二章 歪んだ家
第4話 因襲 <日出 卯の刻>
夜霧の家は異質である。
その稼業も。
そして。
その性質も。
夜霧家は代々殺しを生業にしてきた。
夜霧の名は常に歴史の闇で語り継がれてきた。
その名は伝説であり、
伝承であり、
巷説でもあった。
又、お伽噺でもあった。
只、夜霧の家は確実に存在していた。
夜霧の者達は
人里離れた山奥でひっそりと暮らしてきた。
彼らがそうした暮らしをしていることには
一つ大きな理由があった。
『夜霧の者は人にあらず』
夜霧の血は濃い。
彼らにとって一族の血は最も尊いモノだった。
それ故に。
夜霧家には古くから伝わる
決して破られることのない血の掟があった。
「夜霧の血は
一組の夫婦によって
次の世代へと受け継がれる」
夜霧家は代々近親婚によって
その血を守ってきた一族だった。
そして。
この掟が意味するところはつまり、
兄妹間での殺し合いである。
生き残った一組の男女だけが
子孫を残すことができる。
この掟の根底にあるのは
「弱肉強食」
の原理。
生物界における真理である。
勝者が生き延び、
夜霧の血はさらに強くなる。
そう信じられてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます