150話 どうしたの?
「ただいま」
「う、うん……おかえり」
家に帰ると遥が少し疲れたような様子である。
一人で家に居て結をみているのだから疲労が蓄積されるだろうが、それとは少し違う気がする。
「どうした? 何かあった?」
「あっ、その……何でもない。少し疲れただけ……」
「本当に?」
「う、うん……」
共に生活してきてまだ二か月なのか既に二か月なのか判断が難しいが、ただの疲労ではないことは理解できる。
しかし、あまり首を突っ込んで聞くタイミングではないし、それ以上に現状聞かれたくなさそうである。
夕食後、彼女は先に布団に入り不安そうな顔をしていた。
「遥」
「何?」
「困っていることがあったら言ってよ」
「うん。ありがとう」
一夜経った翌日も彼女の心情に変化はなさそうである。
いや、より一層の焦燥感も感じられる。
しかし、彼女の口から何かヒントとなるようなことが発せられることもなく、聞いても「何でもない」の一点張りだ。
出勤の時間となったが彼女は部屋に閉じこもっている。
「行ってくるけど……大丈夫?」
「うん。少し体調が悪いだけだから」
襖越しに彼女からの反応があり多少は安心する。
暖かいリビングに敷かれた布団に結がいる。
このままでは一人になってしまうが、俺がいなくなればきっと遥は出てくるだろう。
俺に相談できない何かを一人で抱えている、だから顔を合わせにくいのだろう。
「結。お母さんのこと見ておいてな。帰ってきたら報告してな」
「ううう……ん?」
「一人で抱え込むからさ、結のお母さんは。だから少しだけ結も助けてあげてな。早く帰って来るから」
理解しているはずがないがとりあえず結に挨拶を済ませて家を出た。
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