Evol.079 ありえないはずの進化の結果

 リフィルを見送った俺達。


「ふぅ……行ってしまったな」

「はい」

「とりあえず今日はのんびりしよう。疲れたからゆっくり休みたい」

「そうですね。私も疲れてしまいました」

「ということで女将さん、今日は二人分の部屋を頼む」

「あいよ」


 昨日の今日でまだ疲れが抜けきっていないので今日の所はのんびり体を休めることにした。


 何日もの強行軍に加えて、睡眠不足、身体的・精神的な疲労、進化の影響などなど、流石に色々ありすぎなので、1日くらい何にもしないでもバチは当たらないだろう。


 少し気持ちを落ち着けたかった。女将さんに部屋を増やさせて自室に引きこもる。


「そういえば、帰ってくることに必死でステータスの確認をしていなかったな」


 俺はベッドに横になって落ち着いてみてようやくそのことに思い至る。ゴソゴソとポケットに手を突っ込んでギルドカードを確認してみた。


――――――――――――――――――――

名前  ラスト・シークレット

種族  天人族

役割  大ボス(3/5)

レベル 26/255(+25)

能力値

力  :7680(+1000)

体力 :7680(+1000)

魔力 :7690(+1000)

敏捷 :7680(+1000)

器用 :7680(+1000)

運  :7680(+1000)

スキル

威圧(中)、統率(中)、配下スキル無効化(中)、

教育(中)、全魔法適性、火属性魔法(最下級)、

水属性魔法(最下級)、風属性魔法(最下級)、

土属性魔法(最下級)、治癒魔法(中級)、

獲得経験値増加(四倍)、成長速度向上(四倍)、

成長限界突破、ステータス上昇値最大値固定、

偽装(中)、変異、変化、初期化、再起、

状態異常半減、物理攻撃半減、魔法攻撃半減

――――――――――――――――――――


「……」


 俺はステータスを見た瞬間言葉を失った。


 えー、あー、うん、知ってた。


 あのドラゴンを一瞬で葬ることができたことを考えればある程度の能力値があって然りだと思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。


 四桁後半はそれこそSSランカーのような選ばれた者たちがたどり着くような能力値。しかもまだレベルは前半だ。さらにレベルの上限もなんだかおかしなことになっている。


 なんだよ二五五って……。


 最大値で二五四も上がり続けたらホントに化け物だ。


 それにスキルが色々増えてるし、変化してるし、スフォル同様に種族まで変わってしまった。


 種族に関してはスフォルに確認するのを忘れていたが、なんだか騒ぎになりそうなのでステラさんに一緒に相談しようと思う。


 ちなみに天人族っていうのは普人族の上位種族のことらしい。


 まず、威圧(下)が威圧(中)に、統率(下)が統率(中)、配下スキル軽減化が配下スキル無効(中)、教育(下)が教育(中)に変化している。


 威圧に関しては大ボスに相応しい威圧感を放つようになったようだ。今までの威圧でさえ皆ガタガタ体を震わせたので、これを使ったらどうなるのかやってみるのが怖い。


 統率は、配下のステータスが二倍になる。それに加えて、効果を及ぼす人数が二人に増えた。スフォルの今のステータスが二倍になったらそれはそれは凄いことになるのではないかと思う。


 配下スキル無効に関しては文字通り配下のスキルを二つ無効化できるスキルだ。


 今の所使う予定はないけど、何かしら役に立つこともあるだろう。


 教育に関しては二倍速成長から四倍速になっている。


 それから獲得経験値増加と成長速度向上が二倍から四倍に倍率が増加していた。これで俺は十六倍で成長することになる。


 もう四倍なんて目じゃないなこれ。


「追加スキルなんてなくてもこれだけで十分化け物だよなぁ……」


 新たらしく覚えたスキルを見る前からお腹いっぱいで思わずぼやいてしまう。


 まぁ仕方ないので一つずつ見ていく。


 偽装に関しては、その名の通り、ステータスを偽装することができるスキルだ。中になると、配下のステータスもいじることができるらしいので、スフォルのステータスもステラさんに相談していじって騒ぎにならないようにしておこう。


 変異に関してはボスモンスターと同様で一時的に姿を変化させ、その間能力が強化されるというスキル。その副作用として体に激痛が襲い掛かり、動かせなくなるので使いどころを考えないといけないが、もしピンチに陥った時は強い味方になる。


 変化へんげは文字通り、自分以外の何者かに姿を変えることができるスキルだ。これを使えば前の見た目に戻ることができたりするらしい。モンスターに紛れたり、どこかに潜入したりする際は役に立つはずだ。


 初期化は、相手のバフの類を全て打ち消してしまう魔法。モンスターに使うのは当然のことだが、それよりも人間相手に使うことを想定されていると思う。


 再起は、日に一度だけ死んだとしても完全回復して蘇生することができるというイカレたスキルだ。毎日何がどうあっても一回は死んでも大丈夫だと思うと、どんな無茶も全然無茶じゃなくなるな。


 半減系はその名の通り、それぞれの攻撃が俺にあまり効かなくなったことを意味する。ただでさえ能力値が天元突破してるのに、さらに相手の攻撃が半分以下になった。


 俺にダメージ与えられるやつはいるのか?


 そして、最後に役割の隣にあった数字の意味が分かった。


 元々二だった部分が三に変化していて、役割に関係があることと言えば二度目の進化以外にない。つまり、二度目の進化をしたことで二の部分が三になったということだ。


 現状五分の三。


 ということは、俺は後二回進化する可能性があるらしい。


「スキルが向上しただけならまだしも、新しいスキルだけでも八個か。それにたった一度だと言われていた進化を二回した上に、さらにもう二回残していると……そうだ夢かもしれないから寝よう」


 俺は考えるのも嫌になり、起きた後の自分とステラさんに任せて不貞寝した。

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