第5話


「いやあああああああああ」

俺は頭抱えて叫ぶ。瞳子は驚いたように目をパチクリパチクリしている。まるで、珍しい生き物でも見つけたような表情だ。


「え・・・あ・・・大丈夫?」


俺は壁に頭を打ち付けながら、絶叫する。聞きたくない名前だ。そんな陽キャの名前聞いただけで、心と体が叫び出す。


炎と森のカーニバルだ。俺の体から妖精が飛び出していく。俺は暗い森のなかで、上空に立ち登る、焚き火の煙を眺めながら俺は一人、殻にこもる。妖精達は飛び回り俺の頭上でくるくる回るのだ。妖精たちは最初楽しそうにしていたが、次第に話始める。俺のトラウマを・・・


「そういえば、高校一年生の時にこんな事があったよね。愛田さんと連絡先交換して・・・」


「うわあああああああ」

俺は耳を塞ぐ。いやだいやだ。聞きたくない、思い出したくない。いやだああああ


「おーい」

瞳子は俺の前で手を振ったおかげで俺は意識を取り戻した。


「いやだ!そんなの絶対無理!!」


俺は両手でバツ印を作って、最大限首を振る。そんなの無理!絶対!


「何で?どうして!?」


「そんな陽キャ名前聞くだけで無理!!今まで調子乗ってすみませんでした!なんか都合良く、わんちゃんあるかもとか思って申し訳ございませんでした!!」


俺は高速で2回程頭を下げて、そそくさと立ち去る事にした。

しかし、瞳子は俺の袖をつかみながら阻止をしてきた。


「いや、ちょ・・・帰りますので・・・」


「私が死んでもいいの?」


「よくないけど、ちょっと・・・愛田さんと付き合うとかは難しいので・・・

その・・・ちょっとしたトラウマが・・・すみません・・・」


「お願い人助けだと思って!」


彼女は拝む姿勢で俺に懇願した。

でも・・・そんなこと言われたって・・


愛田鋼はガチガチの陽キャだ。ルックス評価も高く、クラスでの人気も高い。

多分クラスで狙っている奴も多くいるはずだ。よくあいつの話を聞く。

俺もその一人だった。彼女に魅了されてたくさんのトラウマを一番恥ずかしいトラウマを・・・



「私が、良人君と愛田さんと付き合えるように全力でサポートするから!!」


「いや、そんなお節介な・・・・どうやって、サポートするんですか?そもそも他校でしょ?」


「そこは大丈夫。明日転校するから!」


そう言って彼女は親指を立て、問題ないアピールしてきた。

ちょっとかわいい・・・


「だから、明日は一緒に学校いこうね。早速作戦会議しないと!とりあえず、今日はこんな所でいいかな?」


そう言って彼女は指を鳴らした。すると世界から音が流れ始め、人が動き出した。

今まで、俺と瞳子の間には誰もいなかったが、前を通り過ぎる人で、彼女が時々見えなくなる。


「そういえば・・・これって何?・・・なんですか?」


「秘密」

そう言って、彼女は唇に人差し指を立て、俺の方を見る。


「え?」


「秘密が多い方が魅力的でしょ?じゃあ・・・明日近くの駅でね」


そう言って、彼女はいつのまにか人混みに消えていった。

俺は結局状況が掴めないままであった。

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俺はどうしてもクラスの陽キャの女の子と付き合わないといけない件について。 キラキラ @kirara1234

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