8−9 飲み明かしときどき銃撃
榊はビールに串カツにと朝を待ちながら始末屋『よる』のメンツと話し込んでいながら、これからどうするか? 自分たちはもちろん西宮の事務所に帰る。ただし、ビールを飲んだので運転代行を呼ばないといけないのでしばらくお店に邪魔させてもらう事、その間に絵画の方をどうするか、すり替え用を宮水ASSが持ち帰るか話し合っていた。
「すり替え用だから完全に普通の贋作なんだろうけど」
人畜無害な絵画だが、民間軍事会社が勘違いして奪いにこなくもない。
「なにも知らずに西宮で実弾ぶっぱなすような連中だしなー」
「平気でぱんぴー殺しそうだよね」
「ゆかりちゃん、言い方」
「でも実際、そっちのメスガキが言うとおりやん」
正直、贋作の絵画7枚押し付けられても、美術館からの窃盗容疑まで持たれそうなので、宮水ASS的には受け取りたくないし、それを美術館が展示して二次災害が起きるのも好ましくない。
「じゃあやっぱ壊しちゃう?」
尼崎の始末屋への依頼はゴッホのひまわり贋作7枚の始末だったわけで、それが倍になっても大した問題じゃない。
「それが一番か、じゃあ処分して燃やすか」
最初から無ければそれに越したことはない。「俺たちは小学校の絵画だけ小学校に戻してしまいだね」
「美術館側は7枚の贋作がいきなり紛失で大事件だろうけど」
「それは大丈夫やろ」
「なんでよブリジット」
「これ、送り主さ」ブリジットは送り状を調べた物を見せる。「どこから送られてきたか、誰が送ったか分からない。興行主すら不明やねん」
「最初から贋作展なんかするつもりなかったって事?」
「一応やるつもりやったんやろ」
「すり替え用、俺らが強奪してもたからな」
「店長とゆかりちゃんは、私を救う為に行った事なので、責任は私にあります。この件に関しては今後の仕事で償わせていただきます。宮水ASSの皆さまにも大変ご迷惑をおかけしました」
「まぁ、ウチ等はべつになぁ」ブリジットがタバコを吸いながら手を振ってそう答え、まだビールを煽っている中、「誰かきたみたいですね。運転代行?」
「ゆかりでてきて」
「いえ、自分の方が近いので自分が出てきますよ。ゆかりちゃんは食器のかたずけをお願いしていいですか? それにしても早い到着ですね。運転代行会社」
「いこか」榊の言葉にブリジットではなく宋が反応。「みなさん逃げてください」
その言葉と共に店内におびただしい数の銃撃音と極めつけに手りゅう弾が投げ込まれ、それらを命令したガタイの大きな男は「素人が本物に喧嘩を売るからこうなるんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます