第15話 犬のうんち

男は朝ゴミ出しをしていた。

肌着とTシャツという格好だからダッシュでゴミ捨てを行なう。


はぁはぁ言いながらかけ戻った時、家の前の道路に犬のうんちが放置されている事に気づいた。


行きはダッシュする事に気を取られて気づかなかったのだろう。

踏まなくて良かった。


時々こういう事があった。

恐らく犬の散歩をさせていて犬がうんちしたが、早朝で誰も見ていないからと面倒で放置したのだろう。


男は家に入りながら考える。

これは犬のせいでは無い。犬は悪く無い。

飼い主のルール違反だ。男は憤る。


犬がかわいいのであれば人目があるないにかかわらず、きちんと世話するべきであろう。全く身勝手な話だ。

「飼い主の口の中に入っちまえ!」


男は思わず怨嗟の声を口にした。

あ、早く朝食までに髭剃って顔洗わなければ。

ゴミ出しにかかる分早起きなどしていない男の朝は忙しいのであった。


その日男が暮らす地域で救急搬送が行われた。

突然何かの汚物が口に入り少し飲み込んでしまったとの事。


救急では被害者の胃洗浄などを行ない、病院側で何かのフンかもと言う事で事件性があるかもしれないと警察に連絡が行った。


現場の遺留物と胃洗浄で出た物を警察で調べたが、ただの犬のフンであるとの結果が出た。

さらに被害者宅で飼っている犬のフンを調べた結果、同じ家の飼い犬のフンである事も分かった。


狂言では無いかと被害者は聴き取り調査を受けたが、朝食の最中にいきなり口の中に有ったと被害者は主張した。


被害者は考えた。

早朝に犬の散歩をしている時、たまに面倒くさくなってフンを放置していた。


今回の件は神様からの罰ではないか?最近騒がれたいじめ事件の例もある。

同じ事をしているともっと酷い事になるのではないか?


そんな馬鹿な事は無いと思いながらも、もうこれからはフンの放置は絶対に辞めようと思う被害者であった。


2日後ぐらいの地方紙の隅に今回の不思議な記事が被害者匿名で報道されていた。





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ファンタジー小説も書いています。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558358317347

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