133話 反抗期対策

「私が怒る。いくら反抗期でも人として言っていいこと悪いことある。そりゃあね、多少の反抗期は許してあげて欲しいけど、そんな度を越したこと言ってるの見たら怒る。可愛い娘だからって許さないというより許せないから。結があなたにごめんなさいするまでは許さない。金だけ稼いでればいいって言ったらお小遣い渡さないし、結のご飯もつくらないし洗濯もしてあげない。一人で生きてるみたいな勘違いしてたら本当に許さない。反抗期の中高生だからって調子に乗ってたら許さない」

「……」

「少し引いてる?」

「普段は優しいお母さんだけど一度怒らせたら手に負えないタイプかなって」

「そうだよ。私は結のお母さんだから。優しいだけじゃないよ」


 遥の心の奥に眠る親としての確固たる信念が理解できた。

 今までは彼女の親としての上辺だけしか見えていなかったが結に対しての想いが溢れている。

 結の母親だから。


「でも、私が結にどんなに怒っていても、キレていても、あなたはきっと結の味方でいるんだろうね」

「俺はたぶん結ちゃんがいたずらしても怒ることができないと思う」

「そんなことないでしょ、結のためにダメってやさしくいってくれるでしょ?」

「そうかな……でも褒めることはたくさんできると思う」

「褒めて伸びるタイプだと思う。私に似てね」


 その後また話を少ししていたら遥は大きなあくびをした。

 時刻は夜十二時を回りそうだ。


「そろそろ寝よう」

「そうだね」

「改めて今日からよろしく」

「こちらこそ」

「今日付けで俺も参加する……参加というか主体的に動く」

「今まではどうだったの?」

「あくまで他人だったから、一応遥さんの指示を仰いでた」

「そうでもなかったよ、私が指示してないのに事故を防ぐグッズ買ったりさ。私以上に活躍していたよ」


 嬉しそうな顔を見せて寝室へ向かった。

 まだまだ夜は長い気がするのは俺だけだろうか。


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