第23話 痴漢被害

男は朝食をとりながらいつもの様にタブレットでニュースを見ていた。

ふと「痴漢し放題」などどいう物騒なキーワードが気になり開いてみた。


なんでも今は受験シーズンであり、テストに向かう受験生は被害届を出す時間が無いから、痴漢し放題という内容である。

記事はこの悪意から受験生を護ろうという事であった。


言語道断である。


男はもちろん今まで痴漢などした事も疑われた事も無かった。

むしろ電車に乗った際は必ず吊り革を掴み自ら率先して自由な手を無くした。

人が多い時はなるべく接触しないようにドアの脇で外側を向いた。

超満員の時は電車と電車の間の誰も来ないブヨブヨした狭いところで踏ん張った。


何かの記事で読んだが痴漢で捕まったら人生終わりだそうだ。

本当はやっていない場合でも間違って現行犯とされた場合は被害者の意見が強く、否定できないらしい。


その後示談になったとしても会社や家族などにも知られ白い目で見られる。

家庭は不和になるだろうし会社での出世も望めなくなるかもしれない。


極稀に女の方が示談金目的で因縁を付けるという事もあるらしい。

だがそれもこれも全て本当に痴漢などする輩がいるのが悪いのである。


男にも中学生の女の子がいる。

もし日常的に電車に乗るようになって痴漢にあったらと考える。


男は心の中で激昂した。

(ふざけんな!痴漢なんてする奴は痺れて動けなくなれ!そしてハゲろ!)


男は心の中で鬱憤を晴らし次の記事を読むのであった。

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