第3話 妹弟

 バリバリッと音を鳴らして、お母さんのから不思議な感覚が伝わってくる。


【そろそろ二人も生まれるわね。お兄ちゃんも行ってあげて?】


「はい!」


 すぐにお母さんの羽根を掻き分けて、腹部分に進んで行く。


 お母さん曰く、羽根には特殊な力があって、ここに触れているだけでお母さんから栄養が送られ食事を取る必要もないし、卵もそういう理屈で孵化するそうだ。


 卵って意外と中の力で孵化すると思っていたら、神鳥の卵はそれだけでは孵化しないそうだという。


 早速やってきた場所には、少し赤色を帯びている大きな卵が二つ並んでいる。


 今の俺の身体は大体百七十程の身長があるようで、それよりも二倍程大きい。


 二つの卵には少し亀裂が走っていて、中に何かの影が卵の殻越しに見えている。


 中のそれは元気よく卵に体当たりをして、卵を割ろうとしている。


 出て来るのって自らの力で割って出て来るのか。


 二人というべきか、二体というべきか、難しいところだけど、生まれるために頑張っている二人の兄弟のために声を出して応援を送る。


 一瞬だけ止まった影は、また元気に殻を割ろうと体当たりを繰り返す。


 そして――――


 手前にあった卵の亀裂が大きくなり、その中から赤い光が溢れて来る。


 次の体当たりで卵が割れ、中から――――可愛らしい鳥が一匹出てきた。


 大きさは俺よりも大きくて、大体2メートルくらいの身体を持つ。


 羽根はお母さんに似ていて、赤と白が混在しているけど、巨大な身体を持つお母さんとは少し違い、身体の線が細い。


【うふふ。女の子だね】


「え!? 妹?」


【ええ、そうよ。朱雀の子供の女の子は細くて、男の子は大きいの】


 そのような違いがあったのか……。


 卵から外に出た妹は、周りをキョロキョロ見始める。


【アルマ。朱雀は卵の中にいる頃から外の事を見ているの。だから貴方の事も私の事もしっかり知っているわ】


「そうなんですね! 初めまして。俺はアルマ。君の兄だよ? 姿はちょっと違うけどね」


 じーっと金色に光る宝石のような美しい瞳が俺を覗き込む。


 俺も笑顔で彼女の視線に応える。


 そんな彼女をお母さんは俺にしてくれたように身体の羽根にくっつかせた。


 ずっと俺を見つめる瞳が気にはなったけど、きっとすぐに仲良くなれると思うので、今はただ笑顔だけ伝える事にした。


 それから数時間後、もう一つの卵からは妹とは違い、少し身体が大きい鳥が出てきた。


 お母さん曰く、弟だそうだ。


 こうして、俺に姿は違うけど、可愛い妹と可愛い弟ができた。




 ◆




【お兄ちゃん~】


「よしよし、どうしたんだ? クレア」


 俺の胸の中に飛び込む小さな鳥。妹のクレアだ。


 クレアはスリムな体形で美女? 美鳥? の妹である。


 元々は2メートルを超える大きさなのだが、今は50センチくらいの大きさになっている。


 神鳥の力で身体の大きさを自由に変えられるスキルがあるようで、クレアはいつも小さくなって、俺の胸に飛び込んできたり、背中にくっついたり、肩に乗ったりする。


【兄ちゃん~僕も~ぐはっ!】


【ルーク! あんたは足元にくっついてなさい!】


【そんなぁ~姉ちゃん酷いよ~】


 妹のクレアと羽根の色は似てるが体形が全く違う――――どちらかと言うと丸々とした体形の弟のルーク。


 いつもクレアにいじめられるのだが、そんな弟も妹同様にスキルで身体を小さくしている。



 この世界はエレンシアという名の世界のようで、前世とはまるで違うファンタジーな世界が広がっている。


 お母さん達のような神に近い神獣という種族がいたり、前世の動物にも似ているが体内に大きな力を宿す魔物という種族がいたりする。


 そして、なによりも大きいのは、特別な力が存在する。


 例えば、妹と弟のように身体を大きくしたり小さくする『スキル』というモノが存在する。


 スキルは多岐に渡り存在し、その数は数百とも数千とも言われているみたい。


 さらに前世と大きな違いは――――なんていったって、魔法だ。


 この世界の全ての存在は多少なりに体内に魔素マナという力を持っていて、魔素を使う事で発現させられる力が魔法である。


 俺は半神半人となっているが、厳密に言うと、種族『半神半人(朱雀)』となっている。


 朱雀は火魔法を最も得意として、次に風魔法を得意とする。苦手な魔法は水と土と雷。


 という通り、世界には五大属性と呼ばれている五つの属性があり、火、水、風、雷、土となっており、火は水に弱く、水は風に弱く、風は雷に弱く、雷は土に弱く、土は火に弱い。五大属性はそうやってそれぞれが弱点属性となっているんだ。


 五大属性以外にも特殊な属性が存在して、回復魔法が使える回復属性、光魔法が使える光属性、闇魔法が使える闇属性、その他の魔法が使える無属性が存在して、特殊属性に強弱は存在しない。強いて言えば、弱点となる属性がない事が弱点であるとお母さんは話していた。


 これがこの世界にある理だ。





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【ステータス】

名前:アルマ

年齢:1歳

種族:半神半人デミゴット(朱雀)

特性:火属性吸収

   風属性被半減

   水属性被倍増

加護:朱雀ノ理

加護:????(未開化)



【能力】

身体能力:?

魔法能力:?



【究極スキル】

『神語対話』



【スキル】


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