ですか?」


声は出せないので、親指をあげてOKのサインをだした。


「それは大丈夫ということですか?」


おれはまた親指を上げて顔をうんうんとうなずいた。

OKサインを知らないんだな。


「ナターシャさんは大丈夫ですか?」


ナターシャもおれの真似をして親指を上げた。

ナターシャも大丈夫のようだ。


「では、花があるところに案内しますのでついてきてください」


おれたちはナイルについていった。

そこは、まるで花畑に来たかのように花でいっぱいだった。

季節によって、さく花が違うらしい。

根っこが石や流木に巻き付いておもりになっているのかとても綺麗に咲いていた。


ナイルに話をしたいが話ができない、そして息がくるしくなってきた。


「……むっ」


おれは急いで泳いで水の上に顔を出し息継ぎをした。


ぷはっ!

ふぅ、苦しかった。


「アオイさん、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ」


「ぷはっ」

「ナターシャさんも無理しないでくださいね」

「はい、はぁはぁ……ちょっと無理しちゃいましたね」


ナターシャも意外とやるな。

おれよりも息が続くなんて……。


すると、ナターシャに連絡が入った。


ピピッ!

ん?

なんの音だ?


「あ、わたしです」

「そうか」


ナターシャは画面をだしてだれかと話をしているようだ。


「はい……はい、わかりました」

「アオイさま、水の調査結果がでたそうです」

「どうだった?」

「それが、どこの水も同じ成分だったそうです」

「そうか」

「多少の微生物の違いはあったそうですが、それほど変わったものはなかったということです」

「わかった」


やっぱり、おかしいよな。

違和感しかないよな。

これは秘密の扉があるということに信憑性を感じるよな。

ちなみに今のは画面に連絡が入ったということだよな。

zoomみたいなものかな。


「とりあえず、今日は部屋に戻ろう」

「はい」

「そうですね」

「あしたには試作品のガラスの入れ物が届くと思うから、それが届いたら花を摘みにこよう」

「はい」


おれたちは水上カーに乗ってマンションに戻った。

おれの顔認証でマンションの扉があき、部屋に戻った。

部屋の前にくるとまた顔認証で部屋の鍵があいた。

相変わらずこのマンションすごいよな。


「おかえりなさいませ」

「クレア、ただいま」


おれはクレアに抱きついた。

そして、疲れを癒した。

それをみていたナターシャとナイルは顔を背けていた。

見てはいけないものを見ているようだな。

まあ、でもいっか。

おれはクレアに抱きつきたいんだもん。


「みなさん、お疲れでしょう」

「ああ、疲れたよ」

「夕食できていますよ」

「いただくよ、ナターシャもナイルも一緒に食べよう」

「はい、いいのですか?」

「ああ、いいよ」

「わたしもいいですか?」

「ああ、もちろんなんならナイルは今日も泊まっていくか?」

「え? ほんとですか? ほんとに泊まっていいですか?」

「ああ、かまわないよ。クレアはいいか?」

「はい、もちろんです」


クレアの顔を見た。

喜んでいた。

よかった~

勝手に言ったからちょっと気になった。

でも、クレアはやっぱりいい子だよ。


「ナターシャも泊まっていけばいいのに」

「え? いや、わたしはとなりに部屋がありますので……」

「そうか」


クレアがテーブルに食事を並べた。

毎回、ホテルのような食事だ。

どれを食べても美味しい。

おれ好みに味付けをしているらしい。

すごい!


「では、いただこう」

「「いただきます」」

「どうぞ」


おれたちはクレアの食事をおいしくいただき、楽しい夕食の時間となった。


「わたしはそろそろ部屋に行きます」

「そうか、もうそんな時間か」

「クレアさん、ごちそうさまでした」

「いえ、いつでもいらしてください」

「ありがとうございます」


ナターシャはとなりの部屋に帰っていった。


「アオイ、お風呂にしますか?」

「ああ、そうだな」

「ナイル、先に入るか?」

「いえ、あとでいいです」

「わかった、じゃあクレア先に入ろうか」

「はい、わかりました」


おれはナイルの顔を見た。

やはり、顔が赤くなっていた。

そうだよな~

普通はそうなるよ。

ごめん、でもおれはクレアと一緒に入りたいんだ。


お風呂場にいった。

一気に服が脱げた。

そしておれはシャワーのまえにたち体を洗い始めた。

すると、クレアが入ってきた。


「アオイ、わたしが洗います」

「ああ、お願い」


クレアは石鹸でおれの体を洗った。

クレアの優しい手の感じが伝わってくる。

これが気持ちがいいんだよ。

だから、おれもお返しに洗ってあげるんだ。

クレアも気持ちよさそうな顔になる。

その顔がなんともたまらない。

可愛くてしょうがない。

ずっとこのままでいたい。

でも、そんなわけにはいかない。

おれたちはお互いに洗い合い、湯船に入る。


「ああ~気持ちいい~」


お風呂って気持ちいいよな。


「アオイ、今日もお疲れでしたね」

「ああ、でも回復したよ」

「それはよかったです」


クレアに癒されて回復する。


「クレア、先にでるよ」

「はい」


おれは脱衣所にでた。

風がふき体の水が吹き飛ばされた。

乾いたと思うとすぐに服が体に着せられる。

これはほんとにいいよ。


おれは風呂場をでた。


「ナイル、いまクレアが入っているけど入っていいよ」

「はい、わかりました」


ナイルは入っていった。

クレアとナイルの声がしている。

なんか女の子の声が聞こえて、しかも楽しそうだと嬉しくなるのはなぜだろう。


おれは、部屋にいきベッドに横になっていた。

泳ぎの練習をしたから疲れたのだろう。

いつのまにか眠ってしまった。

気づくと朝になっていた。

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