異世界の金がない!

『うむ、とっても美味であった。』


「それなら良かった。」


少し休むとか言ったけど、シュヴァルツがメンチカツを一口で食べるから1分ぐらいしか休めなかったな。


『それで、お主は何処に行こうとしていたのじゃ?』


メンチカツを食べ終えたシュヴァルツが疑問を投げた。


「何処にって言われても・・・・歩いていただけだからな、目的とかは特になかったな。」


『ほう、目的はなくともこの地を訪れたか。随分酔狂なものだな。」


ん?どういう事だ?


続けてシュヴァルツは言った。


『いやなにこの地にはケルベロスとキマイラの巣があったはずだ。そこに殆ど手ぶらの状態で来るとは・・・・酔狂なものだなと思っただけだ。』


「それじゃ魔物が1匹もいなかったのは・・・・」


『うむ、ケルベロスとキマイラを恐れてこの森に近づかないからな。』


全身の血の気が引くのを感じた。


え、なに?俺はそんな危険な所にズカズカ進んで行ったのか?


『お主は運が良かったようじゃな。幸いにもケルベロスとキマイラには出会わなかったらしいからの。』


「早くこの地から出たくなってきたんですけど・・・・」


『ハッハッハ!心配いらん。儂にかかればあんな魔物など一撃よ。』


「一撃って・・・一体シュヴァルツってどんな龍なんだ?」


『儂か?儂は【エンシェントドラゴン】と言われておるな。』


【エンシェントドラゴン】とはまた凄い名前だな。


『まぁ、他の種族にそう呼ばれているだけであって、本当の名は・・・・』


本当の名前は・・・・


『ない!』


ズコッ!と擬音が出そうな程体制を崩した。


『そもそも龍というのは突然発生するものだからなそれぞれに個体名はない。』


「発生・・・・?」


『そうじゃ、魔力の歪みによって産まれる。歪みが大きければ大きい程強いドラゴンが産まれる。そもそも、確かエルフだったかが火のブレスを使う龍を【レッドドラゴン】 雷のブレスを使う龍を【サンダードラゴン】と言ったのが広まっただけじゃからな。』


へぇー、そうだったのか。


『さて、これからお主はどの方向に行くのか?』


「このまま進むか、引き返すか・・・・うーん。」


『このまま進んだほうがいいだろうな。この森を出て少し行ったところに人族が住んでいる街がある。そこに行くのはどうかの?』


でもなぁ、街に入るのにも金がかかりそうな気がするんだけどな。


「俺、この世界の金が無いんだけど。」


『金がないか・・・・そのアイテムボックスにもしかしたら何か入ってるかもしれん。確認してみろ。』


言われた通りに確認した。


「これは・・・・コンロ?」


最初に出てきたのはガスコンロのようなものだった。


『それは魔道具のコンロであるな。売ったら金貨50枚ぐらいするな。」


金貨?聞いたことない金だな。


「なあ、シュヴァルツ。この国での金の単位?を教えてくれ。」


『なんじゃそんなことか、良いぞ。』




シュヴァルツからお金の事を聞いた。


鉄貨・・・・10円

銅貨・・・・100円

銀貨・・・・1000円

金貨・・・・10000円

大金貨・・・・100.000円

黒金貨・・・・1.000.000円

白金貨・・・・10.000.000円


とまぁ、こんな感じだった


「このコンロは結構凄いのか?」


『いや、魔道具のコンロの中では低い方だ。高いものだと確か・・・・金貨800枚ぐらいするものがあったはずだ。』


800枚?!なんでそんなコンロに高価な値がついているんだ?


『それはこの魔道具が高性能だからじゃろう。あとは複雑な魔道具であるということも値段が高い要因だな。』


成程。・・・・え、今心読んだ?


『従魔になったのじゃ、心など読めて当たり前だろう。』


えぇーこれからは心の中の発言にも気をつけないといけなくなるのか。


『そこまで神経質になる必要はなかろう。あれじゃ、念話?だったか?それの練習だと思えばいいじゃろう。』


「念話?そんなの使うことあるのか?」


『まぁ、備えあれば困ることはないからの。』


じゃ、そういうことにするか。


仕切り直して袋の中の物を取り出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界のんびり生活 かいさんたらこ @FUOGTK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