第8話:理解しない、理解できない

 「いやぁ……、しかしホントにごめんね。中学生を夜まで拘束しちゃったし、しかも肝心の事件は全然進展してないからさ。」

結局マイさんの死んでいたリビングも色々調べてはみたが何も残ってなかった。そもそも三倉さんが片してたってのもそうだが、死体発見時の様子と変わらないように見えた。

「いえ、こちらこそあまりお手伝いできませんで。」

それこそ謙遜が過ぎる。ハジメくんが居なかったらオレがニチャニチャになってた可能性すらあるのに。それに整理も一応ついたし、たぶんヒントも貰った気がする。

あともう1個何かあれば掴めそうな、そんな気がしている。

「そんな事言わんといてよ。ホントに助かったんだから。それにいいもん見せてもらったしね。今度俺にもカポエイラ教えてね。ムツミちゃんと。……ダンスじゃなくていいからね。」

ちゃんとは聞いてないがダンス云々の話はそういう事なんだろう。ホントに2人で踊り始めたらめちゃめちゃ面白いと思ったんだけどね。

「はい、是非。」

社交辞令じゃガキ。中学生の男女の間に割り込む大学生が居てたまるか。

「じゃね。」

「お疲れ様です。」

手を振ってハジメくんを送ってから家路に着く。

だいたい7時くらいかな?ハジメくんが家でなんやかんや言われないと良いけど。

オレは帰ればたぶん夕飯の途中くらいだろうか。とにかくクソほど疲れているのでなんか優しいモンが食いたいな。あとビーフン。

……とにかく今日はずっと頭が重いし時々ズクズク痛むのが困るったらありゃしない。なんかこう、うまく言えないけどこれまでの流れにどこか違和感もあるし。

あ~あ、な~んも分からんちん。帰ってクソして寝よ。



 「あれ?ハナちゃん、こんな時間にどうしたの?」

家に着く寸前、マンションのロビーでハナちゃんと会う。え?イイ感じの棒持ってんだけど?コイツさぁインドアとアウトドアのそれぞれの要素が濃すぎるだろ。

「あっ!エイジくん!見て、イイ感じの棒!」

塩ビパイプってイイよな。塩ビパイプが嫌いなガキはいない。

「イイね。どこで拾ったの?」

「あっちの方、これでユウカちゃんの真似しながら帰って来たの!」

そう言ってそのパイプをよう分からん方向に突き出す。別にいいけど分からん。ていうか家に持ち込むな。ま、言ったって無駄なんですけどね。

「そう……。パトロールとかするのかもしんないけど、あんまり遅くなっちゃダメだよ?」

「あっ、違うよ。おとといね、台風知らなかったからミナミちゃんに傘借りたんだけどね、学校で返し忘れてたから今返しに行ったの。明日土曜日だし。」

ミナミちゃんはハナちゃんの友達らしい。会った事は無いけどハナちゃん曰く「話合うんだ。」らしいので十中八九くせ者だろう。

「ちょっと遠かったから面倒だよ。ゆーてハナが返し忘れてたのが良くないんだけどね。」

ふん、まだまだだな。オレは金以外ならなんでも借りパクするぜ?

というワケでハナちゃんから塩ビパイプをひったくり、外の植え込みに隠すように突き立ててから何事もなかったかのように2人でエレベーターに乗る。

「今度同じような事あったらユウカちゃんから借りよ。」

「その前に自分で持ち歩けな。」

「傘ってヤなんだよねぇ……。邪魔で。」

オレもガキの頃はそうだったような気がする。両手が開いてないと気持ち悪いんだよな。

「てかユウカから借りるってどうなの?学校も違うから勝手悪いでしょ。ユウカの意思を考慮してないのもウケるけど。」

俺の妹がこんなに振り回されてていいものか。にしたってわざわざユウカのを使うメリットがない。真っ黒でカワイくないし。

「だってユウカちゃんて魔法で警棒出せるでしょ?色んな種類の見てたからさ、出せるのかって聞いたら傘も出せるんだって!要は棒状の武器として扱えるものならいいらしいよ!」

マジ?それって話がまるで変わらない……?強くね?警棒だけだって聞いてたんだけど、それだとトンファーみたいな形でもいいんだよな。ギンのアレとかでも。ていうか傘って武器扱いなんだ。傘、……警棒。……警棒?


