第7話

「ちょっと見せて」


唯冬いふゆの手に渡る蒼い珠のネックレス。


「う〜ん、ここらへんの宝石店になんの石か見てもらったら?」


「そうだなぁ。俺も現時点ではそうしようと思ってる」


「ネットで調べてみたの?」


「青い宝石って調べたけど、検索ヒット数が400万以上もあったから、どれがこの宝石かわからないだよなぁ」

「取り敢えず、明日になったら近くの宝石店に持って行って、鑑査してもらおうと思う」


「ふーん。ようやくお姉ちゃんの足跡を掴んだかもしれないから、明日は私もついて行くわ」


「わかった」


ふと窓から外を眺めたしゅう

今はもう暗く、黒い波の音が微睡まどろむような静寂に響く。



―――――――――



朝日と共に俺は起き、昼をまわった頃に唯冬いふゆと共に地元の宝石店へと向かう。


「ここに行くの……?」

「だってここ…………………ぼろいじゃない!」


「仕方ないだろ。田舎だから付近にはここしかないんだよ!」


「なんか張り紙が貼ってある……」


【これであなたも億万長者!】


「見出しの時点でもう既に怪しいですね……」


「まぁ取り敢えず入ってみよう」

「すみませ〜ん。誰かいませんかー」


真昼だと言うのまるで深海にいるように太陽の光が部屋に届いていない。


「なんだい」


奥の扉から突然、70代くらいのお婆さんが出てくる。


「すみません、ここって宝石店ですよね?」


唯冬いふゆが先走って店主らしきお婆さんに聞く。


「そうだけど、なんかようかね?」


「このネックレスに付いている石が何の石か知りたいのですが……」


「どれ、見せておくれ」


俺はリュックサックから蒼いネックレスと取り出し、店主へと渡す


「ほぉ。さては貴様このネックレス落ちているのを拾ったものだな?」


突然、店主に口調が変わり、空気が海風の影響以上に冷える。


「そうですが……」


「返す」


「あの〜これを鑑査してもらいに来たんですが……」


「帰れ」


その後、俺たちは店から追い出された。


暗く佇む宝石店を背中に俺たちは宿へと戻る。


「なんか感じ悪かったね」


「そうだな」


「なにも収穫なかったから一回私帰るね」


「そうか………」


俺と唯冬いふゆは一回別れることを決定した。

そして俺は唯冬いふゆを見送りする


「じゃあな」


「うん」


「また夏希のことで何かあったら連絡する」


「そうね。お姉ちゃんに関することが見つかったりしたら連絡してちょうだい」

「じゃあ」


夕方だからか背中が霞んで見える気がする

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