第28話 復讐の時 紗夜のターン


※紗夜の内なるHENTAIが目覚めてます。

性描写が苦手な人がいれば、『■■』←これより先は飛ばしてください。

でも勘違いしないで、紗夜は澪の身体を洗ってるだけです。


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「ふふんふ~ん♪」


 お風呂の脱衣所にやってきた。紗夜と仲直り?できたことから自然と鼻歌が漏れてくる。


 結局、紗夜が不機嫌だったのは美琴ちゃんに対する嫉妬だったみたい。なんともまぁ可愛いものだ。


 ヤキモチなんか焼かなくても紗夜は僕の無二なのに。でも嫉妬してくれるくらい想われてるのは嬉しいな。


 そんなことを思いながら、僕は着ていたラフなワンピースをシュルシュルと脱ぐ。目覚めたばっかの時はレディースの服とか女性ものの下着とか着ることの抵抗が結構あったのに、人は慣れるものだな。


 それから下着も脱いで脱衣かごに入れると、生まれたままの姿になった。鏡に映るのは、白くてきめ細かな肌が曲線を描く均整のとれたプロポーション。


「自分で言うのもなんだけど、まさに理想の体型って感じ」


 この身体になってからせっかくなら綺麗でいようと思って、なぜか姉ちゃんに教えられた体型の維持やお肌のケア、豊胸マッサージとかで手に入れたこの身体は僕のちょっとした自慢だ。


 いったいなぜ姉ちゃんが僕にそんなことを教えたのかはもうわからない。豊胸マッサージなんて実践でされたけど姉ちゃんは僕の胸を大きくしたかったのか? ——って! 姉ちゃんめ、僕は男だ!


 ‥‥‥まぁいい、そのおかげで今の僕は理想の身体を手に入れたんだから。


 特にこのおっぱい。目覚めたばかりのころは長年の病状生活のせいか、歳にしてはちょっと残念な大きさだったけど、今は色々な努力が実を結んだのか立派なDカップに育ってくれた。


 目覚めた当初は違和感があったけど、今でははもうとっくにこの身体は自分の身体だと思ってる。


「あ、でもここだけは違ったね」


 ちょうど谷間から少し左に刻まれてる一本の大きな傷跡を指でなぞる。ここにある心臓だけはどうやら僕のものじゃないらしい。


 僕が長年入院してた病気は重い心臓病だった。どれくらいかと言えば、中学までしか生きられないと言われたくらい。治すには心臓の移植手術を受けるしかなかったらしい。


 けれどすぐに手術しようにも、病気が発覚した時は身体も小さくて、まだ手術に耐えられる体力がついていないということからギリギリまで待つことになった。


 そうしてドナー提供の関係などもあって、手術を受けたのがちょうど一年前くらいで、術後に目覚めたのが僕だ。


 今ではすっかり体力もついて元気いっぱいになった。それもこれもこの心臓を提供してくれた誰かなのだと思うと、感謝してもしたりない。


「ありがとう」


 だからこうしてお風呂に入る前に鏡を見て胸の鼓動にお礼を言うのは僕の日課だ。‥‥‥絵面は完全に自分のおっぱいにお礼を言っている変な奴だけど。


「さてと、お風呂にはいりますか!」


 気分を切り替えて浴槽に続く扉を開ける。モクモクと漂う白い湯気が出迎えてくれた。


 近衛家のお風呂はま~広い。大浴場とまではいかないけど、20人くらいなら同時に入れそうな広さだ。さらに外には檜の浴槽の露天風呂まであるんだから、テンションが上がる。