「―――ハナちゃん?」

「ん?」

チン♪と鳴って、扉が開く。オレたちの家があった。

「ちょっと付き合ってくれる?」

「えあ?」



 「ただいま。」

「おかえりなさーい。」

「おう。」

「あ、おかえりお兄ちゃん。」

「うーい。キョウ、メシ、ナニ?オレ、メシ、クウ。ハラ、ヘッタ。」

「なんでカタコトなんだよ。しかも割に至極真っ当な事しか言ってないし。」

「焼きビーフンだけど。あんたの好きな。」

「やった!やったやった!嬉しー!」

「お兄ちゃんうるさ……。よくもまあそんな……。おいしいけどね。」

「どんくらいある?オレもう……もうオサエラレナイ……!」

「あー、悪い。父さん結構食べちゃった。でも大丈夫。美味しかったからな。」

「もう私たちは食べたから残り全部食べていいよ。皿洗うね。風呂入っとけ。」

「会話しなよ……みんなしてなにコントやってんだか……。」

「よぅし!……んなッ!?エビが無いやんけ!」

「ま、私が食べたんですけどね。」

「てンめ~!おっぼえてろよ~!」

「風呂は~?」

「エイジ、お前ずっ~と古いぞ。やり口が。」

「ずっ、ゾ!ゾゾゾ!そう?ま、いいものと海洋プラスチックはいつまでも無くないってね♪笑うなァ!うまい。」

「怖……。」

「お兄ちゃん……、もう頭が……。」

「バカやってないで風呂順番に入って来いって!」

「「はーい。」」

「ズゾゾゾ!!!!!」

「「「うるさ」」」



 お腹いっぱい。風呂も入ってサッパリ。気分爽快息スッキリ。

部屋に入ってフーッと息をつき寝間着に着替える。そろそろ夜にも半袖短パンでいいかなって感じ。7月に入るんだもんな。夏ってやや嫌いなんだけど。大学の教室にゃエアコンついてて助かったわ。小中高にも導入しとけよな。

このオレ様が珍しくゲームを点ける気分ではないので。なんとなく机に向かってなんにもせずにぽけーっとしてみる。うん……。なんかポスターとか貼ってみようかな。今度ヒデトラとリサイクルショップとか巡ってみるか。

うん、うん。

なんとなく目についたノートなんか手に取ってみたりして。

こういうのも役に立つ事もあるもんだな。いやまぁ無くたってなんにも変わんなかったんだろうけど。


………………あーあ、つまらんね。 

「寝よかな。」

明日も、明日こそ大変なんだから。



  おはようございます。どうも、門沢エイジ、今起きました。いやぁ最近大変ですね。

もう何が何だかって感じですがね、魔法少女だかウィッチだか大して違いも分からんような連中が急に表れてみたりして。しかもそれが身内だったりお友達だったり教え子だったり。子供の夢みてぇなのに青年を巻き込まないで欲しいモンですがね。

う~~んッ………!っと。

それにね、殺人事件ときたもんだ。やってられないですわ。日曜の朝かと思ったら深夜枠だったってね、笑えませんよ。周りに子供ばっかの中で頭の潰れた死体なんか見つけちゃってさ。見せられるワケもないし、警察に任しちゃえと思ったら物凄い隠ぺい騒ぎになっちゃってさ。

