Evol.028 きっとやり直せる(第三者視点)
■スフォル Side
「最後のおっさんの顔傑作だったな」
「ホントホント、まさか助けた相手に拒否されるとは思わなかったって顔だったよね」
「あの間抜け面は面白かった」
私のパーティメンバーがラストさんのことをおかしそうにバカにしながら私の前を歩いていく。私はそれを咎めることさえもできない。
一体いつからこんな関係になってしまったのだろうか。
『大丈夫だって。俺たちがついてる』
『そうそう。あんたが連れてくるトラブルくらいなんてことないよ』
『皆で一緒にスフォルを守ってあげるから』
私が
成人後の仕事もままならず、私が探索者としてやっていくことになった時も、彼らは元々やるつもりだった仕事に就くこともなく、一緒に来てくれることになった。
その時は皆にとても感謝したし、今でもその恩は忘れていない。
でも、私のトラブルメイカーは運の値が前代未聞のマイナス。そして、その運と"予期せぬ出来事"というスキルが組み合わさると、不幸な出来事が頻繁に重なるようになった。
『ははははっ。このくらい大丈夫だ。気にすんなって』
『ホントホント。こんな怪我くらい大したことないよ』
『そうだよ。スフォルは気にしなくていいんだよ』
パーティを組んだ当初はこんな風に優しく声を掛けてくれていた彼らも、不運な出来事が重なっていけばいくほどに、小さな不満を溜めていき、私に対する彼らの態度は少しずつ悪くなっていく。
その変化は最初の内は私に少し口が悪くなる程度だったけど、それは徐々に大きくなり、何かあれば全て私の責任にされて罵倒を受けるようになり、最終的には暴力まで振るわれるようになった。
彼らに疫病神だと罵られるたびに、私の世界は色を失っていく。
そして
自分たちで殺してしまっては気分も悪いし、罪悪感が生まれる。しかし、モンスターに殺されてしまったのなら、それは仕方がないと体よく私を排除できると考えたのかもしれない。
私は必死に逃げた。
そんな時、一人の男性に出会った。その男性は少し年上で、防具を何も身に着けていない変な人だった。
「ラストさん……」
それがラストさんだった。
彼は私の代わりに大行進を引き受けてくれた。彼の顔には自信が満ちていたのでそれを信じてお願いして私はまた彼らの居る宿に戻った。
その時の彼らの顔は今でも忘れない。
「なんで生きてるんだ? お前みたいな害虫は死ねばよかったのに」
帰り着いたところで心配してくれるような言葉はなく、まるで汚物でも見るような眼で私を見てきた。
私に生きてる価値なんてないのかなと思うようになった。
『俺は雑魚と呼ばれていた』
でも、ラストさんがそんな私に希望をくれた。
二度目に助けられた時に彼の正体を知る。彼は探索者の中で最も有名な人物だった、悪い意味で。
しかし、彼は物凄く強くなっていた。
それが
そんな期待が私の中に生まれた。
しかし、彼らからの扱いをラストさんに見られてしまったのは誤算だった。彼にはこんな姿を見られたくなかったのに。
ラストさんは優しく手を差し伸べてくれたけど、彼を私のパーティのいざこざにまで巻き込むわけにはいかない。
だから私はその手を振り払った。
それに、彼らは私の不運が嫌いなだけ。きっとそれがなくなればうまくいく。
この時の私は愚かにもそう思っていた。
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