第41話 百合の花、咲くとき
「それでは澪さま。腕を上げてください」
「はい」
紗夜は澪の胸にブラの上からメジャーを当てて一周。それから少しずらしてアンダーも。最後にワンタッチ。
「あんっ」
「バスト86、アンダー68、”ふわふわ”です」
「紗夜! 最後何してんですか!?」
「少し手が滑ってしまいました。次はウエストですよ」
「ちょ、ちょっと!」
二人のやり取りを耳にしながら知真理は記録を書く。
(86と68で”ふわふわ”‥‥‥と)
ウエストは自然に立った状態で力を抜いて、一番細いところを測る。最後に一撫で。
「ひぇっ!」
「ウエスト54、”さらさらすべすべ”です」
「‥‥‥最後のなんですか?」
「お肌チェックです。ヒップ、いきますよ」
「‥‥‥」
澪がジトーッとした目を紗夜に向けるが、紗夜本人はどこ吹く風といったように受け流す。
(54の”さらさらすべすべ”‥‥‥と)
次にヒップ。一番高いところにメジャーを当てて測定。最後に鷲掴み。
「きゃっ!?」
「ヒップ84、”しっとり”です」
「紗夜! やっぱり最後!」
「間違えてしまっただけです。次の人も待っているでしょうし、どんどん行きますよ」
「あ! ちょっと!」
(ヒップ84”しっとり”。‥‥‥やっぱり澪様、すごくスタイルがいいですね。典型的な脱いだら凄いってやつです。それにしても‥‥‥)
それから肩幅、胸の位置、脇下、乳下がりなど測っていったのだが、そのたびに紗夜は最後にセクハラをしている気がする。
毎回澪に咎められているが、のらりくらりと躱して紗夜が楽しんでいるのは知真理の目から見ても明らかだ。
普通なら主家の長女である澪様にそのようなことをするのは知真理の立場からすれば止めるべきなのだろうが‥‥‥。
(頬を赤くして我慢してる澪様‥‥‥可愛いですね‥‥‥)
揉まれたり、撫でられたり、こしょこしょされるたびに「ひゃっ」とか「んんっ」とか声をあげて、恥ずかしそうにプルプルしている姿に知真理はゾワゾワしたそそるものを感じていた。
むしろ内心では「嵯峨家の私、紗夜様より身分が下ですから止められません!」なんて言い訳をして、更に内心で「紗夜様いけー! もっとやれー!」と、思っているまである。
そして最後の測定である背丈が測り終わった。
「はぁっ、はぁっ‥‥‥終わり、ましたか?」
「そうですね‥‥‥いえ、最後に一つ確認しておくことがありました」
(‥‥‥あれ? 紗夜様、何を言ってるのでしょう? 今のですべての項目はおわりましたけど)
知真理が疑問に思っていると、紗夜はゆっくりとした足取りで澪の背後に立つ。知真理からなら見えるその表情はいつもの無表情がイヤらしくニヤリと笑っているように見えて。
ゆっくりと紗夜の手が澪の後ろから回されて胸に迫る。
「やっぱり直接触るのが一番ですね!」
「‥‥‥は? ——んぁっ!?」
そのままブラの中まで手を突っ込むと、思いっきり揉みしだき始めた。
鷹司紗夜。彼女は身体を測る時のセクハラに味を占めて、すっかり調子に乗っていた。‥‥‥この前痛い目にあったばかりだというのに。HENTAIは学ばぬ生き物である。
(あ、あ、澪様のお胸があんなに卑猥に‥‥‥)
「ふむふむ、下乳は”たゆんたゆん”。横乳は”ぷにぷに”。谷間は”ぱふぱふ”といったところでしょうか‥‥‥。嵯峨さま、ガン見してないでしっかり記録してください」
「は、はいっ! ”たゆんたゆん”、”ぷにぷに”、”ぱふぱふ”ですね!」
「ちょっ‥‥‥そ、そんなの——んんんッ! 書かなくて——ぁんッ! い、いいから‥‥‥」
