第7話 母親の彼氏

男は夜間リリース作業を滞りなく実施し、安心して眠りについた。

男はまた夢を見た。


小さな男児が金髪の男に拳骨で何度も頭を叩かれていた。

男児はこれ以上叩かれないように激痛の中でも、無理やり笑顔を作っていた。

こんなに幼いのに金髪男の機嫌を取っているのである。


「気持ち悪いんだよ!」

そう言って立ち上がり、男児の頭を強く蹴る男。


男児は回転するぐらいの勢いでふっ飛んだ。

金髪男は技が決まったとばかりにニヤリとする。

蹴られた男児の頭部に深刻なダメージが入った事が分かる


男は猛烈に怒った。

こんなか弱い男児に暴力を振るうとは!金髪男は絶対に許さない!

「お前ええええええええ!」


途端、金髪男がベランダの窓枠にもの凄い勢いで張り付けられ、窓ガラスが全て砕け散った。


金髪男は全身にガラス片が刺さり血まみれとなったが生きていた。

男児はガラス片で怪我はしていない。

男児の命が消えそうだ。大急ぎでまずい部分を治す。


しばらくして男児はスヤスヤと寝息を立てていた。

トラウマになっては可哀想だと思い、男児から金髪男の記憶を消し去った。


でも一部暴行の跡はそのままにしてある。

男は男児の父親を探して男児が金髪男に暴行されているイメージを送った。

ついでに金髪男を虚勢しておくのを忘れない。


男は朝になり目がスッキリと覚めた。

リリースも無事終えたしいい朝だ。

仕事も順調である。


その夜、テレビで児童虐待していたと思われる男が病院に運ばれ、児童は父親に無事保護されたとのニュースが映っていた。

タバコの火傷跡なども身体にあったそうだ。


男は考える。コイツはきっと母親の彼氏という奴だろう。

抵抗出来ない小さい子に暴力とはふざけてる。


まあでも父親に迎えてもらって良かったね。


インターネット上では金髪男は全身ハリネズミのようになっており、失明もしているが、すぐ近くにいたはずの男児は全く無傷なのが不思議であると囁かれていた。





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ファンタジー小説も書いています。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558358317347

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