 僕はお風呂が結構好きだ。だけど病気が発覚してから心臓に負担をかけるようなことは禁止されて満足に入れていなかった。これもまた食事と同じで反動かもしれない。


「これは、ラベンダーの香りかな?」


 どうやらもうお母様がお風呂に入ったらしい。若干紫色に色付いたお湯を見れば入浴剤を使ったのが伺える。入浴剤をドバドバ使うのはいつもお母様だ。


 お湯に浸かるのを楽しみにしながら、僕は身体を洗うために洗い場のイスに座って髪を洗い始める。


 ちょうどその時、脱衣所の方から紗夜の声が聞こえた。


「澪さま、お着替えをここにおいておきますね」


「ありがとう」


「それでは私もお邪魔しますね」


「‥‥‥え?」


 紗夜の言葉に理解が追いつく前にガラガラガラとお風呂の扉が開く音がした。それに続いてヒタヒタと濡れた床を歩く足音。


 まさかと思って慌ててシャンプーを洗い流し振り返れば、お風呂の湯気でよく見えないけれど、明らかに一糸まとわぬ紗夜の姿が。


「って! な、な、なに入ってきてるの!?」


「お背中を流そうと思いまして」


「間に合ってます!」


 前にも何度か紗夜が僕の背中を流そうと突撃してきたけど、そのたびに断ってきた。


 他の家の子たちはメイドに入浴を手伝ってもらうのは珍しくないみたいだけど、僕は一人で洗えるし、誰かに裸を見られるのは普通に恥ずかしい。


 だからいつも通り追い返そうとしたのだけど。


「‥‥‥みーちゃん。今日の私は幼馴染なんだよね? 昔はよく一緒に入った」


「うぐ‥‥‥」


 確かに、さっき紗夜に何でもするって言った時に幼馴染に戻りたいっていうのを了承したのは僕だし、紗夜とは昔に何度も一緒にお風呂に入った記憶がある。


 けど、それはまだ二次性徴も来てないようなメスガキの時で、いまはもうお互いに色々成長して立派なレディに‥‥‥。


 チラッと正面の鏡に映る紗夜の身体が見えた。


 ‥‥‥うん。なんというか、記憶にある時とあまりかわらないような。


「——あ痛っ!」


「今、不快な視線を感じた」


 キュッと背中を抓られた。紗夜がジトッとした目を向けてくるのが見える。


 今のは僕が迂闊だったな。僕の女の子になったから分かるよ。視線はバレるもんね。‥‥‥でもそっか、紗夜はちっぱいなのを気にして。


「——あ痛っ!」


「もう怒った。みーちゃんをヌルヌルの刑にする。大人しく私に洗われる」


「へ? ——ひゃんっ!?」


 突然背中にひんやりぬるっとした感触が走って、思わず変な声が漏れちゃう。


 慌てて後ろを振り向くと、石鹸で泡立てた両手をクチュクチュさせながら、いつもの無表情になんだかちょっぴりイヤらしい雰囲気を漂わせる紗夜がいる。


 ここはお風呂なのに、なんだか冷や汗が出て来た。



 ■■



「あの‥‥‥紗夜? 落ち着いて? ね?」


「問答無用。今こそかつての復讐の時!」


「ちょ! ままっ!? ——んっ、くぅ~~//」


 紗夜の泡立った手のひらが首、背中、脇、二の腕、お腹、太もも、ふくらはぎと全身を這いまわる。


 それだけじゃなく、まるで指先の一本一本がまるで別の生き物のごとく触手のように動き回って、耳の裏とかおへその中とか足の指の股とか、ちょっぴりニッチなところまで浸食された。


 その度にピリピリとした電気みたいのが駆けまわって、身体に力が入らず、変な声を出さないように精一杯になってしまって、紗夜の蹂躙を耐えることしかできない。


 女の子の身体って不思議だ。どうしてこんなにも敏感な刺激に弱いんだろう‥‥‥。


「ふふふ、みーちゃんどう? 恥ずかしい? でもだんだんクセになってくるよ。私もみーちゃんにやられてそうだったもん」


 僕、紗夜にこんなことしたっけ‥‥‥。ふわふわする頭で必死に記憶を探ると‥‥‥あった。


 確かにしたわ。紗夜のこと泡でヌルヌルにして身体の隅々まで舐めるように‥‥‥。


「はぁっ、はぁっ、紗夜っ‥‥‥もうやめっ」


「やだ。これからがメインディッシュだもん」


 そう言って紗夜は僕の後ろから覆いかぶさるように腕を回してくると、ボトルから直接、僕の胸にボディーソープを垂らしてくる。


 冷たい感触に思わず身体がピクリと跳ねた。


 だめだ、これ以上好きにされたら、僕は知らない世界に飛び立ってしまう。快感が脳に刻み付けられる。


「だめ‥‥‥さよぉ‥‥‥これ以上は‥‥‥」


「~~っ♡! みーちゃんにそんな反応されると、ますますやめられなくなる。——えいっ!」


「——っ!?!?」


「わっ! みーちゃんのおっぱいふわふわマシュマロみたい‥‥‥うらやまけしからん! こんなの綺麗になっちゃえ!」


「——んんっ! んぅ~っ! んぅん~~っ!?」※体を洗ってるだけです。


 なに、これ‥‥‥ヤバい。


 ちょっと揉まれただけで、ビリビリビリ!って雷が落ちたみたいで‥‥‥あ、ほんと、これまじ、頭真っ白なる。


 ——プツン。


 僕の中で何かが切り替わる音がした。

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