第9話

「少し遠かったが、まぁ許容範囲だな」

「よし、行くか」


茶色の扉へと手をかけ、開ける


「すみません」


「はい!当店にどのようなご用件でしょうか?」


「このネックレスを見てほしいのですが」


「見てほしいと言うと値段ですか?」


「いや、この青色の球がなにか見てほしいです」


「承知致しました。少々お待ちください」


(よし!ようやくこれで何の石かわかるぞ。でも……わかったところでどうなんだ?まぁ少しでも夏希への手掛かりへとなってほしい)



――――――――――――


今俺は宿にいる。


先程ネックレスを鑑査してもらった結果、この蒼い珠は「カイヤナイト」とわかった。


店員さんいわく、カイヤナイトは藍晶石あいしょうせきと呼ばれ、少し珍しいパワーストーンらしい。


「この石に宝石言葉とかあるのか?」


疑問に感じた俺はスマホで調べてみることにした。


「えーっと、『物事を正しく判断し、精神を安定させる』か」

「なんかいかにも宝石言葉っていう感じがするな」


下に画面をスクロールしていくと、気になる記述があった。


「『裏の宝石言葉』?この石にそんなのがあるのか」


『心の呪縛を解き放つ』


「どういう意味だ?」


(妙に具体的な言葉が気になる)


そんなことを思っているうちに、急激に目の前が暗くなり、意識が途絶える。

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