まったくもってどうでも良くない事ばっかりだけど、まず朝ごはんでも食べますかね。

行かなきゃいけない所あるしな。



 「ハナちゃん、ここでいいの?」

一緒に歩いてきたのは、割と最近だったかな。この辺りで2つあった小学校が統合されるってんで廃校になった方。旧菫青第二小学校だった。

「うん!最初にいっぱい下僕しもべにしたからここにしたの!それに誰も来なくて都合よかったしね。」

なるほど合理的かもしれない。ていうかやっぱりハナちゃん強すぎるって。なんやこのクソゲー。トランクスのスーパースライディングじゃん。

「懐かしいわね。管理できるのはハナだけだったから私はあの時以来かしらね。」

「そうなんだ。ここから、ね……。じゃ、入ろっか。」

「うん。」


ここが、始まりの場所。あるいは。


「しっかし、小学校にこうやって久々に入るとぜ~んぶ小っちゃいね。下駄箱の上の埃が見える。」

もはや取り潰すまで誰も近寄りすらしない校舎だ。ほんの少しの申し訳なさがあるが土足のまま3人で歩く。

「私の世代はもう統合した状態だったからここには通ったことはないけど、それでも小学校ってそれだけで懐かしい気がするわ。」

「ハナなんも分からん。」

「せやろな。」

ゲームキューブが現役の小学生にノスタルジーが分かってたまるか。

「ぬーん……。ここだな。」

体育館に続く渡り廊下の一番近く、2階にある広い視聴覚室に入る。建付けが悪いのか記憶しているよりも激しくガラガラ!っと大きな音で戸を開ける。

「じゃあ、ちょっとここで皆さんお楽しみ、特別授業を始めまーす。」

1人はいるけだるさを隠そうともしないタイプの先生如く抑揚なく言う。

「はーい!」

こんな張り切って授業受ける生徒居たら楽しいやろな。

「はい……?」

はぁ~………………。やらなきゃな。



 2人が最前列の席の埃を払って座っている間に、オレも視聴覚室特有のホワイトボードの埃を払い、いつも使っているリュックの筆箱からペンを取り出す。

「じゃあね、時系列順に何が起こったのか整理していこうと思うんだけど。」

「――え。」

「えーまずどこからかな、最初っからクライマックスなんだけど……。いいか。」

2人は大人しく聞いている。

「まず犯人はお昼頃にムツミちゃんの家に行きましたね。そしてリビングでマイさんにめちゃ強電気ショックを浴びせます。ヤバいですね。」

言いながらホワイトボードに適当な長さで時間を表すグラフと、簡単なムツミちゃんちの間取りを描く。時間グラフの左端には『12時~13時』『事件発生』をそれぞれ上下に入れる。

「そんでマイさんは夕方まで倒れたまんまです。正直この時点で死んでてもおかしくないし充分可能性あったと思うんですが。とにかくうつ伏せのマイさんの頭に携帯が落ちます。これはリビングのローテーブルから落ちたのか、それとも犯人が適当に置いたのかは知らないです。」

簡易間取り図のリビングに棒人間を描く。頭部分にバツを入れる。

「………マイさんが倒れたときに机から落ちてきたんだと思います……。」

うつむいたユウカからはその表情を窺えない。

「―――じゃあそれで。」

「――お兄ちゃんッ!!」

「ッ!待って2人とも!………最後まで聞いてユウカ。必要なことだ。」

2人とも座って静かにこちらを見る。素直で良い子たちだな……。

「はぁ……。続けま〜す。そんで時間は夕方。」

時間グラフの左端からやや離した位の目盛りに『大体16時』『エイジ 1回目』を入れる。

「ここでオレがやって来ますね。ムツミちゃんより先に、ちょっと早かったかな。ポイントはここで電話を掛けた事と、ドアが開かなかった事ですね。カギは掛かってなかったのに。」

今度は内側から見た玄関をざっくり描く。必要なのはドアとドアノブ、あと上がり框だけなので適当でいい。

「これは理屈だけは簡単なトリックを使ったんだと思います。ひょっとしたら違う形かも知れないけど。たぶん、こう。」

『卜』の形を裏返して、さらに横にしたような棒を描く。そして短い方の棒をドアノブにつける。描くとムズいな……。

「なんだこの棒。トンファーの掴むとこを斜めに付けたみたいな?あぁ、『ユ』みたいな十手とかの形でもいいかな。とにかくココね。ドアノブにガッチリ引掛ける。例えば傘の持ち手みたいなフックとかの形にして。そんでこの下の辺でつっかえ棒にします。」

玄関ドアの沓摺と玄関の上がり框に下辺をびったりくっつけて丸で囲う。

「変な形の棒だけど、トンファーも十手も、天秤棒だって武器みたいな扱いの武術もあるしな。たぶんどっかにはあるだろ。な?」

ユウカは……、まだうつむいて何も喋らない。そうだ。それでいいんだ。

「これで外からはカギに関係なく開かなくなりますね。外開きでも。あとは、そもそもコレを設置する方法だけど。正直普通できないわな。ここにパッと出現したとしか思えない。」

肩を竦めるジェスチャーをする。お互い分かり切ってるこんなクソみてぇな茶番にこそ呆れるべきだけど。

「まぁとにかくコレが開かなかった原因でしょうね。話を戻すよ。ここでオレはユウカにムツミちゃんの事を確認しに帰る。そして、」

時間グラフの次の、更にもう1つ先の目盛りに『ムツミ帰宅』を書く。

「ここでムツミちゃんが帰ってきます。でも、ドアは開かない。カギが掛かってる訳でもなく開かないので、もちろんムツミちゃんは混乱する。マイさんは中に居るはずだから、電話掛けたんだって。それによってマイさんの頭のところの携帯が鳴りだすね。」

リビングの棒人間のバツ印をもう一度なぞる。

「………ここで、たぶんね、犯人は知らない事なんだけど。」

正面を見据えてハッキリ言う。と、ユウカがビクッと震えて、やっと目が合う。怯えていた。振り返って飛ばした目盛りに『バケモノ出現』を書き込む。

「この家に”バケモノ”が湧いてたんだ。ハンマーみたいな形の頭で殴るソイツはその着信音でマイさんに気付き、頭を潰した。死んだんだ。」

………………。

「今、なんて……?」

「マイさんは死んだ。誰かが気絶させたせいで。”バケモノ”のせいで。」

……ユウカはまたフリーズしてしまった。

「続ける……。とにかく倒れたマイさんと”バケモノ”を見たムツミちゃんは別の人を頼ってその場から離れる。そこにオレがハナちゃん連れて戻って来て……。オレがもう一度ドアを開ける瞬間に、犯人はつっかえ棒を……、パッと消した。」

もうホワイトボードに描く気にもならん。とにかく目的は果たしたみたいだから、こんな演出はもう要らない。

「ハナちゃんに聞いたよ。お前、この日の朝。自分に魔法掛けるように頼んだってな『私が自分の正義を信じられるように。勇気を持てるようにしてくれ』だって?」

中学生のガキが人を襲って、平気に隠せるワケがない。

「それでユウカ、今何を感じてる?それは、勇気か?」

その事をハナちゃんから聞いた時、最後まで解除しないでくれって頼んだ。人間の意思も曲げられる魔法なのは身をもって知っているが、それでも人の感情だけは簡単に歪められないのも知っている。

もしユウカにも、『自分の正義』のための勇気じゃない、現実に立ち向かう勇気があるなら。

「………ぅ、うるさいッ!!」

そうだ。そうだよな。

「だって!!私はッ!ムツミのために!」

良かった。

「正しい事をしたのに!!!」

ユウカもちゃんと、苦しんでたんだ。


「なのに!!なんでこんなに………苦しいの!?」


「そう、苦しいんだよ。現実ってのは。自分の世界に、お前は逃げようとしたんだ。」

「うるさいってば!!お兄ちゃんに何が分かるの!?もう……黙ってて!!」

パニックになったユウカが指輪を取り出してこっちを睨む。完全に敵になった。自分でそうしたんだけど。もうずっと悲しい気持ちでいっぱいだ。

ハナちゃんもこっちに回ってきて指輪を取り出す。


「「フラワー・エンゲージ!!」」

………こうなったのはそもそも魔法少女なんてなったからじゃないか……?一体何なんだよ。それ。

「天下無敵の魔法少女!プリモ・フラワー!!」「大胆不敵に魔法少女!ガオーン・フラワー!!」

「「………ッ!」」


2人とも、少し固まる。

「どいてハナ…。私は……、私が正しいんだから……!」

「ダメだよユウカちゃん。戦いたくないけど、止めるから!」

「ハナちゃん、ユウカの魔法は解かないでね。今解いたら、ホントに壊れちゃうかもしれない。後にしよう。あとね、守らなくてもいい。オレが追い詰めちゃったんだから。妹の怒りは受け止めてあげなきゃね……。」

前に出てハナちゃんを制してあっち行けのジェスチャーをする。大丈夫。ユウカの事を信じている。

「ユウカ。今はそりゃもう苦しいだろうけど、受け入れなきゃダメだ。自分のした事を認めて、後悔しろ。もしどうしても苦しい時はオレに言え、サポートするって言ったろ?」

ユウカが泣きそうな顔をしている。歯を食いしばって、うつむいて、決意を顔に表して。

「マジカル☆!!スティックッッ!!!50㎃ァ!!」

空中から一瞬でその手に警棒が出現する。重そうでツヤのない真っ黒で何かが異質な。

「もうッ!もうッどうすれば!!分かんない!!」

ジジッ……!バチッ……!バシンッ!!

ユウカが震えながら握りしめたそのスタンロッドが見てわかる大量の電流を放出する。バチバチと発光して直視できない。

「――ッああぁぁぁあ!!!」

ユウカがその冗談みたいな威力のスタンロッドを振りかざす。

あやべ。ホントに死ぬかも。ユウカの限界を見誤ったんだ。お兄ちゃん失格だな。

怖い、嫌だ、死にたくない。クソ!カッコつけるんじゃなかった!死にたくない死にたくない!!

「ッひ、やめ―――。」


グシャッ。鈍い音がした。オレか?オレじゃない。正面からだ。恐る恐る目を開ける。

「いッッ―――!!ッギ、いッたい!!」

ユウカのスタンロッドを握っていた右手は後ろに弾けて、スタンロッドは奥に飛んでいる。そして眼前にまっすぐ立っている、立っている?ふくらはぎ……?だった。



 「大丈夫ですかエイジさん!?」

「……はい。エイジさんです……?」

え?なんで?なんでここにハジメくんが?別に何も言ってないしそもそもどこから出てきたんだ……?

「ムツミさんの魔術で隠れてたんッス!見てられなくて、足出しました!」

は?ムツミちゃん居るの?辺りを見回しても姿は見えない。………マズいだろソレ?

「あーもうッ!!みんなして!邪魔!しないでッ!!」

ユウカは右手の指が潰れていた。あれじゃ武器は握れない。……かと思ったら手首に固定するように巻き付けたトンファーを右手に作り出し、左手に、メイス……!?

もう打撃武器なら何でも良いのかよ!?クソッ、もう完全にパニックになってる!自分が何やってんのかも分からなくなってるな……!

「オイッ!!テメェが魔法少女だとかは一旦どうでもいい!まず武器を置いて落ち着けや!な?」

良かった。ハジメくんは冷静に穏便に済ませられるならそうする人間らしい。ただ、もうオレに出来ることがないのが分かるのが辛い。オレが悪いのに……!

