115話 お出かけ
昨日は長い長い一日であったから少し疲れてしまって長く寝ていた。
幸いにも今日は会社が休みであるから十分に休息を得ることができた。
結ちゃんもすっかりと良くなっていて安心したのと同時に、体調にはもう少し気を使ってあげないといけないなと反省もある。
起きたときには遥さんはなんだかすっきりとした顔をしていて、余分な力が抜けたような雰囲気だ。
朝食のパンをかじりながら彼女は俺に対して話した。
「優さん、今日少し時間欲しいの。結も病み上がりだけど、少しだけ、少しだけでいいから一緒にお出かけしたい。行きたい場所があるの」
「いいよ。車で行くところ?」
目を開けて機嫌がよさそうにしている結ちゃんを見てから、答える。
「歩きで大丈夫。近くの公園に行こうかなって」
そうして遥さんと結ちゃんと俺で出かけることになった。
遥さんは自分の準備で時間がかかるようなので俺は結ちゃんの必要なものを確認しておくとする。
徒歩数分の公園であるけれど紙おむつ等々の道具は必要だ。
リュックに詰めていると遥さんの準備が済んだようだ。
「お待たせ。どうかな? お洋服は普通だけど、お化粧は気合入ってるよ」
過去にリップを塗ったりした姿を見たことはあるけれど、このようにファンデーションだったりマスカラだったりを使って完成させている姿は初めてである。
薄めのメイクであるが遥さんの童顔に艶感が増すように表現されている。
「なんか、大人っぽいよ。なんというか、綺麗……」
「顔赤くなってるよ。優さんもこういうの好きなんだね」
「遥さんも顔が赤いよ?」
「こ、これは化粧品……だと思う」
遥さんは少し照れはしているものの、褒められたことがよほど嬉しかったのか飛び跳ねるようにして、自分のリュックを背負った。
「普段からすっぴん顔を見ているのは優さんしかいないから、比べて見てよ。どっちが好き?」
「なんて言えばいいの?」
「恥ずかしがらないで自分で考えてよ。私は皆とお出かけするために一生懸命メイクしたんだよ」
「今の遥さんかな。お出かけのためにしてくれて嬉しいよ」
「正解だよ。今度はヒントなしで答えてね」
「普段から綺麗な姿を見ているからよりよく見えてるよ」
何気なく言ったが彼女は恥ずかしかったようで顔を真っ赤にして顔を手で覆った。
「あ、ありがとう……嬉しいよ」
顔を手で仰ぎ熱を冷ました彼女は結ちゃんを抱っこした。
「じゃあ、行こうか。美女とその娘とのデートだよ」
「うん。行こう。寒くないようにね」
そういうと彼女は見慣れた手袋を装着して外に出た。
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