Evol.044 便利すぎるぜ!!アイテムバッグ!!
「いやぁ。早速役に立ってるな。アイテムバッグ」
今日から外套の下にアイテムバッグを身に着けている。仮にも金貨二四〇〇〇枚もするバッグだからな。これ見よがしに肩にかけていると、昨日俺達を襲ってきた連中みたいなのが寄って可能性がある。
そして俺はいつも背負っていたリュックやポーションホルダーなどを全ておいてきた。
なぜなら全てのアイテムがアイテムバッグの中に入っているからだ。それに、体の何処かがアイテムバッグに触れていれば、距離の制限はあるが思った通りの場所にアイテムを取り出すことが出来る。
そのおかげで俺はほとんど身一つでダンジョンに来ていて、かなり身軽な状態になっていた。
「はっ!!」
さらに便利なのはこの機能。
俺は依頼をこなすために最短距離で次の階層を目指すが、その途中で敵と遭遇することはよくある。その際、切り殺して先に進んでいくが、いちいち魔石を拾うために立ち止まるのは面倒だった。
しかし、購入したアイテムバッグは、なんと倒したモンスターのドロップアイテムを自動的にバッグの中に収納してくれるのだ。勿論自分に権利のないアイテムを収納したりはしない。
そのおかげで俺は一切立ち止まることなく、沢エリアまで辿り着いていた。
「ふぅ~、アイテムバッグのおかげでここまで来る時間がかなり短縮したな」
いつも背負っている重量がなくなり、ドロップアイテムを拾う手間がなくなるだけで驚くほどにダンジョンの移動が速くなった。
素晴らしい。
移動時間が短くなって時間に余裕が出来たため、一休みとばかりに他の探索者達から離れた岩に腰を下ろし、熱々の料理と冷たい飲み物を取り出して休憩する。
「ダンジョン内でこんなに熱々の料理が食べられて、キンキンに冷えた飲み物を味わえる時が来るなんて考えたことなかったな……」
俺は呆然としながら宿の主人が用意してくれた弁当と飲み物を味わう。
元々知っていた機能ではあるが、雑魚だった頃には想像さえできなかった現実に、思わず感慨に耽ってしまった。
現状でもこれだけ便利なのだから、他にも色んなアイテムがあればもっと快適なダンジョンライフをおくれることは必定。活用しない手はない。
「さっくり稼いで色んなアイテムを買うぞ!!」
アイテムバッグの便利さを肌で感じ、改めて意気込んだ俺は、早速アイアンタートルの依頼を熟した。
ただ倒すだけでドロップアイテムを拾ってくれるのは本当に助かる。アイアンタートルの甲羅がこちらに吸い込まれるように迫ってくるのを見た時はびっくりしたけどな。
結構な数のドロップアイテムと魔石を吸い込んだにも関わらず、アイテムバッグは全く重くならないので、俺の行動が妨げられることもない。
それから数日間で俺はステラさんの依頼を全てこなした。
「はい、これでラストさんはDランクです」
「よっしゃ!!」
ステラさんからシルバーのギルドカードを渡される。ブロンズを貰った時も嬉しかったが、やはりランクが上がるって言うのは実際にリフィルに近づいているって気がして滅茶苦茶嬉しい。
「おめでとうございます。流石ですね。もう少しかかるかと思ったんですが」
ステラさんの予想よりも早かったらしく、彼女は軽く驚いていた。
急いで依頼をこなしたのでそれもさもありなん。
「早くまとまった金が欲しくてな。ガマグッチも流石にもう出てこないみたいだし」
「そうですか。あまり無理はしないでくださいね。まぁ……あの量は数十年分のガマグッチがまとまって出現したと言っても過言ではないので、仕方ないでしょうね」
早く依頼を達成できた理由を聞いて注意促した後、俺が持ってきた金貨の数を思い出したらしく、ステラさんは苦笑する。
「ああ。だから依頼を教えてもらってもいいか?」
「分かりました」
納得した彼女はすぐに依頼内容を話し始めた。
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