「もう……!やるしかないのよ……!!」

左手のメイスを上段に構え、ブレのない足運びでまっすぐこちらに向かってくるユウカ。正直、めちゃめちゃ怖い。もうあの澱みを湛えた目と目を合わせられない。さっきまでユウカのために悟らせようとか考えていたのがバカみたいだったとしか思えない。中学生の背中に隠れる事しかできない。

「やるしかねぇんだな……!俺の魔術は加減が効かねぇから気ィつけろよ……!!」

ハジメくんはイヤホンをつけ、ステップを始める。もう止められない。割り込んだところでカチ割られるのは目に見えている。今ここでは力が無ければ何もできない。


「―――ッエァイッッ!!」

ユウカが先に動く。上段のメイスをそのまま全力で振り下ろす。風を押し潰すような勢いを纏い、低い姿勢のハジメくんの頭に―――当たらない。

フィギュアスケートのようにフワッと回り、今度はその鋼鉄のローファーのかかとをユウカの頭上に―――当たらない。

右のトンファーで受け、振り下ろして床に穴を開けたメイスを即座に切り返し振り上げる。何だ?

それもハジメくんには当たらず、自分の蹴りの勢いでそのまま回りながら床に這った姿勢で下から蹴り上げる。何なんだコレは?

その蹴りを右で無理矢理払いのけて、また振り下ろす。すべてに必殺の力を込めて。

なんでこの子たちはこんなに戦えるんだ。”バケモノ”だとか”カイブツ”だとか、そんなあやふやなモンじゃない、人間だろ?


…………あぁそうか。最初からか。最初から間違えてたんだ。オレが甘かった、魔法少女、ウィッチなんて、夢のあるファンタジーなんかじゃなかったんだ。人間の澱みの受け皿、ストレス社会のシワ寄せ。コイツ等は力を持っただけの、ただの生贄だ。


ゴキッ、メキッ、グシャ、だとかの音を全部混ぜた破砕音がする。

ハジメくんの肩口にメイスがめり込んでいた。クリーンヒットさせられず加速しきれないハジメくんの方が分が悪かったのか、そもそもユウカの狂気が上回ったのか分からないけど。

ハジメくんがグルンッと横に回る。どう見ても肩の肉も骨も、その胸までブッ潰れているがその側転宙返りみたいな状態で、蹴る。そのまま頭から落ちる。あるいはこっちも、狂気なんだろうか。

メイスを振り抜いた状態では流石にかわせないらしく、ユウカは左目につま先が刺さる。今度は眼窩が砕けていた。もうやめてくれ。やめてくれ。



  ……それでもユウカは膝をつかず、もはや呆然としている様子でフラフラ歩く。こっちに向かって。

「……ムツミは、ムツミはいつも気丈に振る舞っていたけど、ずっと苦しそうに耐えてた。お母さんのせいだって言うヤケドを掻きながらもう嫌だって……、おかしい人なんだって……。」

うろんな目で独白を始める。

「私は正義の魔法少女なんだから、助けなきゃいけないから……。気絶させて……、ムツミに助けさせて……、ムツミが必要なんだって、思わせようとして……。」

オレの妹は、正義に狂っていた。

「お兄ちゃんが私を呼んだあのタイミング……、あの瞬間に魔法を解いてさえいれば……!お兄ちゃんが来なければ……!お兄ちゃんが殺したんだ……!!」

そうか。ドアの開いたタイミングの理由が分からなかったんだ。……そうなると、たしかにオレが殺したって………言え、ないと思うけど。

ま、関係ないか。もう疲れたし、生きてたってこんな社会、しょうもねぇもんな。

ユウカ、ハナちゃん、ムツミちゃんは幸せに………、無理かな。

「ユウカ、ごめんな。ごめん。」

「もう、どうにでも―――――え?」

「え?」

ユウカのドレスに、さっきまでたしかに無かったシミがある。どす黒い赤、血の色。何があった?さっきから目離してもないし瞬きすらしていない。2人で何が起こったのか分からないまま目を合わす。この間にも脇腹のシミは広がっている。布を貫通してサラサラとした明るい色の血だけが染み出て、スッと力の抜けたユウカが膝をつく。

まるで透明の刃、―――あ。

さっき聞いたばかりだったのに忘れていた。もう頭がめちゃめちゃだったから。

ぼんやり曇りが晴れるように透明の霧の中からもう1人のウィッチの背中が見えてくる。

「ムツミ…………?」

その手には血濡れの包丁があり、逆の手は首を引っ掻いていた。表情は背中からではユウカと目が合っている事しか様子が読めない。

「ムツミ……私はムツミのために…………。」

ユウカはまるで悪いことをして親にすがる子供のようだ。いつ怒鳴られるかと怯える子供。

「ユウカ。」


「死ね。」


ユウカの細い首の上を、中を、包丁が通る。

見たくない、だとかそんな感情も沸いてこない。ただゴポッ……と吹き出して、零れ落ちる血を見て、この前の台風の日の排水路を思い出した。アレってほんの3日前の事だったんだなって。

