昔を振り返ってみると

ゆん

牛乳臭い雑巾

 記憶の中にある一番古い思い出は

 小学2年生の給食の時間だ。

 当時は先の割れたスプーン、瓶の牛乳。

 冬にはだるまストーブの周りに牛乳瓶を並べて

 少しでも温かくしようとしてた。


 私はこの牛乳瓶の蓋を開けるのがスゴく苦手で、

 蓋の周りを爪でカリカリ引っ掻いて剥がしても、

 上の方の紙が薄く剥けたり、

 引っ掻く力が強すぎて蓋が牛乳の中に沈んだり、

 蓋を取る千枚通しみたいなものを使ってみても

 綺麗に蓋が取れたことがなかった。


 当時、牛乳の蓋を綺麗に取って、

 洗って乾かしたものをメンコ代わりにして

 休み時間中遊んだ。

 私の蓋は綺麗に取れなかったからいつも最弱。

 負けた日の給食の時間は、

 牛乳を笑わずに全部飲み干さなきゃいけなかった。


 今の給食の牛乳はストローを使うが、当時は瓶。

 絶対上を向かなきゃ飲めない。

 クラスに1~2人はいる笑わせるのが上手いやつ。

 普段は良いやつ、牛乳飲むときは憎いやつ。

 鼻に入る牛乳は痛いし、ずっと鼻の中が牛乳臭い。

 鼻が痛くて涙が出てくるけど、

 机と椅子周りを雑巾で拭かなきゃいけない。


 給食の時間が苦痛になる。


 でも蓋メンコは楽しかったから止められない。


 もう負のスパイラルである。


 今思うと給食の時の一番の被害者は

 毎日吸いたくもない牛乳を吸わされた雑巾だ。


 水で綺麗に洗っても小学2年生。

 洗い残しが蓄積されていく。


 だいたい2か月くらいで雑巾の世代交代だった。


 2年生の終わりくらいに、牛乳がパックになった。


 もう蓋を取らなくてもいい。

 心の中で小躍りした。

 でも蓋メンコは終了した。

 雑巾はほっとしただろう。


 牛乳パックになってから

 新たに流行ったものがでた


 牛乳を飲んでるやつのパックを押す。


 押されたやつの周りは牛乳がこぼれるから

 世代交代しても雑巾はずっと牛乳臭い。


 今の時代の小学生がこんな事をしたら

 問題になるけど、当時はスゴく楽しかった。


 家で溢した牛乳を拭いてる時に思い出す

 牛乳瓶と蓋メンコと牛乳臭い雑巾。

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