第6話

一際輝いているものに興味を持った俺はそこへと近づく。


すると岩かげに池とは別の水が少し溜まっており、その水たまりの底に光り輝く青色のネックレスがあった。


手を伸ばし、取ろうとすると、少し違和感を感じる


(なぜこんな所にネックレスなんかがあるんだ?)

(俺は夏希を探しにここまで来たが、なにか違和感を感じてしまう)


そんなことを思いながらも、ネックレスに手を伸ばし、水の中から出そうとする。


水の中から取り出したネックレスは、ずっと水に浸かっていたせいか表面がくすんでいる。輝きを確認するためか、かすかに強く輝いた。


(もしかしたらこのネックレスが夏希の物かもしれない)


ネックレスに付いているが、日光が撒いた赤い炎をにぶく輝かせる。


(そうだとしたらようやく一歩前進することができる。いったん戻って、後日これを調べることにするか)


自宅から遠いところに来ているので、しゅうは海辺の近くの宿屋に泊まることにした。



―――――――――


「美味しすぎます!」


今、俺の隣には唯冬いふゆがいる。

俺は、今日得た手がかりを唯冬いふゆと共有するためにこの宿に呼んだ。


(なのに隣のこいつはなんでここに泊まる気まんまんで浴衣を着て、食事をしているんだ?)


しゅうさん!これ美味しいですよ!」

「食べないなら私が貰っちゃいますね」


(初めて俺と会った時はあんなに冷たい態度をしていたのに、食べ物ひとつでこんなに人は変わるのか。)

(この店の主人すげーや)


「ダメに決まってるだろ。」


「なんでですか?別に食べる気ないなら頂きますよ?」


「そもそも人のものをあまり食べようとするな!」

「てか、俺は海鮮の中で1番、甘海老が好きだから絶対譲らんからな!」


「ええぇ、けち!」


「その代わりにこの鯛をあげるよ」


「やったー」


まるで子供のようにはしゃぐ唯冬いふゆ

俺と初めて会った際にあんな態度したのは、お姉ちゃんのことや色々なことが合わさり、気持ちの整理が出来ていないからなんだろう。


「しょれでなんでぇあちゅまったの?」


「口の中を空っぽにしてから喋れよ!」


段々と唯冬いふゆのことが妹に見えてきた。夏希と結婚したら妹になるのか?


唯冬いふゆがごくりと食べ物を飲み込んだ。


「もう一回言うけどなんで私をここに呼んだの?」

「もしかしてお姉ちゃんのことでなにかわかったの?」


「さっきそこの八百屋のおっさんから聞いた話だが、夏希らしい人を見たらしい」


「それっていつの話?」


「今日の昼に聞いた話だ」

「で、俺はその話を聞いてすぐに、どこへ向かったかを聞いたが、詳細はわからなかった」


「わからなかったってどういうことよ」

「どこの方向に向かったくらいわからないの?」


「いやそれは聞いた。あのおっさんが言うに海岸へ向かったらしい。」

「そこへ俺が向かったら、このネックレスが洞窟らしきところに落ちていた。」


ネックレスを見せる俺は、微かに蒼く光ったのに気付かなかった。



――――――――――

編集後記


注意事項をここに綴りたいと思います。


・時間軸は結構意識して見て下さい

・主人公の口調が標準語から、関西弁になっていますが、執筆者が関西人なので仕方ないです


以上です。

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