切り開かれた喉は頸椎までは切れなかったみたいでパペット人形みたいになっている。少しピンクの肉、筋肉が見えていたが、それもすぐ新鮮な酸化していない紅色に染まっていく。中心に開いている空洞、たぶん気管だと思うその穴にも血は流れ込み、一度ぷくぅっとドロドロの泡を形成した。

そして埃と、自分で砕いた床の粉塵と、自分の血でグチャグチャになっている汚い床に崩れ落ちるユウカ。…………………………ユウカ?

「ユ、……ウカ。ユウカぁ!おいッ!!」

いつからか抜けた腰のまま這い這いでユウカにすがる。オレもすぐ紅色に染まる。オレは何処も傷ついていないのに。

ユウカはうつ伏せのまま錆びついた機械みたいに少しだけ顔をこっちに向けて、目も向ける。

そしてそのまま、何の意思表示も無いままに。指輪が砕けた。



 ……………………。

粘度の高いその血溜まりの中で。どんどん明度を失うグチャグチャの沼の中で。体液が液体になり、体温が水温になっていくユウカの中で。否が応にも実感してしまった。マイさんの死体を見つけた時なんて比べ物にならない。生命ってのは熱だ。生きるってことは温かいってこと。そして生き物の熱とは血であり、今ユウカから熱が流れ出している。もうここに魂は、ない。

「イヒッ、」

あぁそうだ。ムツミちゃんも居たんだった。つくづく忘れちゃうなぁ。

「イヒヒッ!…………もうダメだぁ。」

そうだね。ダメだこりゃ。なんかの冗談じゃ、ないよなぁ……。意識でも飛ばねぇかな?って思ってもその籠った鉄の臭気が感覚を鋭敏にする。

「もう……。もう……、な、なんにも。なんにもないや。」

そうだね。そうだ。なんにもない、この話はここで終わり。終わりました。続きとか、ないです。

チャプ……。

「お、お母さ。ユウ、カ……。」

ビチャ。ビチャッ。

あ、なんか知ってる、この感じ。

ゴボッ……!

ユウカだったこれのそばで動いてなかったオレの背中側の方から、膝元の血が黒くなっていく。純粋な黒に。血を飲むように混ざっていく。限りなく黒に近い赤ができていく。

振り向きたくねぇなぁ……。見なきゃならんかなぁ……。さっき言ったでしょ。もう終わりだよこんな話……。やりすぎ、しつこいんだわ。

「イヒッ……!イヒヒ……!!」

ゴミのスピーカーから出てるみたいなクソ音質の笑い声。まるで壊れたみたいな笑い声。

「オカア、サン……。ユウカ……。コ、コンド、オチャ、イ、イレテ、アゲ……、ルネ……。」

はぁ~…………。なんか言ってるよ。

なんかもう……、逃げよっかな……。後ろとか見てやんねぇわ。今ムツミちゃんがどんな形になってようが関係無いもんね。

あ~あ……、よっこいしょっ……と。

うへぇ、べちゃべちゃだわ。帰って洗わないと……。今日のメシ何かなぁ。ユウカの分も食っていいかなぁ。

ゆっくり立ち上がり、振り返る事もなくそのままとぼとぼ歩き出す。何か考えるようなことも無い。とにかく疲れたから帰るだけ。高い窓から日光が入って来ているんだけど、今オレの後ろから現在進行形で伸びている影にももう特に興味も無かった。

あー……、あの、えと、アレ。思考がまとまらない。あの、ハナちゃんはどこ行った?今、何だっけか。まぁいいか。帰んなきゃ。

砕けた床にけつまずく。うわっ。知らねぇ知らねぇ。もう視聴覚室ガッタガタだわ。誰か片しといてな。

歩いて、最後に開いている戸に手を掛け。最後につい振り返る。何の気なしだった、なんも考えてなかったから。

見なきゃ良かった。ま、それを言えば、最初から全部見なきゃよかったんだろうけど。


4mはあろうかという怪物が、ユウカの死体を喰らう。辛うじてヒト型を保っているだけのおぞましい異形、意思を持たない神のような人智を超えた悪魔が、ムツミちゃんがユウカの腕を腕を引き抜き、ユウカの肩口の白い関節が剝き出しになる。もう血流が止まっているから血はあんまり出てなかったが、その化け物が、子供が小さなぬいぐるみを乱暴に扱うように握ると、肩と首からピュッと血が噴き出る。


