第10話 鳥かご水中花

調査を終えてもどってきた。


「ナターシャ、研究室によって採集した水の成分を調べてもらえるか?」

「はい、わかりました」


ナターシャは暗号のような番号をうってエレベーターのようなものは動いた。

扉は開いた。


「アオイさま、つきました」

「ああ」

「こちらになります」


ナイルは初めて入るのでキョロキョロしていた。


「ナイル、そんなにキョロキョロして興味あるのか?」

「はい、すっごく興味あります」

「そうか、ナイルはこういうところで働きたいのか?」

「はい、ここの研究室で働くことが最大の目標です」

「そうなのか?」

「アオイさま、ここの都市に住む人たちの目標はここの研究室で働くことです」

「え? そうなのか?」

「はい、そしてここのマンションに住むことが夢となっています」

「みんな、同じ夢なのか?」

「はい」


へえ~

そんなものかね。

なんか寂しいような気がするのは気のせいか?


「アオイさま、こちらに預けて成分を調べてもらいます」


おれは、この世界にきて初めて男の人にあった。


「よろしく頼む」

「はっはい、早急に調べます」

「いや、そんな早急じゃなくて大丈夫だよ」

「あ、ありがとうございます」


おれってどんな立場なんだ?

この世界では結構上の立場なんだな。


「アオイさま、ではお部屋に戻りましょうか」

「そうだな」


おれたちは部屋に戻った。

おれは顔認証でドアをあけた。


「おかえりなさいませ」


クレアが出迎えてくれた。

あ~クレアが待っていると思うとほっとするな~


「クレア、なにか飲み物もらえるか?」

「はい、みなさんの分を用意しますね」

「よろしく」


おれたちはリビングに行き、椅子に座ってくつろいだ。


「ナイル、水中の花をどう売り出すか話しあおうか」

「はい、お願いします」

「クレアなにか案はあるか?」

「……、水に入ったままの状態で売りたいですよね」

「そうだな」

「ナターシャはどうだ?」

「つるして飾れたらおしゃれかなと思います」

「つるすのもいいな」


おれはふとっ、鳥のかごが頭にうかんだ。


「アンティーク風鳥かごのガラス貼りバージョンに花と水をいれるのはどうだ?」

「いいですね」

「つるすことができるし可愛いのでいいと思います」

「ナイルはどう思う?」

「はい、素敵です」

「このガラス貼りがどこまで頑丈にできるかが問題だな」

「そうですね、水漏れしたら大変ですものね」

「さっそく作ってみてどのくらい花が持つかも調査しないとだめだな」

「はい」

「わたしがガラス職人を紹介いたします」

「ナターシャさん、ありがとうございます」

「さっそく連絡してみます」


ナターシャはすぐに連絡していた。


「ナイル、今育てている花は1種類だけか?」

「いえ、何種類かあります」

「そうか、それなら種類も多くなるし色もたくさんあるのか?」

「はい、赤にピンクに黄色に白ほかにもオレンジがあります」

「けっこう、普通にあるんだな」

「一輪もいいが花の束でもよさそうだな」

「いいですね」

「なにからなにまでありがとうございます」

「いや、ありがとうは売れてからだな」


ナイルは嬉しそうだ。


「アオイさん、今日となりの都市を調査にいって両親が言っていたことを思いだしたのですが……」

「なんだ?」

「違う都市に行くには秘密の扉からじゃないといけないって……」

「え? それはどういうことなんだ?」

「小さいときに聞いた話なので本当かわからないのですが……」

「ナイルが小さいときに親が秘密の扉があるっていってたのか?」

「はい、ふとっ思いだしました」


クレアはしらないよな。

ナターシャは知らないのか?


「アオイさま、ガラス職人に連絡がつきました」

「そうか、それでどうだった?」

「なんとなく話はしてイメージも送っておきましたので明日には試作品が届くはずです」

「そうか、ナターシャはやることが早いな」

「ありがとうございます」

「そういえば、ナターシャ」

「なんでしょうか?」

「いま、ナイルから不思議な話をきいんだが……」

「不思議な話とは?」

「となりの都市にいくには秘密の扉があるって……」

「え?」

「ナターシャはきいたことがないのか」

「はい、初めて聞きました」

「そうか」


ナイルの家に伝わっていることなのか?

ナイルは水の中で息もできるし、人種が違うのか?


「ナイル、他になにか思いだすことはないか?」

「ん……、5歳までの記憶なので定かではありません」


そうだよな~

5歳までしか親と一緒に暮らしてないんだもんな。

おれも5歳までの記憶はほとんどないよ。

そんなものだろう。


「あっ」

「どうした?」

「たしか……、水の中に扉が……、はいそうです、水の中に扉があるといっていました」

「水の中に?」

「はい、わたしの両親がいっていました」

「あれだけ遠くまでいっても見つからなかったんだ、秘密の扉があってもおかしくはない」

「そうですね、でもわたしはまったく聞いたことがありませんでした」

「いままでだれにもこの話が伝わらなかったことがすごいな」

「わたしもいまのいままで忘れていたくらいですから……」


そうだよな。

ナイルが忘れていたくらいなのだからだれも知らなくて当然か。


「さっそく扉を探そう」

「探すといってもこんなに広い水の中のどこを探す気ですか?」

「たしかに……」


おれたちは考えていた。

するとクレアがいいアイデアをくれた。


「しばらくはアオイたちはナイルに教えてもらって泳ぎの練習をしたらどうでしょう」

「ああ、それはいいアイデアだ」

「わたしはかまいません」

「練習をしながら水の中を探すということだな」

「はいその通りです」


おれたちは秘密の扉を探すことになった。

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