第11話 いじめ問題③

日本の内閣総理大臣が、本日決められたばかりの正式名〈突発性ひと開口不全症候群〉を発症したとのニュースが日本中を駆け巡った。


病名に〈ひと〉がわざわざ付いているのは開口不全症候群自体は元々ペットの病気として存在したからである。


驚くべきは総理大臣以外にも、官房長官、与党議員から数名、厚生労働大臣、厚生労働省と財務省と国税庁などの高官多数が新たに〈突発性ひと開口不全症候群〉を発症したと1局を除く全てのテレビ局が流していた。

海外のメディアも一斉にこの事態を報じた。


男はニュースを見てこりゃあ日本も大変な事になったなと漠然と考える。

だが総理大臣の事よりも今手掛けているシステムの要件定義の方が男に取っては重要である。

総理など居なくても俺は特に困らんしなと思う男であった。


インターネット上では祭りのような騒ぎとなった。

総理大臣まで発症したとは。

匿名のネット上では〈嫌な奴〉だけが発症しているのは既に皆が認める事実となっていた。

頑なに認めないのは政府や公的機関、マスメディアのみである。

ここまでサンプルがあって認められないのは、認めてしまうと人権団体やら世間の圧力やらで大変な事になるからである。


ネット上の一部の人は政府が民間の調査会社に圧力を掛けたのを知っていた。

調査会社でも当たり前のようにネットをする人がおり、公式ではないがそれを認めるような書き込みもあった。


ネット上で柔軟な思考と情報収集能力を持つ人たちは過去に発症した人、追加で発症した人、今回の政府要人の追加発症例などのデータを集め分析した結果を踏まえ、以下の結論に達した。

〈いじめを行なうと発症する〉


暴力的ないじめ、精神的ないじめ、経済的ないじめ、理不尽な要求を通す為のいじめなど、状況を問わず総じてこれはいじめではないか?と言う行為を行えば発症する。

にわかには信じられないような因果関係である。


もしそうであるなら発症までのプロセスやロジックはどうなっているのか?

誰かが何らかの特殊な電波でも出しているのか?

外国の陰謀か?


推論はいくつもあった。

だが皆が納得する理論は出て来なかった。


誰かが神の天罰ではないか?と書いてはいたが誰も追随する者は無かった。





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ファンタジー小説も書いています。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558358317347

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