 「――あ、あああァァァア!!!!」

ダメだ。思考を止めることすら許されない。この地獄の中をただただ見せつけられる事しか許されない。もう何もかもがオレを許さない。

この耐えられない現実から逃げたくなって、何か別の感覚が欲しいから頭を掻きむしる。髪をぐしゃぐしゃに引き抜く。が、この程度の痛みじゃこの世界は何も変わらない。

「ェエッ…!!ゲェッヘッッ!!ガフッ……!!」

胃液がこみ上げてきて吐く。吐いたってなんにもならないのに。もう限界なんだろう、この場でオレだけが無傷なのに。こんなイカれた状況で、なんでオレは無傷なのか。なんか間違ってる気がしてきた。もうオレも死んだらいいんじゃないかな。

顔を上げて、地獄を覗く。

血と砕けた机やイスで舗装された床、それに潰れたカエルみたいにへばりついたまま動かないハジメ。正面奥の窓には晴れ渡る空、その手前にも、死。

人を傷つけるための形をした歯におさげを挟めて、満足そうに嚥下するムツミ。その化け物と目が合うと、笑った。

「イヒヒッ……!イヒッ……ギャハハハハ!!!」

轟咆。天井を見上げビリビリと大気を震わせる。今まで見たような”バケモノ”でも”カイブツ”でもない。正真正銘の化け物であり怪物。

そんなにオレの妹がよほど美味しかったのか知らないが、楽しそうに見える。

「―――ッハァァ……!!」

こっちを見る。混ざりきらない血と唾液と黒い液体が頬から歯から滴り落ちる。次はオレか。いいけどね…………。

「ユ、ウカ……!!」

地獄をまとったムツミちゃんが、つぶやきながら右腕にあたる部分を上から斜めに振り抜くと、そこには警棒が握られていた。なんでだよ。もう、そんなの要らねぇだろ。

更には、じわっ……と視界が、いやオレの視界の大部分を占めるこのムツミが滲む。背景に溶けていく。いやだから要らねぇだろって。オレはもうどうしたって死んでやるんだからさ。

でもクソでかいムツミが多少見えなくなったところで関係なかった。その呼気は分かりやすくハーハー聞こえるし、足元の血溜まりにはビシャッ、ビシャッと足型が見える、そしてこっちに歩いてきてるってことだ。

よかった。もう歩きたくもない。

殺せ。


「エイジくん!」


あ?

……まだ展開あんの?疲れたんだけど。

「ただいまー!どうなったー?」

どうって………。終わるとこなんだけど。

「……ペッ!ハナちゃん、もういいよ。先帰ってて。おしまい。」

「え?おしまいって……。ユウカちゃんは?」

バゴォッ!!

視聴覚室の戸がベコベコにひしゃげる。

「これ。」

その教室の入口に指をさす。

「……ッ!逃げてエイジくん!!」

逃げるか。命あっての物種だもんな。こんなの受け入れられるかよ。クソが。

「頼んだぞハナちゃん!クソデカい上に透明になってる!」

生存確率の高い方、ハナちゃんの方に駆け出す。こちとら逃げるためにゃ小学生の背中にだって隠れるんだわ。

「えー!?聞いてないよ!透明だったら危ないじゃん!」

ハナちゃんも背中を向けて駆け出す。

「ハナちゃんも逃げたらオレが置いてかれるじゃん!戦ってよ!」

「戦うから下がってるの!エイジくんも急いで!」

人間のオレが魔法少女なんかと並んで走れるワケがない。

「ギャガアァァァ!!」

ちょっと後ろを振り返ると、廊下を破砕しながら確かな質量のある空間が追ってきている。暴力が現象となってやってくる。これは逃げられない。オレは生きなきゃならないのに!

「ぅえへっ!!え………ひゃんっ。」

グンッ!と引っ張られる。引っ張られて、急に浮く。急に浮いて、包まれる。

「エイジくん遅い!」

お姫様だっこだった。なんという。よかった、これで逃げられる。小っちゃいハナちゃんが170㎝強あるオレをお姫様だっこしているこの姿は傍から見ればどう映るのだろうか。

「エイジくん、臭いんだけど。……血?」

あ、そうだった。なぜか頭から抜け落ちてたさっきの事。ハナちゃんは知らないんだ。

「あのな、ハナちゃ」「舌噛むよ!!」バァァン!

体育館の2階、体育館をぐるっと囲うギャラリーに入るドアを蹴り飛ばす。この学校、戸ブッ壊れすぎだな。

「うわっ……!」

今は昼間だ。2階の窓にカーテンはついていない、確かに日光は差している。にも関わらずその1階は闇のようだった。いったい何体居るのだろうか、様々な形を成した人間のストレスが具現化したらしい異形、”バケモノ”。

「キリンさん!またお願いね?」

「イヤヤネンケド……。」

キリンの頭に2人で乗る。なにキリンて?しかしたくさんいるな。ハナちゃんが言うにはこの廃校に今まで洗脳した”バケモノ”を全てここに格納しているらしかった。今回、ハナちゃんにもし戦闘になるならどこがいいか聞いたところ、ここが一番ハナちゃんは強いとそう言っていた。これならたしかにそうだろう。この”バケモノ”は一匹残らずハナちゃんの味方だ。

「デンキダイ!!スイドウダイ!!」「テンバイヤ……!!」「クソキャクガヨォ!!」

ただし、全員残らず不平不満を叫んでいる。ココが社会か。

キリンさんは最後列に下がる。

「みんなー!!敵が来るからねー!倒しちゃえー!!」

鬨の声が上がる。もはやハナちゃんは魔法少女なんかじゃない、部隊とも呼べる暴力を抱えていると思う。小学生の女の子が。

ドォン!と大きな音がさっき蹴破ったドアのあった穴から鳴り響く。さっき見たあのムツミは優に3mを超えていた。あの穴は通れないのだろう。ひと際大きな破砕音がする。もはや穴はドアがあった形跡などなく丸くトンネルのようだった。そこに見えないが、居る。

そして、オレ達がキリンさんに乗ったところの手すりがひしゃげ、その下の”バケモノ”も2体ひしゃげる。うわ。

「あそこだよ!みんな、突撃ぃ!!」

ハナちゃんはちょっと楽しそうに見える。そうだろうな。そんなに強けりゃ楽しいだろうなぁ……。

…………うん。

黒ずくめの連中が数の暴力を何もない空間に向ける。

まずイノシシから突っ込み、弾かれ。

魚みたいなのも突っ込み、弾かれる。

ムツミはたぶんあの警棒を振り回しているんだろう、化け物がやる事じゃないだろ。

「で、ユウカちゃんは結局どうなったの?」

ハナちゃんに言わなきゃならないんだろうか。イヤだな。あぁいや、言わなきゃならないんだ。言わなかったからこうなっているんだから。

「……死んだよ、アレに食われた。」

ハナちゃんが一瞬止まる。辛い。

「ホント?」

「うん。」

顔が見れな


「そっか、残念だね。」


「え?」

え、終わり?

バッと顔を上げる。いや、そうじゃないよな。ハナちゃん?

もう、前を向いていた。戦闘を眺めている。は?その顔はさっきと何も変わらない……ように見える。

「腹立っちゃうなぁ、みんなー!頑張れー!!」

………………は?なんだそれ?

……目の端にはより一層の勢いを増した異形の軍勢が映っている。

秩序なく暴れているムツミにはユウカの技術も知能もない。それに比べて”バケモノ”共は知性こそないが完全に制御、統制されている。次第に押していく。

15体ほど弾き飛ばされたところで、ムツミと同じくらい巨大な、ヒト型の”バケモノ”がその巨大な爪でもって、その空間を引き裂いた。

突如空中に現れた警棒がガランガランと落ちる。

「……アレってユウカちゃんの?だよね?」

「え、うん。そう…だよ。ユウカを食ったらアレを出した……。」

「ふーん……。」

もう一撃、ヒト型が爪で切り裂くと、どす黒い紅を孕んだ黒の液体が空中から吹き出し、後ずさりするムツミが姿を現す。

「いいぞー!!やっちゃえー!!」

キリンさんの鼻先に立っているこの魔法少女は、嬉しそうに煽る。……何なの?

ヒト型はひるんだムツミの両の二の腕にあたる部分を鷲掴み、鋭い爪で握り裂いた。終わったか……。

怪獣同士のプロレスが決着し、ヒト型と残った”バケモノ”が勝鬨を上げる。

仰向けに、大の字から人の字みたいになったムツミは黒い何かが晴れて、ムツミちゃんに戻る。眠っている。

「やったー!」

ぴょんっと目の前の魔法少女が喜ぶ。やったじゃねぇんだよ。

「キリンさん降ろしてー。」

「ダル……。」

「うおっ……。」

急にキリンさんの頭が下がり、慌てて首にしがみつく。下に着いたのでどしゃっと情けなく重力のまま落ちる。……なんかもう力が入らない。オレだけは何もしてないのにな……。

「終わったね!エイジくん!」

こちらに向き直り満面の笑みを見せてくれる魔法少女は心の底から嬉しそうで。

その奥には”バケモノ”がうごめき。


「お疲れ!ケガしてない?」


眠っているムツミちゃんを取り囲み


「汚れちゃったね。帰ったらなんて言い訳しようかなぁ?」


頭がハンマーの形になっている”バケモノ”が


「ユウカちゃんも居なくなっちゃったしなぁ……。」


ムツミちゃんの頭を


「エイジくん?聞いてる?」


砕いて、殺した。

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