「いえ澪様! これは必要なことだと思います! 私はもっと見たいです! やっちゃえ紗夜様!」
「な、にゃにを——ぅんッ!」
「では次は先っぽを‥‥‥おやぁ、澪さま? なんだかここのところが固いですよ? ——えいっ!」
「~~~~~~~っ!?」
声を漏らすまいと口を押えて身体をびくつかせる澪。その姿をしてやったりとにやけ顔で見る紗夜。そんな二人の様子を爛々とした目で見つめる知真理。
(女の子同士って‥‥‥すごいかも‥‥‥)
今ここに、知真理の新たなつぼみが開こうとしていた。
「さて、嵯峨さま。ここからは有料になりますので、10分くらい時間を潰して——」
その瞬間、知真理は見た。‥‥‥いや、正確には見えなかった。
だが、まるで澪が消えたように見えたら、次には紗夜の後ろに立っていた。
「紗夜‥‥‥」
「——ひゃんっ! って、澪さま!?」
「また随分とおいたをしたのね? しかもこんなところで‥‥‥これはお仕置きが必要かな?」
「ふにゅぅ‥‥‥」
(え、え、澪様? なんか、さっきまでと雰囲気が‥‥‥それに紗夜様も真っ赤に‥‥‥)
知真理が何かが変わった様子の澪に戸惑っている間に、紗夜はいつの間にかメイド服を脱がされて下着姿を晒してる。
「あら? 紗夜のおっぱい、少し大きくなった? せっかくだから今度は私が測ってあげる。知真理は紗夜の記録をお願いね?」
「わ、わかりました」
「み、澪ちゃん‥‥‥」
「こら、隠したら測れないでしょう? 腕を上げて」
「う、うぅ‥‥‥」
「そうそう、イイ子。‥‥‥イイ子にはご褒美をあ・げ・る♪」
「——ひゃぁんっ//」
そこから続くのは、澪による一方的な蹂躙の始まりだった。
「ふふっ♪ ここをこうして‥‥‥」
「——いやぁっ//」
(あんな測りかたをしたら色々擦れて‥‥‥っ!?)
「あっ、こんなのはどうですか? これを使って縛って‥‥‥」
「——はぅんっ//」
(め、メジャーにそんな使い方が‥‥‥っ!?)
「ほら、紗夜? そんなに膝をガクガクさせてないでちゃんと立ってくれないと測れませんよ」
「み、み~ちゃん‥‥‥もう許して——にゃああんっ//」
(は、はわわわわわわわわわ‥‥‥っ!?)
澪の繰り出す妙技は、先ほどまでの紗夜のセクハラが子供の遊びにしか見えなくなるほど卓越していた。
華も恥じらう乙女である知真理は、とても直視できなくて記録を書くことも忘れて真っ赤になった顔を両手で覆う。‥‥‥が、しっかり指の隙間は開いている気がする。
ふと、その隙間から澪と目が合った。
「そういえば、知真理も紗夜のことを扇動していましたっけ?」
「そ、それは‥‥‥」
「うふふ♪ 知真理にもちょっとだけ味合わせてあげましょう」
「え、え‥‥‥いや、待って‥‥‥」
「遠慮しないで? ——えいっ!」
「——ア~~ッ!」
それから数分後。
「——はっ!?」
赤い顔でぽや~っとしていた知真理は唐突に我に返る。
いつの間に澪と紗夜はいなくなったのか、きっちりと記録の書かれた用紙が二人分、机の上に置かれていた。
でも、今はそんなことはどうでもいい。脳裏で何度も繰り返されるのは澪様と紗夜の熱い絡み。それから澪の妖しい笑みと、頭が真っ白になるような快楽の奔流。
「私、すごい体験しちゃった‥‥‥」
ここにまた一つ、百合の花が咲いた。そして澪の被害者が増えた瞬間だった。
その後、身体測定のある一つのブースでは度々少女たちの甘い声が聞こえたとか聞こえないとか‥‥‥。
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