第21話 路上喫煙④
動画配信者の発症再現動画はインターネット上で騒がれ、やがて政府関係者の目にも止まり、その後の厚生労働省の聞き取り調査で複数の発症者からそれを肯定する証言が得られた。
路上喫煙は法律違反ではないが条例で禁じられている場所などもあり、決して褒められた行為ではないので、具体的に指摘されるまで誰も言い出せなかったのである。
政府は発症者から煙草の銘柄のアンケートを取り、煙草メーカーの技術担当者なども交えて話し合いを行なった。
煙草メーカーの技術担当者のほぼ全員が会議の場で自分のメーカー、銘柄の煙草を吸い問題が無い事を証明してみせた。
結果としては特定のメーカーや銘柄が悪いわけではなく、やはりいじめをトリガーとする〈突発性ひと開口不全症候群〉のような物だと結論付けるしかなかった。路上喫煙そのものが悪いのだと。
今回原因究明の手掛かりとなった動画配信者のように、自分の身を挺して証明しようとする省庁、政府関係者、有識者は存在しなかったが、政府はさも厚生労働省が主体となって原因究明した様に見せかけ、会見で次のような結論を話した。
・発症者は喫煙者である。
・煙草のメーカーおよび銘柄は関係しない
・発症時、路上または路上に近しい場所で喫煙をしていた可能性が高い
政府は路上喫煙をしないよう呼び掛け、次の国会で法律で禁止する政府案を合わせて発表した。
男はテレビで会見を眺め、良かった俺は煙草は吸わないので関係ない。
これで家族を守って行けると安心するのであった。
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2023年は不定期更新となります。
(週一くらいを想定)
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