第66話 二度と後戻りのできぬ道

「俺に触れるなぁぁぁああ、女どもぉおお、俺から離れろぉぉお!!!!」


 一命は取り留めても、このまま発狂死してしまうのではないかというほど奇声を上げるハビリに、セフレーナはむしろ寄り添った。


「いいえ、離れませんわ、何故ならあなたはワタクシの夫ですもの」

「ッ!?」

「夫にここまで守られているだけなんて嫌ですわ。ワタクシもあなたの力になるのですわ。決して離れませんわ」

「そ、う、じゃなくてぇ……ぐっあ、ぁあ、……」


 ハビリを抱きしめて何とか介抱しようとするセフレーナ。しかし、それは逆にハビリを余計に刺激して苦しめるだけ。


「あの、お兄さんはどうなってしまうのですか?」

「っ、なんとか……こ、これを鎮めれば……鎮める////」

「う~、サイインさん、どうにかできないんですか!?」


 他の女騎士たちも恩人であるハビリに心を動かされ、種族を超えて「どうにか助けたい」と思い、彼女たちもハビリに触れて寄り添う。



「がぁぁぁぁあああ、だからぁぁぁあ、やわらかいいにおいおんなああああ!?」


「いや……あんたら……だからそれがマジで……坊や……もう耐えずにヤッていいって言ってんじゃん。その子らは処女だから、あたいが相手してやっから……♥ つーか、そんな状態で拒否られるのもあたい的にプライドが……」



 もう限界。これをどうにかするには、スッキリさせるしかないのだとサイインはハビリに改めて告げるが、ハビリはそれでもギリギリ堪えて余計に苦しもうとする。


「どういうことですの? サイインさん、ハビリ様と「やる?」とは何ですの?」


 そして、この状況をどうすればいいのか分からず、更には「そういったこと」を何も分からないセフレーナはあたふたするだけ。

 一方で……


「「「「「やっぱり……それしかないんだ/////」」」」」


  他の女騎士たちは「処女」とはいえセフレーナよりは分かっている。何を「ヤル」のかを。


「や、やはりそれしかないか……し、しかし、サイインよ……サキュバスであるお前の魅了ですらこの者は拒絶している……どうすれば?」


 そして、同じく処女でも他の女騎士たち同様にセフレーナよりは知識のある副官のナオホも顔を赤らめながらも理解し、ならばどうすればいいかと頭を抱える。

 すると、サイインは……



「なんつーか、この坊やはあたいらが好みじゃないとか、魔族だから嫌とかそういうことじゃないっぽいし……もう、メンドーだから押し倒す? 応急処置の緊急事態ということで」


「な、お、おしたおっ……し、しかし、我らが強姦のような……そ、それに、お、押し倒すと言っても、そ、そこからどうすれば……」


「あーもう、メンドクセー! だったら、やっぱりこの坊やにもうその理性をぶっ壊してもらって、好き放題ヤラせてやるほうがいいっすね! つーわけで、お嬢も含めてこの坊やとシテもイイっていうやつ、今すぐ服脱いでブラとパンティーだけになろうぜぇ!」


「「「「「ううう!!!???」」」」」」


「へ……? ちょ、お待ちになるのですわ! なぜ、ハビリさんを救うのに下着姿にならないといけませんの!?」



 これはあくまで人命救助。だから仕方ない。ハビリがあくまで自分たちを拒絶しようとするのなら、もうハビリの方からその理性を崩壊させて交わるように仕向けるしかないと、サイインの案に、恥ずかしさで気が狂いそうになる女騎士たちだったが、観念して甲冑や衣服に手を当て……



「うう、私……男の人の前で脱ぐの初めて……」


――ガチャガチャガチャ


「……今日、お気に入り履いてて良かった……」


――しゅるしゅる


「あの、サイインさん、ブラとかは脱がなくていいんですか?」


「それを脱がすのも興奮するじゃん♥」


――もじもじ♥


「ぐっ、この私がこのような真似事を……しかし、これも恩に報いるため」


「ちょお、皆さんどうして服を脱ぎますのぉ? はしたないですわぁ、っ、で、でも、これがハビリ様を救うことにつながるのならば……おーっほっほっほ、さぁ、ハビリ様、ワタクシのブラとパンティーに注目ですわぁ~♥」



 そして、苦しんでのたうち回るハビリの目の前で……


「ッッッ!? ちょ、おま、おまあああ、乳尻太ももパンティー丸見ええええ!?」


 目の前には、白だったり、黒だったり、青や紫や黄色だったりと、まさに色々な下着を纏った、同年代から少し年下、年上と思われる美しき女騎士たち二十人がズラリとハビリの前に並んだ。

 小柄だったり、高身長だったり、スリムだったり、胸や尻がムチムチだったりの、まさに極楽淫猥な花畑。



「うっは~、なんかあたいも楽しくなってきた♪ あたい以外は処女しかいない、箱入りセフレーナ女騎士団がねぇ~、よっし、みんな! 各々が思うもっともセクシーなポーズをとりながら、ごにょごにょごにょ」


「「「「「ッッッ!!!???」」」」」


「はい、照れずに、せーの!」


「「「「「う、わ……私たちを好きなだけ食べてください♥♥♥」」」」」



 お尻を向けてプリプリ振ったり、両手を頭の上に載せて全身を見せつけるようなポーズをしたり、谷間を寄せて魅惑のポーズを見せたりと、女騎士たちは皆恥ずかしいがもはやヤケになってサイインに言われたとおりにした。

 そして、次の瞬間……


―――プチン


 ハビリの理性が完全に切れた。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


「「「「「きゃあああああああああああ!!??」」」」」



 野獣になって、もはや言葉も話さず、ただ一心不乱に女騎士たちに飛び掛かる。



「ちょ、ま、待て、わ、私にか?! 私を最初に……ま、待てぇ!」


「がるるるる!!」


「ちょ、ま、ひゃぁああ?! やめろぉ、自分で脱ぐからパンティーを噛んで破るのは、や、あああああ!? ムチュっ―――?!」



 まず真っ先にハビリが飛び掛かったのは副官のナオホだった。

 その唇を蹂躙し、そのまま押し倒し、もはやこの状況では邪魔な下着を破く。



「ちょ、何をしていますの、ハビリ様! 妻であるワタクシの目の前で他の女とキスなど、こ、これではナオホさんにもコウノトリ―――ひゃん!?」


「ダマレ。全員喰ウ」


「……え? た、たべるって、ワタクシ、スイーツではありませ……ひゃん、ちょ、あ~~~れ~~~~~~~!」



 この状況にやはりまだ何が何だか分からず、しかし目の前でハビリが他の女とキスをすることは見過ごせないと口を挟もうとしたセフレーナだったが、ナオホを食事中のハビリに腕を引っ張られて、そのまま食べられる。


「な、お、お嬢様が!?」

「将軍、副官!?」

「あわ、わ……って、こっちにも来たー!」

「きゃあああ……でも、ドキドキ♥」

「おっしゃ、あたいにも来い!」


 そしてこの医療の食事は終わりなく続き……




――♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥




 ハビリは二度と戻れぬ道を進んでしまったのだった。







――あとがき――

医療行為です

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