第4話 A1研究室

お風呂からでると、風圧でからだの水がふき取られた。

髪の毛も乾いた。

そして、脱衣所に立つと服が勝手に着れた。

体に巻きつく感じだ。

なにもしなくても服の脱ぎ着はできるようだ。


「アオイ、部屋着はこれでよかったですか?」

「あ、うん」


Tシャツに短パンという感じだ。

どういうことだ?


「クレア、もしかしてクレアが選んでくれたのか?」

「はい、お部屋のクローゼットに服が用意されていたのでアオイのシステムにセットさせていただきました」

「システムにセットってどういうこと?」

「はい、このようにシステムにセットしておくと便利かと」


クレアが見せてくれた画面は、おれの一日の行動で朝起きるとスーツ。

スポーツをするときはトレーニングウェア。

お風呂に入ると部屋着。

要するに、おれがお風呂に入って服が勝手に脱げたのも服が着れたのもクレアがシステムにセットしてくれたおかげだったのだ。

でも、すべてをセットしておけば物事が簡単にすむということになる。

これはいい、システムだ。


「アオイ、そろそろお休みになられますか?」

「ああ、そうだな」


寝室にいった。

すると、大きなダブルベッドが用意されていた。

まさか?

そんなことはないか。

すると、クレアも入ってきた。

おれはクレアを二度見した。

だって、これは見ちゃうでしょ。

クレアは薄いピンクのキャミソールをきていた。

キャミソールから下の下着が透けている。

こんなの見ちゃうでしょ。

でも、このキャミソールはおれがさっき下着と一緒に買ったものだ。

寝巻にいいだろうと思ったのだ。

でも、まさか同じ部屋で寝るとは思わなかった。


「クレア、一緒に寝るの……かな?」

「はい、そのつもりですがお邪魔ですか?」

「い、いや邪魔だなんて……」

「では、一緒によろしいですか?」

「うん」


女の子と一緒にベッドに寝るなんて……。

緊張しながら、おれはベッドに横になった。

すると、クレアは普通にベッドに入ってきた。


「クレア、お休み」

「はい、お休みなさい」


これは眠れない。

やばいっ!

心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかくらいドキドキしている。

クレアは平気そうだ。


「アオイ、眠れませんか?」

「あ、うん」

「では、マッサージでもしましょうか?」

「い、いや大丈夫だよ」

「そうですか。なんでもいたしますのでおっしゃってください」

「あ、うん」


なんでもっていうのが、気になるんだよな~

お風呂のこともあるし本当になんでもしてくれそうで怖い。

いや、嬉しい……か。

そんなことを考えていたが知らないうちに寝てしまったようだ。


ピピピッ!


ん?

おれは目が覚めた。

目覚ましか?

ん?

ここは?

あっ!

そうか、おれ異世界に来たんだった。


「アオイ、起きましたか?」

「うん、クレアおはよう」

「おはようアオイ」

「アオイ、着替えはクローゼットの前に行けば着替えられます」

「うん」


もしかして、勝手に着替えができるってことかな?

おれはクローゼットの前に立った。

すると、着ていた部屋着が脱げ今日着る服スーツが勝手に着れた。

おぅ!

これは楽でいい。


「アオイ、朝食の準備ができています」

「うん」


おれはリビングにいった。

すると、テーブルにはクレアが用意した朝食が並べられていた。

わぁ!

これは朝からすごい食事だ。

どこかのホテルのバイキングのような品数である。


「クレア、朝からこんなに作ってくれたのか?」

「はい、アオイの好みを聞かなかったのでできる限りの種類を用意しました」

「そうか? ごめんな」

「いえ」

「そのうちにアオイの好みがわかれば的確にお出しできるようになります」

「ありがとう、クレア」

「いえ」


おれはおいしく朝食をいただいた。

なかでも、オムレツが最高においしかった。

ふわふわだった。


「今日は研究室に行くっていってたな」

「はい、ナターシャが迎えにきます」

「そうだったな」


研究室ってなんの研究してるんだろう。


ピンポーン!


「ナターシャかな?」

「わたしがでます」


「おはようございます、アオイさま」

「おはよう、ナターシャ」

「昨晩はよく眠れましたか?」

「うん」

「それはよかったです。では今から研究室に向かいます」

「わかった」


おれはナターシャについていった。


「クレア、いってくる」

「はい、いってらっしゃいませ」


クレアに見送られるとなんか新婚さんみたいだな~

おれは顔がにやけてしまった。


「アオイさま、よろしいでしょうか?」

「あ、う、うん」

「では、こちらにお乗りください」


エレベーターかな。


「これに乗ってS2E6N3にまいります」

「え? どこにいくって?」

「あ、こちらは徐々に覚えられますから安心してください」


なんだ、いまの数字は。

本当に覚えられるのか?


ウィーン!


「はい、つきました」

「うん」

「こちらが、A1研究室になります」


すごく広いフロアーだった。

そして、そこには大きな水槽みたいなものがたくさん置かれていた。

中を案内された。


「こちらはアンドロイドを作る機械です」

「アンドロイド?」

「はい、クレアさんもこの機会で作り出されたということになります」

「へえ~そうなんだ」


注文が入るとここで作り出されてすぐに出荷されるということか。


「では、こちらにまいります」


違う部屋に行くと、そこには人がいた。

機会を操作しているようだ。


「こちらは、この都市の電気を操作している場所になります」

「電気?」

「はい、こちらでエラーが起きればこの都市すべての機械が故障してしまうということです」

「なるほど、それは大変だ」


「次は、この都市の水を管理しているところに案内します」

「うん」

「フロアーが違うのでまたこちらで移動になります」

「わかった」


おれはまた、エレベーターのようなものに乗った。


「S5W2N10」


本当にこれを覚えられるのか?

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