第22話 不法投棄

男は地域のゴミ当番であった。

数ヶ月に一度の頻度で一週間の当番となる。


何もなければゴミ出しの日にゴミ収集カゴを畳むという簡単な仕事である。

男が朝ゴミ捨てに行くとカラスがゴミを狙っているのに気付く。


カラスは賢くカゴの隙間からゴミ袋を破りちらかしてしまうのだ。

そうなると掃除する羽目になり男の仕事が増えてしまう。


男はそれを回避する為、眼力と手ぶりでカラスを追い出す事に成功する。

それに満足した男であったが

ゴミを捨てると、ふとごみ収集カゴの横にある物に気づく。


テレビ台のような大きな粗大ゴミが捨てられていた。

ざっと見ても粗大ゴミの収集シールは貼られていないように見える。

たまにある不法投棄であった。


粗大ゴミは事前に自治体に連絡した後、事前に合意した日時と場所に収集シールを貼った状態で出さなければならない。

男の住む自治体では名前かイニシャルまでシールに記載が求められる。


誰しもこの手続きは面倒であるが、守らなければならないルールである。

粗大ゴミを突き返してやりたいが誰が出したのかが分からない。


男は家に戻りながら憤る。

なぜ誰か分からないようにしてまで不法投機してしまうのか!

ゴミを本人の家に戻せ!

捨てた奴の家はゴミだらけになれ!


心の中で悪態をついた男は一旦忘れようと考えた。

ゴミ回収者が恐らく何か書いた上で回収せずに戻すので、それから班長に連絡して回収依頼をする流れを想定しておく。


次の日男は確認したが、不法投棄された粗大ゴミは既に無かった。

恐らく回収されたか、誰か持っていったのかもしれない。

男は何もしなくて良い事に満足して家に戻った。


何週間か後の地方紙に、ある時急にゴミ屋敷となった不思議な家の記事が紙面の隅に載るのであった。


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2023年は不定期更新となります。

(週一くらいを想定)


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ファンタジー小説も書いています。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558358317347

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