第二章 忙しない小隊長の日々
プロローグ
巨大奈落獣との戦闘は、熾烈を極めていた。
「く……、なんて硬さなんだ」
「これじゃ、こっちがジ・エンドね~」
「冗談きついぜ」
龍を模した20メートルのスーパー級ガーディアンの中で、少年たちは呻いた。
「諦めちゃダメよ」
「でも、ほんとにこのままじゃ…」
少女2人のうち、ひとりは少年たちを叱咤するが、もうひとりはそれに反して弱気を見せる。
連携を見せるライトニング級やミサイルの雨を降らせるディザスター級の攻撃を受けても、目の前の巨大奈落獣に有効打は与えられていない。
そこへ、白いオーバーロード級が上空より舞い降りた。
同時に、奈落獣の胸部が開いた。そこから光が広がっていく。
機体が光に呑まれる。
『う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――』
5人の少年少女たちの意識はそこで途絶えた。
競技会場は熱気に包まれていた。
『さぁ~皆様お待たせいたしましたぁ!これよりチャンピオンシップ決勝戦を開始いたします!』
会場は熱狂の只中にある。テレビ中継がなされ、収容数5万人の客席は全て埋まっていた。
『青コーナー、数ある大会で不敗神話を築いた、常勝無敗の男ぉ~!
ジョ~・上杉ィ~!』
巨大ゲートが開き、そこから二本の刀剣を両腰に差した、16メートルの巨人が歩み出る。
『赤コーナー、皆様ご存じ現チャンプ!その拳で全てを砕く男ぉ!
雷刃ぁぁぁぁ、ルー!』
反対側のゲートからは、身軽そうなボディと、相反する頑丈そうな腕部を持つ、同じく16メートルの巨人が現れた。
「刀の錆にしてやるでござるよ」
40代の男が時代錯誤な台詞を吐くと、
「お前もこの拳で沈めてやるさ」
30代の男が言い返す。
カーン!と鳴るゴングと同時、上段に刃を構えた機体が飛び上がった。
「チェストォォォッ!」
そのとき、会場が光に包まれた。
光はすぐに収まったが、そこに二刀を持つガーディアンは消えていた。
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