第5話 迷惑駐車
男が買い物を終え家に帰ると、家の近くに放置されている軽自動車が見える。
ここ一年ぐらい毎日のように迷惑駐車している車だ。
すぐ近くに公園がありその入口そばや、少し後ろの地域のゴミ出し場の後ろなど、半径10m程の間を毎日転々として駐車している。
男の家のすぐそばの時もあるし、対面で車が超出しずらい時もあった。
どうやら近くのマンションの住人が駐車場が遠いか、車庫証明を誤魔化しているかどちらか分からないが楽して住居近くに停めているようだった。
公園前だと子供達の出入りが危ないし、ゴミ出し場の近くだと車がブラインドになって不法投棄やルールを無視したゴミ出しを助長してしまう。
再三マンションに通告し、その都度一週間ぐらいは居なくなるのだがまた直ぐに戻ってきてしまう。呆れたチキンヘッドの持ち主だった。
「このクソ車が!錆びろ!持主は禿げて1年間動けなくなれ!」
男は憎々しげにそう吐き捨てた。
男ははっと我に帰る。ずっとこうはしていられない。車から買い出した重い荷物をはぁはぁ言いながら家の中に運ぶ…
買い出しの日から一週間、めずらしくずっと同じ場所に停めてあった迷惑駐車の車が本日、大型の運搬車に乗せて運ばれていた。
3階建ての男の家の部屋からマンションの入口も運搬車も見えるのだが、同じ様なタイミングでツルッパゲの中年男がマンションからタンカで運ばれ連れて行かれるのを見た。
それを見て、このクソ寒いのにあそこまで頭を剃らなくても良いんじゃないか?と思う男であった。
5日後の地方紙に原因不明の硬直病となった男性の話が、紙面の隅っこに小さく掲載されていた。
ーーーーー
ファンタジー小説も書いています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます