第38話 上限値解放の暴走
ロココは上限値開放のリストを表示した。
【現在上限値開放されている概念】一覧
・筋力上限値開放
・骨格上限値開放
・成長性上限値開放
・偏差値上限値開放
・魅力上限値開放 ←new
・フェロモン上限値開放 ←new
「いままで気づかなかったけど。こんな風に上限値解放のリストがあるんだね」
『はい。【偏差値の上限値開放】から加速度的に、夢斗さん自身の上限値開放能力が上昇しています。急速にアンロックが増えていきます』
夢斗はあまりの項目の多さにくらくらしてくる。
力が付いたことはわかったが、これでは過剰積載すぎる。
「魅力やフェロモン上限値なんて。俺は望んでいないが」
『夢斗さんのフェロモンは度重なる筋トレによって自動的に限界突破したようです。精神と肉の部屋のキラキラ肉の力で〈究極健康体〉となっているのが起因しているのでしょう』
「自動的って。不可抗力だろ」
『不可抗力でもなんでも。今の夢斗さんは雄として極めて優秀な個体として女性に認識されるようになっています』
「じゃあ真菜と良い感じなのも……」
ここでさらに夢斗の脳内でアラートがなる。
次々に概念の上限値が開放されているようだった。
【オーラ上限値が開放されました】
【カリスマ上限値が開放されました】
【アトモスフィア上限値が解放されました】
「オーラにカリスマ? アトモスフィア? おいロココ……。この上限値開放、切ることはできないのか?」
『可能です。しかし上限値解放とはあくまで本人の潜在能力の解放。上限値解放を切ったとしても、夢斗さん自身の潜在能力が溢れてしまってはどうにもなりません』
「……俺は普通だよ?」
『いえ。あなたの潜在能力はダダ漏れです。溶け始めた氷山のようにポテンシャルがむき出しになってきているのです』
「そんな……。じゃあどうすれば」
『せいぜい楽しむことですね。では』
「待ってくれロココ。まだ話は……」
夢斗がロココに言いかけると、がちゃりとシャワーの扉があいた。
「あがったよ、夢斗君」
真菜の眼は、奇妙な色彩と光を帯びていた。
湯上がりの彼女はバスタオル一枚で夢斗の隣に座る。
バスタオルの上からは、豊かな膨らみが影となっていた。
「入って、きたら?」
「あ、ああ」
夢斗もまたシャワーに向かう。
シャワーを浴びていると、とんでもないものが眼に入ってきた。
「なんだ、これは!?」
『いきり立った夢斗自身』のサイズまでもが拡張されていたのだ。
「なんだよ、これ!? おい。ロココ!」
『○茎もまた上限値開放が発生したようですね』
「『ようですね』じゃねーだろ!
『事実です』
「うっそだろ……」
網膜投影に表示が浮かぶ。
――【陰○上限値】が解放されました。――
まずい。
本当に上限値解放炉心が暴走を初めている。
「いけないものまで上限値解放されてんじゃねえか!」
シャワールームでさらなる成長を遂げた『いきり立った夢斗自身』を前に、本人が一番引いていた。
――【サイズ上限値が解放されました】――
――【膨張率上限値が解放されました】――
「やべえ。やべえよ。ロココ、どうにかできない?」
『私の出る幕ではありません。自分自身を頼りにがんばってください』
「そんなぁ……」
夢斗は心を決めた。
ああもう、なるようになれだ。
膨張した彼自身はバスタオルで隠しても屹立している。気にせず堂々と歩く。
シャワーから上がると、真菜はまだバスタオル姿だった。
「待ってた」
「寒くなかったか?」
「温めて欲しかったから」
微笑む真菜。その瞬間、夢斗の限界が壊れる。
真菜に飛び込んでしまう。やっぱり、なるようになれだ。
小柄な彼女は両手を広げて、迎え入れてくれる。
バスタオルのまま包容。
「ムキムキになったねえ」
「君を護るために。強くなったからな」
「じゃあ。私も。いいよ」
腹筋はバキバキで、今は様々なものも上限値開放されている。
もう虚無君じゃない。ならば大抵のことはどうにかなるだろう。
夢斗は生物としての、動物としての自分を改めて自覚する。
夢斗はもちろん始めてだったが、驚いたのは、真菜もまた始めてだったということだ。
「始めてなんだけどさ」というと、「私もやったことないから。どうすればいいか、わかんない」
彼女もまた、仰向けになりながら、両手で顔を覆った。
「嬉しいよ」「私も。嬉しい」
「ありがとね」「ありがとう」
思考のすべが吹き飛びバスタオル姿の真菜を抱きしめた。
「苦しいよ」
「ごめん。止まれない」
「いいよ。夢斗君なら……」
脳内ではロココが気を利かせたのか、上限値解放の表示が浮かんでくる。
【エクスタシー回数・上限値開放が開放されました。エクスタシー回数通常1回 → 上限値解放後6回】
【サイズ上限値開放が開放されました】→20センチまで拡大可能です。
いきり立った夢斗自身のサイズがほどよく拡張され、体力も底上げされる。闘いの中で強くなるためか、夜の闘いでもまた闘いながら成長できるようだ。
(ロココが気を使ってくれたのか。気になるが、今は目の前の真菜に集中しよう)
気を取り直して、がんばろうとすると、
「む、夢斗君? 何、それ……」
「ああ。強くなったみたいなんだ」
真菜が『夢斗自身』をみて青ざめていた。
「いや。いやいや。そんなの無理だよぅ!」
「優しくする。大丈夫!」
「大丈夫じゃないよ!」
様々な部分。オーラやカリスマまでを上限値開放しつつ、夢斗は誠心誠意、一夜を駆け抜けるつもりだったが……。
「それは、無理だよ……。みてたらのぼせてきて。無理だよ……」
「真菜?」
真菜の様子がおかしい。
理由はロココにあった。
『お互いの官能上限値も開放しておきました。夢斗さんを通じて官能が高められます』
(どういうことだ、ロココ。真菜さんまでおかしいのは聞いてない)
表示がさらにでてくる。
【感応上限値が解放されました】
↓↓↓
【4000倍まで拡大可能です】
おいまて。
〈陰茎上限値解放〉はまだいいが、これはだめだ!
(ロココ! 4000倍って。どこで知ったの?)
(ネット情報によると感度の上昇は4000倍が定説のようです)
真菜の様子がおかしいのはそのせいか。
この炉心精神はネットに毒されている。
感度が4000倍のまま、行為に及んだらお互いに死んでしまう!
「きゅぅ……」
真菜は、あまりのショックに気を失っていた。
脳内ではロココが解説をくれる。
『どうやら夢斗さんの雄力が強くなりすぎて、真菜さんにはショックが大きかったようですね。元々彼女にも疲労もありました。強い刺激を前にしたため限界が来たようです』
「お前のせいだぞ?」
真菜の寝息は安定している。無事であることは確かだ。
「しょうがない。俺も寝るか」
だが夢斗の内なる欲望は止まらない。
「……駄目だろ俺。寝ている人にエッチなことするなんて……」
手が彼女の肢体に伸びていく。バスタオルをめくり、膨らみの感触に触れたいと本能が願っている。
「これも上限値解放の暴走? いやいやいや! 寝ている人を襲うなんてクズラノベの主人公でもやらないぞ?」
『夢斗さん……。それでいいです』
「よくない。お前は悪魔か?」
『炉心精神は所有者の健康が第一です。『欲望を解放』してください。心と健康に悪いです』
ロココのことは無視。
夢斗は暴れようとする内なる自分を鎮めようとする。
「上限値解放が俺の中で暴れているなら。上限値解放には上限値解放をぶつける! ロココ。今から俺の言う通りに上限値解放を発動しろ」
『わかり、ました……』
夢斗の願った上限値解放は、【菩薩上限値解放】【賢者上限値解放】
【悟り上限値解放】【修験者者上限値解放】の4つだった。
あらゆる欲を滅するために、理性を総動員したのだ。
「俺よ……。鎮まれ……!」
好き放題やってしまえばよかったのかもしれない。
一人で暴走して、一人で悩んで。陰キャなのはかわらないけど。
それでも、こんな自分が、嫌いじゃないんだ。
「ふぅ……」
夢斗は真菜に背を向け、欲望を宥めつつ目を瞑った。
「俺らしいっちゃ、俺らしい」
微笑ましいような悲しいような夜だった。
夢斗の中でロココがささやく。
(私は、そんなあなたが……)
ロココが夢斗の脳内でイメージをつくりだす。
人の形になってみたら、どんなに楽しいだろう。
炉心精神に〈願い〉が生まれていたのだ。
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スペース
大変なことになっちゃいましたけどたぶん大丈夫です。
暴走する力って奴が好きです。中学生の時は一人で左腕を抑えていました。
『力の暴走』が好きな方いましたら、☆1でいいので☆評価、コメントよろしくお願いします。https://kakuyomu.jp/works/16817330649818316828#reviews
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