第5話 暗闇に映る

   5.暗闇に映る


 何となく寝付きが悪いので、スマホで動画サイトを観ていました。

 程無くすると眠気が来たので、部屋の明かりを消す前にスマホの画面を落としました。


 すると暗闇に反射する私と、その背後に能面の様な顔の男が写りました。目は虚ろで、口はだらりと開かれていますが、仮面の様にピクリとも動かず、私の倍はあろうかという大きな顔でした。


 ビクリとしてスマホを落としました。勇気を出して後ろを振り返ったのですが、そこには普段通りの私の寝室があるばかりでした。



 それから一年後位でしょうか? 前の能面の男の事はしっかりと覚えていましたが、ただの見間違い程度にしか考えていませんでした。

 その日私は夜中までテレビを観ていました。程無くして眠気が来ると、また部屋の明かりよりも先にテレビのスイッチを切りました。


 すると居るのです。私の背後にあの時と同じ顔の大きな能面の様な男が。ぬぼーっと立ち尽くし、私の後方の壁にもたげて。


 私は実家を出て一人暮らしを始めました。

 今でも暗く反射するする様な物はなんとなく避けています。

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