81話 長い一日①
二か月記念の翌日、俺はかなり早く起きて準備している。
特に朝に予定があるわけでないが、早くに目覚めた。
遥さんは結ちゃんの様子を見に部屋に行っている。
「あー、結……」
遥さんの困り声が聞こえた。
様子を見に駆けつけると力が抜け切っていて困っている遥さんと静かな結ちゃんがいた。
「どうしたの? 何があった?」
「ごめんなさい……汚しちゃった」
遥さんが結ちゃんを持ち上げ、緩くて漏れてしまったことを伝えた。
俺はしゃがんで二人に目線を合わせて話始める。
「あれれ、お腹壊しちゃった?」
「どうなんだろう、でも、ちょっと飲み過ぎたかな……どうなんだろう?」
「とりあえず、着替えないと。その前に風呂場で背中洗って来たら?」
「うん。ちょっとお風呂場で洗う……タオルケットとか汚しちゃった……」
「そんなのはいいから。早く行ってきな」
遥さんが結ちゃんを連れて行く。
俺は結ちゃんの下に敷いてたタオル類を持って洗面所に行く。
「洗面所入るよ」
「いいよ」
「脱いだもの貸して。ハイターで浸けよう」
俺の言葉に対して、驚いた顔で首を横に振ってる。
「いやいや。ホントいいよ。嫌でしょ? 汚しちゃったものも置いておいたら後でやるから」
「誰かがしなきゃダメなことだから。やるよ」
「その誰かは優さんじゃないでしょ。白い服、汚れちゃうよ」
「結ちゃんを早く洗って、拭いて服着せて。それが今遥さんのすること。俺は洗濯する。時間もあるし、分担しよう」
「……分かりました。ご協力ありがとうございます」
「いえいえ」
バケツの中で汚した洋服を水で流し洗剤で洗った。
まだ、生後二か月だから匂いもきついわけでもない。
おおよそは取れたが完全に真っ白ではない。
バケツにお湯を張り、赤ちゃん用の漂白剤でつける。
終わってリビングに戻るとお風呂に上がったばかりで綺麗にしてもらった後の結ちゃんと正座の遥さんが待っていた。
「お騒がせしました……ごめんなさい。忙しい朝に」
「謝らないで大丈夫。洗濯物は漂白剤でつけてるからね」
「うん。嫌だったでしょ。私も自分の子だからって好きな作業ではないよ」
綺麗な作業ではないから彼女がそういう気持ちも分かるが、結ちゃんがおっぱい飲んで消化して自分の血や肉にしている。
これはこれで赤ちゃんらしくていいのではないだろうか。
「普通にありがとうでいいよ」
「……ありがとう……かっこよかったよ……颯爽と現れて嫌な顔しない洗濯する姿」
「そう?」
「さっと水洗いして漂白剤なんてものを出すなんて私にはできないよ……って、時間だよ。朝から疲れさせてごめんね。頑張ってね」
時計を見ると家を出るにはちょうど良い時刻になっていた。
「いってらっしゃい」
「行ってきます」
荷物を持ち立ち上がり玄関で靴を履き、遥さんの見送りで家を出る。
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