従魔はメンチカツと共に

「魔力の湖から数十分くらい歩いたな。」


体感だから実際には数分しか経っていないかもしれないな。


「ここまで特に何にもなかったな。」


いやまぁ、そんなポンポン何かあるわけないか。


そうしてまた、森の中を通って歩いて行った。





「やっぱりなんもない・・・・」


おかしいな?モンスターにも遭遇しないなんてあり得るのか?


疑問を持ちながら歩こうとした時不意にお腹の音がなった。


「ずっと歩いたからな少し腹が減ったな。」


近くの木に腰をかけた。


そして、頭の中で【地球通販】と呟いた。


「さて、今回は何を選ぼうかな?」


ガッツリと食いたいからな・・・・惣菜かな?


どれにしようかと迷っていた時、メンチカツが目に留まった。


「メンチカツ・・・・ここ数ヶ月口にしていなかったな・・よし、メンチカツにするか。」


メンチカツと表示されたボタンを押した。


「個数・・・・贅沢で2つにするか。」


【メンチカツが2個で250円です。買いますか?】


安!?そんな安いのか・・・・これは即決だな。


画面に表示されたYESを押して購入した。


【毎度ありがとうございます】


そして、コトッと小さい段ボールが足元に置かれた。


「この中に入っているのか。」


早速ベリベリと段ボールのテープを剥がした。


「おぉ!」


中にはプラスチックの容器に包まれたメンチカツが出てきた。


容器を持ってみると温かかった。


「ちゃんとあったまってるのか・・・・良いな。」


容器を開けてメンチカツにかぶりついた。


「うっっま!」


衣がサクサクで食感が楽しく、中の肉がたっぷり入っていて、尚且つ肉にしっかり味がついておりソースがなくともとても美味しく仕上がっている。


そして、なにより・・・・


「あったかい。」


これが一番重要だな。冷たいメンチカツは素材が良くても美味しさは半減するしな。


そして、もう一つに手を伸ばした。


しかし、そこにはメンチカツは無かった。


「ん?あれ?メンチカツ何処に行った?」


魔物はいなかったし・・・なんだ?お化けでもいるのか?


すると少し上から声が聞こえてきた。


『うんま──────い!!!!!』


黒い龍がいた。


「えっ・・・・何・・・・?」


『お主!コレは何処で手入れたのじゃ!』


「何処って言われても・・・・」


安易に地球のことは言わないほうがいいな。


「秘密です。」


『ぬぅぅぅ教えてもらえぬか・・・だったらこれでどうじゃ!』


そう言って袋を差し出された。


「えっと・・・・なんです?これ?」


『これか?これはアイテムボックスというやつじゃ!しかも最高級だぞ!無限に入るんだぞ!』


へぇー・・・・


「いや別にそこまで欲しくはないんですけど。」


『なぬ!これでもダメか・・・・ぬぅぅ一体どうしたら・・・・』


というか、なんでそんなメンチカツにこだわるんだ?


「なんでこれにそこまでこだわるんですか?というか、私この世界に来て浅いのでこれの凄さとか分からないんですけど。」


『なぬ?お主この世界と言ったか?』


あ、やべ、つい口が滑った。


『ということはお主【異邦人】か。』


【異邦人】?知らない単語が出てきたな。


「【異邦人】ってなんですか?」


『この世界とは別の世界から来た人間をそう呼んでいる。』


最もそんな頻繁に来るもんでもないがなと付け加えられた。


「最後に【異邦人】が来たのはどのぐらい前なんですか?」


『直近じゃと・・・・大体500年前かのう。」


500!?そんな前か・・・・


『それよりお主が【異邦人】だと分かったわけだ・・・・』


「い・・・一体どうするんですか?」


『いやなに帝国にこの情報を渡せばすぐにお主を確保しに来るだろうからな。』


くっ・・・・のんびり自由に過ごす生活に支障が出る・・・・仕方ないここは・・・・


「はぁ、しょうがないですね。」


『おぉ!ついに従魔契約をしてくれるのか!』


「いや従魔契約ってなんですか?」


聞いてないが???


『お主、手を出してみろ。』


言われた通りに手を出した。


『そしたら儂がそこに顔を擦り付ければ・・・・これで従魔契約の完成じゃ!』


あ・・・・


「嵌められた!?」


『カッカッカ!油断するほうが悪い。』


「契約破棄の方法って・・・・」


『無論無い!』


えぇー


『というわけだ、これから宜しく頼むぞ主よ。』


「・・・・はぁー、仕方ない腹括るか。こっちからもよろしく頼む。」


そう言って握手をした。


『それじゃ名前を決めてくれ。』


ネーミングセンスのかけらもないないのに・・・


「んー、それじゃ、・・・・普通にブラックドラゴンとかじゃダメ?」


『ダメじゃ!そんな格下の名前など誰が喜ぶか!』


偉そうだなコイツ


「じゃあ、シュヴァルツとかでいい?」


『かっこよさそうな名前だな!それにするぞ!』


はぁ、やっと決まった。


『それじゃ、早くあの美味いものを食わせてくれ!それと敬語はダメだ!』


「はいはい、分かった。」


さっきと同じような手順でメンチカツを買った。


全部で1250円でした。


そして、段ボールから開けると、プラスチックの容器が出てきて、それを段ボールから出して開けた途端、目の前から10個のメンチカツが消えた。


「何処行った?」


そう考えたのも束の間、上空から声が聞こえた。


『うんま──────い!!!』


爪にメンチカツを刺して食べていた。


「器用だなアイツ。」


シュヴァルツがメンチカツを食べ終えるまで少し休むことにした。



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