第5話 W1研究室

A1研究室を見た後、次はW1研究室に行くようだ。

しかし、どこの部屋にも窓がないな。

外の様子が全くみえない。


「ナターシャ、なんで窓がないんだ?」

「窓はあった方がいいですか?」

「だって、外の景色とか見たくないの?」

「なるほど……でも、これだけ高さがあると危険ということもありますし紫外線を中に入れたくないということもありますし、社外秘密を守るということもあります。景色も空だけの景色となりますし」

「そうか」


おれはこのマンションが150階建てくらいということを忘れていた。


「高さがあるから危ないのか」

「そうですね」

「下の階に行くと窓はあるのか?」

「はい、たしか10階まではあったような気がします」

「そうか」


「アオイさま、W1研究室に着きました」

「ああ」

「こちらは水を管理する研究室になります」

「ここが今回おれがかかわる研究室なのか?」

「はい、こちらで異常を感知いたしました」

「なるほど」


ここは、ほぼ画面に囲まれた部屋のようだ。

外の風景が違う角度からそしていろいろな場所から映し出されている。

画面で水の管理をしているようだ。


「ナターシャ、画面だけで管理しているの?」

「はい、そうです」

「実際に現場にいって確認はしていないの?」

「はい、していません。システムがしっかりしているので大丈夫です」

「なるほど」


これは実際、現場にいってみないとどんなことになっているかわからないな。

おれはまだシステムだけを信じられるほどこの世界にかかわってないからな。


「ナターシャ、現場をみたいから案内してくれないかな」

「あ、はいわかりました」


ナターシャは納得していないようだったが案内をしてくれることになった。


「では、こちらで下にまいります」

「ああ」


「S00DI00」


だからこの数字なんなんだ?


ウィーン!


「つきました」


エレベーターとは違って浮き沈みもないので気持ちが悪くなることがない。

楽だ。


「ナターシャ、なるべく水辺を行きたいんだがなにか乗り物はあるかな?」

「はい、水上カーがあります」

「水上カーか、また乗せてくれる?」

「はい、わかりました」


ナターシャは、画面をだして水上カーを出した。

この世界では、乗り物とかを画面内に保管できるようだ。

使いたいときに画面から取り出せば出てくるようだ。

こんな便利なことはない。

車も駐車場がなくても大丈夫なのだ。

場所をとらなくてすむな。


「アオイさま、お乗りください」

「うん、ありがとう」


おれはまた恐る恐る乗った。

おぅ!

やっぱり揺れるな~


「アオイさま、どちらにまいりますか?」

「そうだな~この都市のいちばん端っこにいってくれる?」

「端ですか?」

「うん」

「わかりました」


ナターシャは水上カーを走らせた。

わぁ!

やはり出だしは体がもっていかれる。

おれはナターシャの腰にしっかりとつかまっていた。


「アオイさま、大丈夫ですか?」

「ああ」


ちょっと慣れてきた。

ナターシャの腰にしっかりつかまらなくても軽くつかまる程度でよくなった。


「アオイさま、こちらになります」


わぁ~

綺麗な水だ。

おれはこの都市の一番端に立ち、方角はわからないが辺り一面水だ。

そして、綺麗な青色だ。


「ナターシャ、このまま隣の都市まで行けるのか?」

「隣の都市まではいけません」

「そうなのか?」

「はい、一度乗り物を保管すると燃料が充電されますがそれでも隣の都市まではいけません」

「なるほど」


じゃあ、乗り物はこの都市で使うためだけの乗り物なんだな。

システムで管理しているのだろう。

変えたら隣の都市まで行けるようになるのかもしれないな。


でだ、たしか水があがってきたのか建物が下がっってきているのかだっけ?


「ナターシャ、ナターシャも水の変化に気づいているのか?」

「いえ、わたしにはわかりません」

「気づかないくらいの変化ということだな」

「はい」


おれもしばらく観察して様子をみようかな。


「ナターシャ、カメラはあるか?」

「はい、ございます」

「じゃあ、ここを撮ってくれるか?」


おれは水の高さがわかるように何枚か写真をとらせた。


「ナターシャ、ここからこの都市を一周してくれるか?」

「はい、わかりました」


そういうと、ナターシャ水上カーを走らせた。

おれは途中止まりながら写真をとった。


「ナターシャ、止まってくれ」

「はい」


パシャパシャ!


「いいよ、走ってくれ」

「はい」


また、走り出した。

おれはなんとなく目印があるところの写真をとった。

明日も同じ場所の写真をとってみようと思う。


「ナターシャ、ちなみに水の下には行けたりする?」

「はい、いけます」

「え? いけるの?」

「はい、今乗っている水上カーは水陸両用カーでございます」

「えええ、そうなの?」

「はい、では」


そういうとナターシャはボタンを押した。

すると、車にカバーがされた。

そして、スクリュープロペラが後ろにでてきた。

すると、プロペラが回り出した。

すごいな~


「では、潜ります」

「ああ」


ナターシャが操縦して潜りだした。

水の中には魚が泳いでいた。

そして、もともと街があったというのがわかるくらい綺麗に残っている。

建物の中を走る。

ここはショッピングモールだったのだろう。

かなり広い!

そして、それぞれのお店が残っていた。


「ナターシャ、止まってくれ」

「はい」

「ここはなんだ?」

「きっと、花屋だったのでしょう」


そこには綺麗な花がさいていた。

水の中でも花がさくのか?

たしかに、ここは太陽の光があたっているようだが……。

まるで、だれかがここにきているようだ。


チャプンッ!

ん?

いま、だれかいたような……。

チャプンッ!

やっぱ、だれかいる。

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